伯爵に真実のキスの作法 (ラズベリーブックス)

  • 竹書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812448137

感想・レビュー・書評

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  • ガール・バチェラー・シリーズ4作目。次々と仕事を首になるデイジーと著名な作家アヴァモア伯爵セバスチャンの物語。辛辣な彼女の批評力を当てにしてセバスチャンの編集者にさせららたデイジーは、彼女自身も作家を目指しており二人で著作に励むことになるのだが…。うーん、シリーズ最終話なんだが主役の二人があんまり…。セバスチャンは身勝手だし、恋に目がくらんだデイジーは持ち味の辛口批評力をすっかり無くすし。二人ともあまりにも先のことを考えなさ過ぎ。シリーズとしての大円団もなく中途半端。二人に共感できなくて不満なまま終わっちゃった。2014.10

  • シリーズ4作目。短絡的なヒロインのデイジーが、仕事を次々首になり、いきなり作家になろうと考えるあたりが唐突。引き出しから原稿が出て来るくらいだから、以前から作家志望だったのかもしれないが、ストーリー上からはうかがえず、いきなり編集部へ原稿を持っていくあたり、作家としての葛藤とかはどこだ!と、突っ込みを入れたくなる。対してアヴァモア伯爵は葛藤ありまくりで、このヘタレがどうにかなるのか?と、やはり突っ込みたくなる。そうはいっても期待せずに読み始めた割には、どんどん読ませてくれてラストへいき、いきなりうっちゃり。シリーズ最終にも関わらず余韻も何もあったもんじゃない。本が出版された後日談も無いし、マーロウ子爵の喜ぶ場面も無い。もうチョイラストにプラスアルファが欲しかったです。

  • ヴィクトリア時代、ロンドン。理不尽な理由で仕事をクビになったデイジーは、、夢だった作家になろうとマーロウ子爵の経営する出版社に小説を持ち込む。ところがひょんなことから著名な作家でもあるアヴァモア伯爵セバスチャン・グラントの新作舞台の批評を、新聞に書くことになってしまう。感じたままに彼の舞台を酷評したデイジーだったが、翌日激怒して出版社にやってきたセバスチャンとばったり会い、激しく文学議論を戦わせる。後日、マーロウと再会したデイジーが頼まれたのは小説を書くことではなく、セバスチャンの執筆を手伝うことだった。じつはセバスチャンは、4年近く前にマーロウが依頼した新作をまだ書き上げていなかったのだ。最悪の出逢いにも関わらず、憧れの作家と仕事ができることにデイジーの気持ちは浮き立つが、セバスチャンはどうしても執筆しようとしない。あの手この手で彼に書かせようとがんばるデイジー。そんな彼女と接するうちにセバスチャンの心にも情熱が芽生えはじめる。忘れていたはずの創作と、そしてデイジーへの熱い思いが……。

    ロマンス小説なのに、まるで純文学のようなスゴイ命題ktkr!ってことにまずは驚いた。いやはや『作家にとって創作とは?』っていうのはそれはもう古今東西の名作家たちがそれこそ血反吐を吐くように挑むテーマだというのに、あっさりロマ本のなかの名も知らぬ作家がやってのけてしまいましたよ。
    あらま。
    しかし著者のローラ・リー・ガークも思い切ったものだ。それこそ自分の魂を削るような部分があっただろに。確かに悩んでのたうち回っているのは、当の作家であるヒーローであるわけだけど、彼の言葉は著者の言葉。それを思うとこれからだってずっと書き続けていくであろうローラ・リー・ガークにとって、このテーマに挑んで書き上げたと言うことは、かなり意味深いものであったのでないかと。

    で。
    肝心の内容。
    うん、いやとてもへたれなヒーローで。いやー、このガールズ・バチュラーシリーズはあまり「うわ、すご、カッコイイ!!」なヒーローとはちょっと違うヒーローたちなので、これも右に同じなヒーロー。でも彼の潔いへたれっぷりは、逆に清々しいほど。自分は父親の期待にはこたえられない、自分の書くものなど価値などない、自分はもう書けない、と様々に悩みながら、でも彼はただのウジウジちゃんじゃない、ちゃんと最後の最後で踏ん張れる。「死にたくない!」と。
    まじで、彼のこの苦悩だけにスポットを当ててしっかり書いたら、けっこうな純文学ですよ。しかしこれはロマ本なので、ヒーローに対してはヒロインが必要。
    そのヒロインが前向きで明るくて楽天的。……はっきり言います、序盤ではこのヒロインにかなりむかつきました。感じたままをすぐに言葉にしてしまう、そんなヒロインは、見方を変えれば空気が読めず如才なく振る舞うことができない、自分本位な女なわけで。ヒロインの姉のルーシーが運営している職業安定所から仕事を紹介されても、すぐに首になってしまう。それに良心の呵責は感じてはいても、やっぱり姉が次の仕事を探してくれるだろう、って。
    そりゃお金に困っていないなら、それくらいお気楽でもいいでしょうが、働いて食べていかなくてはならないなら、やっぱり如才なく振る舞うというのは持って生まれた性格がどうのこうの、ではなく、仕事をする上の重要なスキルでしょう。ルーシーが怒るのも仕方ないところ。
    で、そんなヒロインが三作目のヒーローのマーロウ卿から受けた仕事が、ヒーローに本を書かせること。
    人生に関する考え方が真逆な二人が、どう惹かれあい、愛を育んでいくのか、それがこの作品の醍醐味なわけですが……。残念ながらその部分の書き込みは足りなかったような。やっぱり『作家にとって創作とは?』って重いテーマで、全体がそれに引き摺られてしまった感があります。
    ヒーローは成長します、じゃないと終わらないし。そのなかで自分自身にとって人生の意味、書くことの意味、そういうものをすっきりと会得した、と思えます。
    ただヒロインの成長は残念ながらヒーローほどは感じられなかった。確かにただ自分の思うままに行動したり言ったりというのは、なくなりました。ヒーローのもとを去ったあとは、自分で職を見つけ、言動にも気を配れている。だけどヒロインの最大の望みであった「作家になる」ということ、そのための作品作りに関しての成長まで言及がなかったのは惜しい。ちょっとはあるんだけど、そうじゃなくてもう少し踏み込んでヒロインの自身の言葉として具体的にあって欲しかった。

    そしてさらに惜しい!っていうのは、せっかく出てきたマーロウ卿。彼の気持ち、彼のヒロインのエマの気持ち、そういったものをもっと絡めてくれたら、……。なぜそんなにヒーローに書かせたいのか、立ち直って欲しいのか、また二人を一緒にしてなにをさせたいのか、それをせめて匂わせてくれてたら。
    あとヒロインの姉のルーシー。彼女は楽天的な妹に愛憎入り交じる感情を持っていて、それはとてもよくわかる。世の中はなんとかなるっていう妹にたいして、保護者である姉はそんなに楽天的にはなれない。彼女がちゃんと幸せになる道筋もあればよかったのに。
    で、最後の最後に。
    「追伸……それからふたりは幸せに暮らしましたとさ。」
    はないでしょうよ。なんか余韻とか後味とかなんか全部、すっ飛んだ。
    たぶんページ数的な関係なんだろうけど、なんかもうちょっと欲しかった。
    ……なんというか、こんな終わり方こそ『作家にとって創作とは?』と対極をなす『職業としての創作活動』みたいで、いろいろ考えてしまった。

  • 仕事先を転々としながら小説家を夢見るヒロインが 憧れの作家ヒーローの舞台を酷評してたり面白かった。そして作家ヒーローの苦悩する姿と作家を夢見るヒロインが対照的で興味深かった。ヒロイン中毒に陥ったヒーローの切羽詰まった感がよかったなぁ。愛情がうまれてたことに気がつくの遅すぎたのが残念だが最後のハッピーエンドまでが短距離走の勢いで少しもったいない。もう少し焦らしてほしかった。

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