内面を覗かれるくらいなら誤解されたままでいたいと考える主人公を襲った一瞬の波紋。現代ドイツ文学を代表する著者の初の翻訳。
1927年生れ。ドイツでギュンター・グラスと並び称される作家。 ノーベル賞作家ギュンター・グラスと同年齢、戦後同じ「47年グループ」に参加。グラスが進歩的文化人の立場を代表してきたのに対し、ヴァルザーは市民的常識派の考え方を代弁し、過去の清算問題でも東西統一問題でも両者はよき論争相手だった。戦後の多くのドイツ作家と同じように、ヴァルザーも政治的発言、エッセイも手がけたが、文学作品には政治的テーマを持ち込まず、、独自のリアリズム手法の小説を発表してきた。小説の邦訳には『逃亡する馬』(同学社、1988)がある。未訳の長編小説に『ハーフタイム』「一角獣』『愛の履歴書』『ある批評家の死』『愛の瞬間』『不安のあがき』などがあり、数々の文学賞を受けている。 「2012年 『マリーエンバートの悲歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」