オトナ婚です、わたしたち: 十人十色のつがい方

著者 :
  • 太郎次郎社エディタス
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784811807591

作品紹介・あらすじ

こんな結婚、アリなんだ! 快適なカタチだから長続きする。
形も中身も多様な「つがい方」をしている女性たちにインタビュー。入籍の有無、別居や通いもありの住まい方、浮気容認婚、年の差婚、さらに同性婚まで。自分にとって居心地のいい関係を求めたら、こんなフウフになりました。〈特別寄稿〉中村うさぎ

感想・レビュー・書評

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  • 「結婚」て何??というのは、私にとって、かなり以前からの疑問のひとつ。いったい「何」があったら結婚で、「何」がなかったら結婚ではないのか、いまだに解けないナゾのひとつ。「何」をもって結婚だと言い、「何」をもってそうではないと考えるのか。

    この本には、「カタチはなんでもいいじゃない」という第1部と、「中身もなんでもいいじゃない」という第2部にわけて、10の「つがい」が紹介されている。それぞれの「つがい」に付けられている目次のラベルは、こんなだ。

    半同居婚、別居婚、おめでた事実婚、子連れ初婚、女×女婚、役割逆転婚、年の差婚、お見合い婿入り婚、浮気容認婚、じゃんけん妻氏婚。

    このほかにも、コラムの形で「みなさまの声」が多数紹介されていて、「結婚」て何??に対して、そういうのもアリか、と思えるつくり。

    たとえば、

    ・事実婚10年目のNさん。
    ▼「逆にね、世の中の『ふつうの人』って、どういうことで結婚(法律婚)するんですか? それがわたし、わからないんです」(p.89)

    ・子連れ初婚の竹本さん
    ▼「生き物が妊娠して出産して、子どもを育てるっていうのは、結婚制度ができるまえから自然に行われていることですよね。結婚制度っていうのは後づけのものであって、それが生き物としての自然な成り行きにストップをかけるっていうのが、わたしとしては、ちょっと違うんじゃないの? って思うわけです」(p.92)

    竹本さんは、結婚しないで産むことに、なんでみんな反対するんだろう?とすごく思い、今もずっと思っているという。妊娠すると「おめでとう」と言われ、そこに結婚がつけば「よかったね」と言われるのに、「結婚しない」と言ったとたんに、みんな手のひらを返したような態度をとる、それはなんでなんだろうと。

    ・女×女婚の小野さん
    ▼制度からはずれているデメリットはね、やっぱり、いちいちこの形を説明するのが面倒(笑)。「あ、結婚してるんで」ってひとことで言えれば、「結婚ってだいたいこういうものよね」という「一般的な常識」でパッとイメージが伝わって、わたしの状況を理解してもらえるんだけど。それがないのね。(p.121)

    「結婚みたいなことをしています」と言うと、その「みたい」って何?と問われ、たまに説明がめんどくさくて「結婚してる」と言うと、あとで(誰に「結婚してる」って言ったんだっけ)と、まためんどくさい。

    異性間の事実婚と似たところもあるが、同性婚の社会的な認知度が低いため、説明がめんどくさいだけでなく、異性間であれば"法律婚に準じて"認められている権利も、まだ認められていなかったりする。

    ・夫がゲイで、法律婚をしている中村うさぎ
    ▼私が結婚したとき、『噂の真相』という雑誌の1行ニュースだかなんだかで「中村うさぎの夫はゲイ。偽装結婚との噂」と書かれた。そのときに私は「セックスしないとほんとうの結婚ではないと言うのなら、もう何年もセックスレスになってる夫婦は全員、偽装結婚なのかよ」と思わずツッコんでしまった。(p.134)

    とにかく大事なのは「双方がいちばん納得してる形」ではないのか、ずっといっしょに生きていこうねと思える、目に見えない心の紐帯こそが大切ではないのか、と中村は書く。

    ゲイの夫と夫婦間セックスはしない、だから恋愛とセックスはおたがいに自由で、これが中村夫婦がうまくいっている秘訣だという。そして、「夫がいる」という重荷であると同時に重石になる関係があるから、中村はこの世に留まり続け、今日も生きているという。


    どの話もおもしろかった。巻末に、取材を終えた著者は「勝手に縛られているわたしたち」と書いている。たぶんそれは"結婚"というものに限らない。私自身、なんやかやと、いろいろ縛られてしまっているのかもな、と思ったりした。"仕事"ってこうだとか、"働く"ってこうだとか、そんなことも。

    読んでいて、「入籍」というコトバがどうしても気になってしまった。気になりつつ、じゃあ、どんなコトバを使いうるか?と考えてみた。

    「入籍」は、おそらく"現行の制度にのっとり、届けを出す結婚"という意味で使われていて、この本のキモである「十人十色のつがい方」のバラエティを表現するのに対して、やはりこのコトバを使うしかなかったかな…とも思った。

    (6/30了)

  • 学生時代は、結婚なんかしないし、そもそも現行の婚姻制度には反対!自分なりの、新しい関係性をパートナーと創り上げるんだ、なんて息巻いていたけれど、その後フッツーに結婚して、離婚した。何かに反対しすぎるのは、逆にそれにこだわってることになるんだな、と思えて面倒になったんだな。
    この本を読んで、そんな学生時代の自分が懐かしくなった。
    こりずに再婚した今、もう離婚はしたくない。結婚とは、他人と生活を共にするとは、ということを再び考えたくなった。

  • 「うちはうち、よそはよそ」だなぁ〜と。

    別居婚、事実婚、役割逆転婚、妻氏婚、同性婚、浮気容認婚など、従来の「ふつう」に当てはまらないさまざまな夫婦が紹介されている。「結婚」に何を求めるかって、人によってものすごくちがう。一緒に暮らすことが大事と言う人もいるし、セックスはなくてはならないという人も、そうでない人もいる。家事育児を分担したい人もいるし、自分がやるのでも苦にならない人も。子どもを持ちたい人もいれば、そうでない人もいる。

    ぱっと見は「ふつう」に見える夫婦でも、100組いれば100通りのあり方がある。自分たち夫婦の「あり方」を常に試行錯誤しながら、パートナーとの距離感を測ったり、子育てへの取り組み方を考えたりして、夫婦であり続ける努力をしないと、当たり前のようにつがい続けられるものではないのだなぁと、改めて感じた。

    この本には、「オトナ婚」当事者の女性側のインタビューしか掲載されていないので、それぞれのパートナーの見解も聞いてみたく思った。

  • 付き合ったら結婚と思っていた。まだ結婚も同棲もしたことない。
    自分中心でやって当たり前。そこは自分でやれるよねって相手に期待してイライラする。一緒に暮らすメリットを考えてしまう。この本から一緒に暮らす必要があるのか知れるかもと思ったが十人十色でまとめてあり正解はないが、話し合いや自分を見つめ直し自分をよく知るなら結婚したいのかどうか答えが見つかる。私は自分をよく知らなかったから世間の目を気にして結婚にとらわれていた。

  • なんと真剣につがうことに向き合うのだろう。私にはそこまで向き合いたいという意欲がない気がする。
    性愛で向き合える期間のうちにどれだけ相手を知れるかが関係構築のカギになるのは確かだ。

  • 十人十色の「つがい方」がある。事実婚、子連れ婚、別居婚…。筆者自身も揺れながら書かれているのがわかり、却ってよかった。

  • 今の自分は別居婚…週末婚…単身赴任婚…いろんな言葉で表現出来るなぁと思った。そのときそのときの状況で変わるから、これという決まりはないし。柔軟な自分でいたいなぁ。

  • いろいろな結婚の形。男性の気持ち、意見はない。

  • 娘にぜひ読ませたい本です。法律婚にとらわれず、色々な生き方があると気づかせてくれた本です。

  • ひとくちに「人生の伴侶」といっても色々な形が可能であることに気づかせてくれる本。ただ、この本では性別や入籍の有無などわかりやすい部分でのユニークさだけを扱っている印象がある。そのためなのか読後感が期待したよりも薄かったのが残念。

    外からは見えにくいかたちでユニークな家族を構築している人もたくさんいるので、そういう人たちにも焦点を当てた続編を是非読みたい。

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著者プロフィール

編集者&ライター。おもなテーマは「PTA」(保護者組織)と「いろんなかたちの家族」。ウェブ媒体や雑誌にPTA関連記事を多数執筆。著書に『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『PTAがやっぱりコワい人のための本』『オトナ婚です、わたしたち』などがある。

「2018年 『子どもの人権をまもるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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