最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方 (SB新書)
- SBクリエイティブ (2021年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815607111
作品紹介・あらすじ
キーワードは「心的安全」と「メタ認知」だった!
学校の当たり前を覆し、全国が注目する学校づくりを実現した麹町中の工藤校長。
手をかけるほど子供の自律を阻むというメッセージは驚きと共感を持って、多くの人に広まりました。
今回、脳神経科学の世界で注目を集める、青砥瑞人先生との、「麹町研究」によって、「脳科学的にも正しい子どもの育て方があることが立証されました。
これは既存の教育の思い込みを正し、「未来の教育」を模索していくために、旗となるべき成果です。
今回、教育と脳神経科学という異ジャンルの二人が共著として、教育・学力・子育ての大誤解を解きながら、
未来を創る「当事者意識のある子ども」を育てていくためにどうしていけば良いか、
それをわかりやすくまとめました。
全国が注目した、麹町研究の衝撃的な中身とは?
全国の保護者・教育関係者のバイブルとなるべき1冊!
感想・レビュー・書評
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『叱っている大人が心理的危険状態』
p63~本文から引用します。
感情は人間にとって必要なものであり、感情自体を責めるのではなく、感情反応を引き起こすプロセスに目を向けてはどつでしょう。たとえば次のアプローチが考えられます。
1 ストレスをストレスとして感じにくくなるように考え方を改める
(例)子どもは大人の言うことを聞くべきだ→子どもの主体性を尊重すべきだ
(例)恐怖で圧倒しないと意見が通らない→平和的に意見を通す方法があるはずだ
(例)子どもを引っ張るのが大人の役目だ→子どもの成長を見守るのが大人の役目だ
p119~
スポーツ指導者が言及することもあり、ネット上でも有名になったデンマークのサッカー協会の10か条について紹介します。
1 子供たちはあなたのモノではない。
2 子どもたちはサッカーに夢中だ。
3 子どもたちはあなたとともにサッカー人生を歩んでいる。
4 こどもたちから求められることはあってもあなたから求めてはいけない。
5 あなたの欲望を子どもたちを介して満たしてはならない。
6 アドバイスはしてもあなたの考えを押し付けてはいけない。
7 子どもの体を守ること。しかし子どもたちの魂まで踏み込んではいけない。
8 コーチは子どもの心になること。しかし子どもたちに大人のサッカーをさせてはいけない。
9 コーチが子どもたちのサッカー人生をサポートすることは大切だ。しかし、自分で考えさせることが必要だ。
10 コーチは子どもを教え導くことはできる。しかし、勝つことが大切か否かを決めるのは子どもたち自身だ。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
などなど!いや~…デンマークのサッカー協会の言葉…。大人が「よかれと思って」子どもにやりがちなこと盛りだくさん!よくありがちなこと。我が身をふりかえると…胸にグサグサ刺さりますな!
脳科学の青砥さんと、教育の工藤さんのコラボ、関心のある方に必見です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すべての教育者にオススメ。
2大テーマ「心理的安全性」「メタ認知能力」
心理的/ 人間の脳が深い思考をしたり、理性的な判断を下すために必要
メタ/ トラブルなどの葛藤や失敗のネガティブな記憶をポジティブな学びに変えていくときに使う
高次の、(自分の)認知自体の認知→自分を知ること
☆教育の目標は、自らの力で自分を成長させられる術と、幸せな状態を作り出せる術を学ぶこと
脳の大原則
1. Use it or lose it
エネルギー効率が抜群にいい回路、を無意識下で選択
2. 人の意識は有限
雑多な情報やストレスで散らかったままだと深い思考も高い集中力も発揮されない
3. 人は本来、ネガティブ思考が作動しやすい
エラー検知機能、解釈の拡大
ストレスとは
人間体内の生理的状態をできるだけ同じ状態で維持しようとする、ホメオスタシス、これが感じ取るズレのこと。
コルチゾール、ストレスホルモンが血液にのって全身を駆け巡る。心臓の早鼓動、冷や汗、手足の震えなどもストレスホルモンの影響
体育会出身者はストレス耐性が高い、と言われるのは、自分なりのストレス適応の仕方を経験上身につけているから。
「いつも怒られていたら、怒られることに対して耐性がつくのでは?」→ コレは真逆。強いストレスがかかった時に攻撃モード、逃亡モードに変わりやすい脳になっていく可能性が高い
扁桃体は、不安、恐怖の情動を引き起こす、ファイトorフライト反応+ 感情記憶を保存
海馬と回路でつながり、記憶の長期保存に特化、エピソード記憶
怒られた時の恐怖や怒りは強烈に記憶され、不信感、警戒心に。
モチベーション「ドーパミン」
気が散るときは、やらされてる感ではなく、ドーパミンを出す→ために、「この仕事はどんな意味がある?」「これを終えたらどんないいことがある?」などと再認識して生産性を上げる!
*自己肯定感を高められる環境とは
否定されない
自分の意志が尊重される
失敗が咎められない
他人と比較されない
できていることをちゃんと評価される
成功体験を積むことができる
自分の成長を実感できる
☆子どもに自己決定を促す3つの言葉
どうしたの?/何か困ったことはある?
君はどうしたいの?/これからどうしようと考えてるの?
何を支援して欲しいの?/何を支援してほしいの?
メタ認知
自己を俯瞰的に捉え、自己について学ぶ機能
1. 自己の捉え方
自分の特性や癖を正確に把握しているので、目標達成能力や課題解決能力が高いと言われる
2. 自己について学ぶ
自己と向き合い、そこで得た情報を脳の中に記憶痕跡としてしっかり書き込んでおく!
葛藤と夢でメタ認知を鍛える!
幸せになりたいなら、自分の幸せと常に向き合っていくしかない
子どもが気づいていないことを言語化する
ピグマリオン効果で使う言葉は大人側の願望でもいい! -
子どもたちが当事者意識をもち行動ができるかを心理的安全性とメタ認知の観点から述べている。いかに日本の教育が子どもの可能性を狭くしているかがよくわかる内容であり、親としても子どもへの言葉かけの大切さを学ぶことができた。
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脳科学からのアプローチがとても有意義な内容でした。
当事者意識を持つこと(持たせること)、心理的安定がベースにあることなどは、学校だけでなく会社や組織、あらゆる場面やグループで活用できるヒントになります。
個人的には、大人・子ども関係なくメタ認知できている人とそうでない人がいるなと感じました。 -
自律に必要な要素
→心理的安全とメタ認知
心理的安全
→過剰なストレス環境下にいると脳は萎縮し、適切な反応ができなくなる。しかし、ストレス自体は悪いものではなく、成長には必要なこと。ストレスを取り除くのではなく、自己調整しながら向き合うことが必要。そこで、自己決定が求められる。
自己決定に必要な3つの言葉がけ
→どうしたの?君はどうしたいの?何を支援して欲しいの?
⭐️子供から求められるまでは我慢
メタ認知
→客観は定点、俯瞰は複数の視点(過去の自分と今の自分等)メタ認知は俯瞰
反省はしない
→人間は新たなことを継続するには脳に過大なエネルギーが必要。自分と向き合って、どうすればできるか、仕組みや行動にフォーカスする。
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教員をしており、半年前に親になった、ADHD傾向の強い自分。心理的危険状態のところは、まさに!という感じ。いちいちテンパりやすいのはなぜなのか?怒られたときにこう感じていた自分はおかしいのか?と思っていたけれど、おかしくないんだよ、と言ってくれたみたいで安心した。と同時に、子どもとの接し方をアップグレードしたいと思った。新たに学んだこと、参考にしたい部分が多すぎるので、何度も読み返し、思い出し、実践して、自分の糧にしたい。
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「教育の本質を問い直そう」「子供が主人公となる教育を考えよう」そんな想いで出版された本。
教育の本質的な目標は自らの力で自分を成長させられる術と、幸せな状態を作り出せる術を学んでもらうこと。
その両方の実現に不可欠な「状態」が「心理的安全性」、不可欠なスキルが「メタ認知能力」である。
この考え方に非常に共感した。
3年前まで小学校の教員をしていたので、刺さるものが多々あった。初めて高学年である5年生を担任したときに、子供達が「指示待ち人間」であることに衝撃を受けた。この後どうするかを自分で考える習慣がこれまでなかったんだな、と着任1日目でわかった。でもそれは、これまでの担任の先生の指導力というよりかは、日本の教育の仕組み自体に問題があると思った。なぜなら、40人の子どもを担任一人で一斉に指導するには「統率」が便利だから。統率するには、個別の意見を排除して先生の指示に従う習慣をつけさせることが必須。逆におしゃべりがやまないクラスは「担任の指導力不足」と他の先生からの視線が痛い。問題行動を起こした児童から話を聞いていると、「子どもになめられるよ」と先輩教員に言われた。恐怖で子どもを統率することが正しい世界。わたしはそんな日本の教育現場にずっと疑問を抱いていて、教育全体を俯瞰したいと思い、現場から離れた。この本はそんな自分の経験も重なり、共感する部分が多くあった。いまの常識は本当に子供のためになるのか。それを立ち返ることが大切だと思う。全国の先生に読んで欲しい一冊。 -
キーワードは、「心理的安全性」と「メタ認知能力」。
「学校とは失敗をたくさん経験して、そこから自ら学んでいく場である」とあるように、私たち教員は最上位の目的に戻って考え、手段と目的をはき違えないないようにし、学校で起きている壮大な勘違いの見直しをするべきである。
また、3つの言葉がけの実践を学校あげて行っていきたい。
1「どうしたの?」(「何か困った事はあるの?」)
2「君はどうしたいの?」(これからどうしようと考えているの?)
3「何を支援してほしいの?」(「先生に何か支援できる事はある?」)
前作、「学校のあたりまえをやめた」から一貫しておっしゃていることが、今、少しずつ全国各地で、新しい風として広がっているように思う。 -
子どものことを本気で思い、学校の教育体制を変えようとしていることに感動した。
子どもの成長をサポートするために大人ができる声掛けなどを、多くの大人が実践し、幸せな子どもがより増えていくといいなと思った。 -
千代田区麹町中学校の元校長と、脳神経科学者の共著。
麴町中学校の、子供に他責ではなく当事者意識を持たせるための取り組みが良い。
・心理的安全と心理的危険
深い思考をしたり、理性的な判断を下すには心理的安全が不可欠
心理的危険の典型的な反応は「ファイト・オア・フライト」(逃げるか戦う)
・脳の大原則
①Use it or lose it(使わなければ失くすだけ)
②人の意識は有限(同時に複数のことに集中できない)
③本来ネガティブ思考が発動しやすい(生存本能)
・心理的危険になると現実に沿った思考やエラー検知(凡ミス)、意識的な注意と思考、不適切行動の抑制(怒って暴言)、感情の調整(ストレス状態だと怒りやすくなる)が起きやすい
・幼少期にストレス体験が多いと、ストレスに反応しやすい脳になる(Use it or lose itの原則)
・激しく怒られるほど頭に残らず、怒られた記憶と感情だけが鮮明に残る
同じミスを子供が繰り返すのは、大人の伝え方が問題かも
・子供を心理的危険に追い詰めないという前提を守りながら、ノルアドレナリン(やらなきゃ)とドーパミン(やりたい)性のモチベーションをうまく使って子どもの力を引き出す
・自己肯定感がストレス耐性をあげる。そのために否定しない環境を作る。
・心理的安全状態を作るには、安心できる環境にする(失敗しても大丈夫、失敗こそが学び)
・自己決定を促す3つの言葉
①どうしたの?
②君はどうしたいの?
③何を支援してほしいの?
・大人が完璧な人間を演じない、目指さない
大人が完璧だと子供は自分の小さな失敗も汚点に感じ、心理的安全性を脅かす
大人が失敗したり試行錯誤する姿を積極的に見せる
・子供時代は失敗をたくさん経験して、そこから学ぶ時代
・教育の目標は自分で自分を成長させ、幸せな状態を作れるようになってもらうこと。
その実現に不可欠な状態が心理的安全、不可欠なスキルがメタ認知能力。
・メタ認知とは自己を俯瞰的(主観+客観)に捉え、自己について学ぶ機能
・自分と向き合う習慣がない人ほど他責になる
他責は生まれ持った性格ではなく、脳の使い方の癖。
・外部評価に依存して自己形成すると、周りの意見に流されたり、周りを気にして積極的に行動できない脳になる
・メタ認知能力を高めるためには、
子供を責めない、否定しない(失敗しても大丈夫、みんな違ってよい)、自分ではどう思うのかを聞く
・ピグマリオン効果(教師期待効果)
子供は大人が期待すればよい方に、期待しなければ悪い方に変化する
・問題を起こす子は依存心が強い。自己決定する習慣が必要