- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784813012634
作品紹介・あらすじ
設計事務所で働く縞岡は、婚約者と訪ねたマンションの内覧会で、十年ぶりに雨宮那智、アマチと再会した。十六から十七にかけてのふたりの時間は、北の地の短い夏のような輝きがあった。長い空白の時間を越えて、再会したときから、縞岡はアマチに触れたくてたまらなくなった。那智は縞岡が恋しくてたまらなくなった。会わないほうがいい。でも、会いたい。会いたくて、たまらない-傷つけながら、傷つきながら、恋は深まり…『聖夜』『名前のない色』に書き下ろし『GRAY』を同時収録。
感想・レビュー・書評
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やっぱいいなあ、久々にがっつり読みごたえのあるBL読んだ感。設定とか無理がなくてすんなり入ってくる感じ。心理描写も細やかで心揺さぶられる。榎田さんはやっぱ上手いよなあ。上手い人の話は当たり前だけど面白いよなあ。甘々なハピエンとか容赦ない責めとか、そういう何か突出したテーマではなく、普通の日常を背景に濃密なBLの世界を描くその文章力に感動する。この本のおかげでこの週末はいい時間を過ごせた。
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「聖夜」の感想記事(SSブログ)へのリンクです。
https://yuri-hyky-dia-issho.blog.ss-blog.jp/2020-08-15 -
2作目の余韻を残す終わり方が良かった。
最初シマとアマチ以外は悪役のように見えたキャラクターも
本当は色んな苦悩があり、最後にはその苦悩も人間らしさとして消化されていた。
沖縄に行きたくなってしまった…。
梨音ちゃん視点の短編も見れたらいいなと思いました。 -
重い話だったけど、ちゃんと最後は前を向いて歩いていくストーリー。
「聖夜」も「名前のない色」も、丁寧に描かれていて好き。
書き下ろしは意外な人物視点で斬新だと思う。 -
初期作品の出し直し。
「名前のない色」
編集部で働く藤野渉は、夏場には使い物にならないというイラストレーター・水窪あきらになんとか新刊に絵を付けて欲しいと頼みに行き…。
ヘタレわんこ系の攻めなんだけど実は傷を持っていて…。
受けは受けで見るからに傷を抱えていて…。その二人の切なさがとても細かい心理描写で描かれていて早く二人に幸せになって欲しいと思いながら読み進めました。過去を消化して生きていくのは難しい…。でもそれを乗り越えたら一つ成長するのよね。
「聖夜」
高校の同級生で少しだけ二人でさわりあったこともある気になる親友・アマチが親の離婚で東京に行って10年。都内で婚約者とマンションを見に行ってばったり再会することに。10年経って10年前の気持ちに気付いたシマ。しかしアマチにも付き合っている男が居たし、自分には婚約者もいる。そして…。
10年愛ならぬ20年愛。書き下ろしが加わることで30年愛となった作品。そんなに長く誰かに執着出来るのがBLらしい。いろいろあって一瞬だけ交差した関係があえなく離れていくのだけど20年目にしてやっとお互いが並行に歩いていける。切なくて良かったです。これから幸せになってねとエールを送りたくなる、そんな二人。
それにしても。
元奥さんもその再婚相手も子供も、みんな理解ある…。
静かなエチがこんなにエロさを感じるものだとは思いませんでした。気持ちが入っていて身体も開かれた感じよね。 -
10年、20年更には書き下ろしを含めれば30年という長い年月で綴られる壮大な愛の物語。
決して恵まれない青春時代を過ごしたアマチにとってキラキラした初恋の思い出であり唯一の希望であったシマ。愛を自覚するにはまだ幼過ぎた青春時代の別れを経て10年後社会人になって最初の再会。互いに思い合っているのに、好きだという感情をぶつけるだけでは成り立たない関係だと分かってしまう歳月の残酷さが切ない。
榎田さんの文章は相変わらず美しく滑らかで、長いスパンの話なのにテンポよくすらすら読めます。二人の気持ちはもちろんですが、それぞれの家庭環境やパートナーとの関係、アマチの両親との確執、更には第三者からの目線で綴られる事によって二人の愛情が更に確固したものになっています。
北海道育ちの二人がたわいも無く話していたあり得ない夢のシーン、理想の家は沖縄の雨端のある平屋。そしてラストの沖縄での再会の奇蹟に泣きました…(T_T)もう一編も切ない色の作品。今読んでも全く色褪せない名作です。 -
この方はいくつかの書き方を持っているかな、と思う。展開も、得意ないくつかのパターンがある。
初期はまったく読んでないので初読でした。表紙がヨネダコウさんというのもまた、よく合っています。
表題の聖夜から続く物語の方が良かったです。この、切ない感じ。
好き、だけでは生きていけない世界。20年かかって、やっと二人はお互いの前に立つことができた。
なんもかっこいいとこもなく、二人がおじさんに差し掛かってから、色んな失敗をしまくったあげくにくっつくという、そこがリアル。
そう、この方の作品は、美しいだけじゃないところが好きです。