- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784808710590
作品紹介・あらすじ
ミイラや骨が残され、実際に「いる」と信じられていた不思議な生き物を「幻獣」という括りでとらえる著者が、河童や人魚、鬼といったお馴染みから異形の予言獣まで、江戸時代に出現した多様な幻獣を図版付きで紹介。
感想・レビュー・書評
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三次もののけミュージアムにて購入。ミュージアムでは、アマビコマスクとか、アマビコ栞とか売っていて、とても欲しかったんですが、1番はやはり情報だと思って本書を手に入れました(2530円)。なにしろ、著者はコレクターですから、これでもか!というぐらい図譜がカラーで載っていて、しかもほとんど全てに解説を小さな字で入れていて、物凄く想像を刺激します。アイデアが枯渇したホラー小説家、漫画家がいたならば、本書をおすすめします。
諸星大二郎ならば、このコレクションからいくらでも諸星ワールドを作れそうな気がするのですが、ざっと見たところ、ここの江戸時代のミイラや瓦版を使った作品はひとつもないのは流石です。
例えば、平賀源内が書き留めた「天狗髑髏鑑定縁起」(安永5年)なる図がある。ここにスケッチされたシャレコウベは、もっと精密な絵図が江戸市谷田町にも残っており、湯本さん自身も似たような角付き骸骨(おそらく鶏の骨にツノを植え付けたモノ)を沢山持っている。源内を主人公にちょっとした時代小説も書けるかもしれない。
本書の出版は2016年であるが、かなりの分量で幾多のアマビコ(阿摩比古、尼彦、天日子尊)の図を紹介している。「予言獣」としてのくくりでの紹介である。何故か、日本中に流布したあのアマビコ図は載せていない。性格は全く同じ。アマビコが出現して、厄災を予言して、姿を貼り付けておけば病難除けになるというモノである。
同じ予言獣として「件(くだん)」を紹介している。これは牛に人の顔を持つ、予言して直ぐに死ぬという点で一致。明治時代には日露戦争を予言して新聞を賑わした。アマビコの次は件が出てこないか、ちょっと不安だ。件もアマビコも、柴田という姓を持つ人が関係するという面白い共通項があるらしい。諸星先生出番ですよ、なのだが、こういう擦り切れた話題は題材にしないのだろうな。
文政6年(1823)、細川采女正の屋敷に落ちてきた幻獣の図(「怪獣之図」)が、まるで岩明均「寄生獣」に出てくる犬に寄生した寄生獣のような形をしている。この世のものとは思えない「異形」は、いつの時代でも有効なのだ。
河童、神社姫、吉祥魚、八百比丘尼、天狗、龍、雷獣、怪鳥等々、眺めるだけでも面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸時代は“不思議”が身近にあった。
夜の闇、自然の奥深くに、何かが潜んでいる。
妖怪とは異なる、実際に“いる”と信じられた鬼・河童・人魚・
天狗・龍・予言獣・奇獣・雷獣・鵺・・・様々な“幻獣”たち。
江戸時代のものを中心に、絵・本・護符・かわら版・書状・
明治以降の新聞・リアル遺物等、現代に残る多くの資料を掲載。
その存在について解説している。
なんというリアル感!
生々しい記事・・・まるで見たかのような内容、詳細な絵。
リアル遺物・・・いかにもな繋ぎ合わせたモノもあるけど、
存在感あふれるリアルなモノもある。
その想像力、創造性は驚くばかりです。
如何物だといえばそれまでだけど、その存在を信じ、自然や闇を
恐れた人々の純粋さを感じる“幻獣”の姿。
角がある猫鬼なぞ、実際に見てみたいなぁと思ったりして(^^♪ -
貴重な妖怪の浮世絵や絵巻、ミイラなどの資料が掲載された資料集です
【こんな人におすすめ】
妖怪の絵やミイラの写真などが好きな人