棄民世代 政府に見捨てられた氷河期世代が日本を滅ぼす (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815604103

作品紹介・あらすじ

『下級老人』が流行語大賞の候補としてノミネートされたのが2015年。
下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義され、高齢者の貧困問題に警鐘を鳴らした。
しかし、当時の高齢者が抱える問題より、はるかに深刻なのが、中高年化した氷河期世代が老後を迎えるときである。
氷河期世代は雇用政策において翻弄されただけでなく、自己責任という言葉のもとに、あらゆる社会政策から放置されて今に至る。
まさに政府に犠牲にされた『棄民世代』といってもよい。
彼らが高齢者でなったときには、下級老人の比ではない貧困問題を抱えた棄民老人が誕生する。
それは当事者である彼らだけの問題だけでなく、日本全体を揺るがす衝撃の未来が待ち受ける。
誰にとっても他人事ではないこの事態にいかに対処するか。
社会福祉の現場から来るべき危機に警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • 自身が氷河期世代なので、「棄民」とまで言われると正直腹が立つ。当事者意識ゼロの上から目線が目障り。とはいえ、腹が立つということは図星なのだろう。データやグラフ、表などは参考になる。我が身の母子手帳と思ってページをめくりました。

    これから頻発する社会問題に危惧を抱いているのはわかる。さて、それをどのように解決するかの策について、具体性が乏しい。
    いずれにせよ画期的な策なんてないのだが、できることを淡々とやるしかないのである。それに尽きる。あなたにはこれができますよという可能性を示す文章も時には必要である。人を絶望の淵に立たせてはいけない。

  • まあ、ちょっとキツイですね。私には。
    突きつけられただけでした…

  • ●いのちの電話での相談数から、常に同じ世代に偏っている事がわかる。
    ● 1971年から74年の段階ジュニア世代と、84年生まれまでのポスト団塊ジュニア世代。男性約1170万人、女性1140万人、合計約2310万人
    ●氷河期世代は、後から正社員のタイプが多い。
    ●40代4人に1人が貯蓄無し。
    ●ギグエコノミー化は止まらない
    ●必要なのは「教育給付」大学の入りなおしなどを経済的に支援する教育給付、あるいは資格取得のための費用や、その取得に係る期間の生活費を支給支援する訓練給付制度の新設
    ●第三次ベビーブームが起きていれば。
    ●派遣法生みの親、中曽根。96年橋本、99年に小渕、2000年森、2003年小泉がトドメ。
    ●各人の生活における支出を下げていくことを政府学校的に、また企業NPOなど民間の団体も関与しながら支えていく仕組みを作っていくほうがずっと簡単だ。

  • ソーシャルワーカーならば、第6章の提言を軸に据えるべきではないか?第1章から第5章は普通のジャーナリストでも書けるのに、そこに本書の9割を割いている。提言にこそソーシャルワーカーとしての見地を発揮出来るはずなのに、そこには1割しか割いていない。

    自分も棄民世代=氷河期世代の一員として関心を持って読み始めたが、何とも消化不良。

    喜久屋書店阿倍野店にて購入。

  • 就職氷河期世代は、就職時期だけでなく、その後も困難を抱え続け、引きこもりなどの社会問題を引き起こしている。8050問題も、この世代に対する政策を考えないと、解決には至らない。政府も様々な政策を打ち出してはいるが、「やっている感」を演出するだけで効果は少ない。この世代を「棄民世代」と揶揄する表題で書かれた物。著者もこの世代であり、同世代として問題提起をしている。政策に効果がない分、どこに希望を見いだすか。労働組合が協同組合(労働者協同組合)にどのように進んでいけるかが希望の道と説く。今後、働き方もまちづくりも、協同組合の発展なしに進めないのは私自身も感じていることで、大事な提言と思う。

  • 社会的排除の勉強中に収集したもの.データとか豊富だけど,とりあえずデータとか数値を流しながらバーを読んでいる.慎重で遠回りな表現の所もあるけれど,訴えることは明確.確かに年金とかヤバイねぇ.

  • 棄民と言う造語であるが、ストレートな表現であり、深刻さが伝わる。

    世間の人間付き合いの仕方が変わっているため、自分が興味のあるコミュニティでまずは生きていくことが解決する方法の一つではないだろうか。

  •  棄民世代(就職氷河期世代)とは何か。

     「頑張ったら正社員になれるよ」
     実は私も上の世代の人にこんなことを言われたことがある。上の世代の人には社会の構造が変化してこの世代以降の人達が苦労していることが分かってない人が多い。
     この本ではデータや現場で支援する人々の声などから棄民世代ができた経緯や現在、今後を説明していく。
     棄民世代が個人の資質の問題だと思っていたり、社会の変化に気づいていない人にぜひ読んでもらいたい。

     本として決して面白い本ではないが、私も棄民世代なのでプラス1点。現在(2020.4)のコロナの問題もこの問題と大きく関係していることを踏まえさらにプラス1点。

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著者プロフィール

1982 年茨城県生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。ソーシャルワーカーとして活動する一方で、生活保護や生活困窮者支援のあり方に関し提言を行う。著書に『下流老人』(朝日新書)、『貧困クライシス』(毎日新聞出版)など。

「2018年 『未来の再建』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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