GALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY 下巻
- グライドメディア (2013年8月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784813021919
作品紹介・あらすじ
銀河鉄道の一大組曲、ここに完結!
感想・レビュー・書評
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原作者逝去後、初盆も過ぎた。
結局、漫画・映像化という形での完結は不可能となったものの、そのプロット(シナリオ)を元にしたこの作品で、一応の完結は見ている。
上巻の一部を除き、あとは原作者のシナリオ・「真設定」とのこと。「設定」のカオスっぷりは通常運転。
しかし「何にしろ一応は完結はしている」という安心感はある。
本書に対しては相反する二つの感想が出てくる。
「松本作品ファンにはお祭りのような楽しさ」。
あの作品やこの作品のキャラがここで登場!この設定をここで利用!という、さながら松本零士オールスターズ・スーパー松本SF大戦。わちゃわちゃ感が楽しい作品。
この設定をこういう風にして、あのキャラをこうかませて…という組み合わせが良い。
同窓会に参加しているような気分。
このキャラが実は…あの作品の設定がまさか出てくるとは…には一ファンとして感涙ものなところも。
一方で、
「これを映像化しようとしてたの…?」
「ファンには楽しいけど、話としてはイマイチ…」。
松本作品ファンにはたまらないが、さて、これを映像化しようとすると大変なことになる。
松本零士ブーム全盛期ならばともかく、「見るのに複数の作品の履修が必要」というのは、果たして需要があるのか。
ファン向けのOVAならいいけれど、もしエターナルファンタジーの続編=全国ロードショーとしていたのなら、正直ハードルが高い。
ちょうどこの作品が発表された頃、まほろばの映画化が進められていたとはいえ…、
「999みて、ヤマトみて、ハーロックもみて、スタージンガーみて、まほろばの映画も見た上でご覧下さい!」ではなおのこと一般向けではない。しかも当時はネット配信が普及していたわけではないし。
結局「かなりの松本作品ファン」向けとなってしまう。
(まほろば劇場版がなくなった現在だと、なおのこと設定のみの妄想補正が必要となる)
またお話自体は、ハラハラドキドキする展開はあるものの、艦隊戦では各艦やかなりの数のキャラを出してるため、それらの登場や戦闘シークエンスの描写がメインになり、「出て終わり」なものもかなり多い。
ハーロックの活躍がこれほどまで少ないとは…。
やはり「このキャラがここで!」から妄想できるファンのための作品といえる。
今、本書にはプレミア価格がついている。
改訂版は内容が異なるため、今なおファン需要はある。
故に、初見さんやライト層が手に取ることはないとは思うが…。
「こりゃ楽しい!オールスター!」と楽しめる一方で、
「映像化して、喜ぶのはファンだけだなぁ。エターナルの続きはこれにする気だったのかぁ」も思う。
複雑な気持ちになる作品ではある。
初盆も過ぎた。
いまだに劇場版999は評価されているが、拡大しすぎて熱心なファンだけがついている平成以降の松本作品群が今後どうなるのか…少し、気にはなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画化ならず幻の作品となった「エターナルファンタジー」の続編のプロットを元に書かれたノベライズ。メーテル、鉄郎をはじめハーロック、エメラルダス、「銀河鉄道物語」などなど松本作品のキャラクターが次から次へと登場、亡くなったはずのキャラクターまで登場してやりすぎ感もあるが、これだけの内容をまとめられた構成力に感服した。
おそらくもう新作マンガでは読むことが叶わないだろう。後付けと思われるような設定もノベライズならではの説明ですっきり納得。大団円を迎えてよかったと心から思える。そんなオールドファンのためにあるような一冊。