悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815606367

作品紹介・あらすじ

今から三十年前の夜、ある動物園のカピバラ小屋で一人の男の子が保護された。
その子の名前は……『おチビちゃん』
彼を置き捨てた母親から、そう呼ばれて育ったという。
カピバラを愛するおチビちゃんは養護施設で育てられ、名前は果比原譲二(かぴばら・じょうじ)と付けられた。動物のカピバラのことが大好きな本人の希望により、果比原という名字が付けられたのだ。
そして三十年の月日を経て、心優しい大人となった果比原譲二は、自分が保護された動物園の清掃員として働くと同時に、その隣にある小学校の用務員も務めている。
そんな果比原譲二は、子どもたちから「カッピー」と呼ばれ親しまれつつ、時にからかわれることも……。
なぜなら彼は、漢字を読むことや、足し算や引き算など計算をすることができず、空気を読むこともできない。心が5歳の時のままだから。
けれど、本当のカピバラのように心優しいカッピー。
一本のたいまつから何千もの火を分けても、そのたいまつの火は消えることがないように、生徒にも教師にも保護者にも愛を無限に分け与えてくれる。
見返りなどという言葉は、彼の中の辞書には存在しない。
関わる人の心の闇に光を照らし、それぞれにとって進むべき本当の道が見えてくる。
しかし、そんなある日、カッピーが命の危機を感じるほどの「いじめ」の対象になってしまうのだった。
さらには、一人のヤクザと出会ったことにより、殺人事件に巻き込まれてしまうことに?
愛とは? 家族とは? 本当の正義とは?
ピュアな心を持つカッピーを通じて、人生で最も大切なことを教えられる感動エンターテイメントストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 想像以上に内容が黒くて驚いた。
    没入感に欠ける部分はあったが、加比原譲二の純粋で誠実な性格には心を洗われた。
    覚えておきたい名言もたくさんあり、呼んで良かったと思う。

  • 心の奥が暖かくなるような感じたことの無い感情が湧き上がってきた。
    登場人物一人ひとりが純粋なかっぴー と関わることで 人間らしい ありのままの心になっていくのが
    とても印象的だった。
    この本を読んだ人はきっと暖かい人間になれる。

  • 動物園に置き去りにされたカッピー。隣にある小学校と動物園を管理している校長先生と家族となり、大人になった今はその両方で働いている。

    カッピーの純粋で真っ直ぐな優しさに心が洗われるようでした。
    漢字の読めないカッピーは生徒に相談されたときも、どこかチグハグな会話になることがある。
    でも、その答えはいつも真っ直ぐで裏がなくて、相手のことだけを思っている。だから安心するし信じられる気がする。

    視点が変わりながらの展開。みんなの抱える苦悩や孤独を感じて苦しいし負の連鎖が悲しい。
    「誰か気づいてあげてたら…」「耳を傾けてあげてたら…」と、タラレバが止まらない。
    これまでいっぱい苦しんだ分、みんなには幸せになって欲しい。

    気づいたら最初から最後まで泣いてた。
    読むと温かい気持ちになれるし、誰かに優しくしたくなる。カッピーは安らぎだなぁ。
    庄野ナホコさんの優しいタッチの挿し絵も素敵でした。


    『人は、誰かにとっての「特別な存在」になることで強くなれる。人は、味方がいることで、自分に正直に生きることができる。
    自分らしくない道を選んでしまったとしても、何度でも歩き直すことができる。
    きっと、人々にとっての本当の不幸は、誰かの幸せをよろこべなくなった時』

    『人の言葉が人を支え、人の優しさが人を生かし、
    人の祈りが人の心を動かす』

  • たまたま見つけて手に取った本。
    知的障害のある男性が、小学校の用務員をしながら、二人の小学生を救う話、かな。

    若干狙いすぎな感じもして、そこまで入り込めず。
    全体的には優しい物語。カッピーがすべてに寛容なので、こんな人が側にいたら自分にも他人にも優しくなれそう。

    後半から、ヤクザとかDVとか保険金殺人とか、やたら物騒になって、でものほほんと立ち向かうカッピー。カッピーとマッチのコンビがいい感じ。
    でも、稀代の殺人鬼もひどい境遇で育って可哀想だから仕方ない、みたいな雰囲気は、ちょっといやだな。

    カピバラの挿画がきれい。

  • 人が人を思うことは、本当に素晴らしくて愛に溢れているものなんだと感じることができました。 幸せとは何か、を教えてくれた本です。

  • 帯のせいでみやぞんの声になった。

  • カッピーと登場人物の軽妙なやりとりに思わず吹き出す。素直で真っ直ぐ、濁った感情を一切持たず、人間の裏の顔とか悪意を感知するアンテナ持ち合わせていないカッピーに悪と対峙させる必要はないかな。ミステリー部分は穴だらけ。カッピー推しで気持ちよく終わってほしかった。挿絵も可愛い。コピーしてしまった。「人人にとっての本当の不幸は、誰かの幸せを喜べなくなった時」「幸せはモノではない。感じること。心と心が重なりあった瞬間を幸せって言うのかな」難しいけどカッピーのように生きること心掛けよう。

  •  カッピーを中心とした、ほのぼの人情物かと思いきや、サスペンスとなっていった。展開が強引で、殺人(言い換えれば人の命)を軽く扱い過ぎてはいないか。

  • テレビマンが書く小説ってすぐわかるよね。雰囲気で。
    キャラクターや話の構成がテレビ的すぎて個人的に当たり外れが激しいパターン。
    1章読んだ時点ではちょっと辞めようかなと思ったんだけど、せっかくだしと最後まで読んでみた。ハードボイルドなミステリーになってきた後半は、面白くて一気読み。はぁ、子どもが不幸にならなくてよかった。
    主人公よりマッチのほうが好きかな。キャラとして深掘りもされてるし。
    カピバラさんのキャラがいまいちリアリティがないように感じられて、どう捉えていいかよくわからなかった。障害がある人の純粋さ、の上澄みだけというか。(リアリティある映画とかドラマとか好んで見ているからそれと比べると)
    カピバラの特性を色々知れて勉強になる。

  • 私もかぴばらさんとお友達になりたい。前半のホッコリした内容から後半ハードボイルドになっていく感じが面白かった。

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著者プロフィール

瀧森古都(たきもり・こと)
1974年、千葉県市川市生まれ。2001年、作家事務所オフィス・トゥー・ワンに所属。放送作家として「奇跡体験! アンビリバボー」など様々な番組の企画・構成・脚本を手掛ける。2006年、独立。作家、コピーライターとして活動。現在、主に「感動」をテーマとした小説や童話を執筆。ペット看護士・ペットセラピストの資格を保持。著者に『悲しみの底で猫が教えてくれた大切なこと』『孤独の果てで犬が教えてくれた大切なこと』『たとえ明日、世界が滅びても今日、僕はリンゴの木を植える』(共にSBクリエイティブ)がある。

「2021年 『悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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