日本人が知らない近現代史の虚妄 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815611828

作品紹介・あらすじ

教科書に書かれた日米戦争は、虚構である。本書では、「最後通牒となったハル・ノート」「真珠湾攻撃」「ソ連の対日参戦」など、第二次世界大戦前後における歴史上の重要トピックを年代順に取り上げ、それを『教科書に書かれた通説』と『真実の歴史』と対比させて見せていく。

歴史がいかに捻じ曲げられてきたか。「インテリジェンス戦争」で敗北した日本。その歴史の真実を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 敗戦革命論。レーニン。資本主義国同士を戦争させ、一方を敗戦に追い込み、その混乱に乗じて一気に共産党化させよう。レーニン全集(第31巻、大月書店、1959)。

    日米を戦争させたい。米共産党の設立。ソ連スパイに侵食されていた民主党ルーズヴェルト。日本政府はそれを把握していた(『アメリカにおける共産主義運動』)。

    ヴェノナ文書。在米のソ連スパイと本国との暗号伝聞のやりとりをまとめた文書。1940~1944までのやりとり。

    カティンの森、ナチスドイツの犯行とされており、英仏米も沈黙していたが、ソ連の犯行だと判明。※歴史が「修正」された。

  • 2022/03/13 amazon 891円

  • 近現代史において、ソ連が如何に暗躍し、世界を引っ掻き回してきたか理解でき目から鱗が落ちた思いがする。アメリカで公開されてるヴェノナ文書の存在も、そこに書かれている内容も公になっているにも拘らず日本では殆ど知られていないのではないか。
    それにしても、ソ連指導者はレーニンの頃から、欧米よりも何枚も上手だったことに驚く。ソ連のスパイ工作が阻止されていたり、アメリカや日本国内、中国にソ連の謀略に反発する勢力に世の中を動かす力があったら、歴史は変わっていたのかもしれない。
    アメリカ民主政権の「弱い日本」共和政権の「強い日本」考え方の相違がありアメリカも一枚岩でないこともよくわかった。
    歴史の動いた節目節目に工作活動があることがわかり、大変わかりやすくスリリングで面白かった。結局第二次世界大戦後の世界が、如何にソ連の影響下に置かれ、蹂躙されてきたかだけでも冷静に見たら、ソ連が正義とは言えないし、正義たる戦勝国側にソ連がいた背景もよく知らないといけない。
    今おきているウクライナ侵攻もロシアからすれば「開戦事由」を具備した「自衛戦争」ということだろう。ロシアがソ連の流れを組んでいることを思えば、今回の戦争も一筋縄ではいかないのは間違いない。

  •  近現代史において、いかに日本が当時の刷り込められた認識を未だに脱することが出来ていないかということを改めて骨身に染みた。
     歴史における認識を新たにするのは、機密文書の公開を受け、やはり第一資料に当たることが大事である。
     未だに日本は近現代史において自身で総括すらも出来ていないのではなかろうかと考えさせられるのは、当時の考えをしっかりと把握せず、最も重要な歴史問題においてもどこか他人行儀だからであろう。
     目に見えなくても明らかに日本を侵蝕していることがある今日において、最低限でも近現代史を学ばないことには同じ轍を踏むことになろう。
     本書は通説と見直しという体裁を取りつつ、あまりに知識不足な日本人に、近現代史における歴史をアップデートしてくれる一助となるものである。
     それにしても今にしてウクライナ侵攻をしているロシアは、まさに当時のソ連の恐ろしさ、狡猾さを踏襲していることは間違いないと思わされる。

  • ルーズヴェルトがソ連工作員とズブズブなのは知ってたけど、ヴェノナ文書に基づく詳細な話が知れて非常に興味深かった。ソ連(現ロシア)や共産主義がいかに恐ろしいものか再認識したし、これを教科書にして欲しいくらいだが、日本の教科書選定委員や日教組は極左集団やから無理か(笑)。

  • この本に限らず、江崎先生の本は、日本人必読。
    かの大戦を挟んで一体何があったのか、今何が起きているのか。
    米国ですら歴史の見直しが行われようとしてるのに、全否定が当事者の我が国と、面倒臭い隣国ばかりって、おかしくないか。
    江崎先生の本にしては、表面なぞった感じだが、初めてこの歴史観に触れる人向けなんだと思う。

    露国の非道と謀略は、まさに今のウクライナにつながる。
    次はうちだよ。

  • とかく歴史を勉強していくと、旧日本軍が戦争を拡大していった、だから東京裁判で裁かれて当然、という風潮ばかりに行きつく。日本人としての誇りや声高な感情論に負けることなく、これからも、冷静に歴史を見つめていきたい。

  • 正直、期待していなかっただけに、収穫が有ったことは嬉しい。「虚妄」の語が持つ複雑性を知りたくて借りた。

    内容的には今日の国際問題の原点ともいうべき示唆が有り、今後の国際問題を切り開いていくキーワード・・インテリジェンスを知ることが出来た。

    歴史を学んだ大学二年まで、私は育った時代は【現代史】が欠けていた・・と言うか、近代史も今思うと欠陥が有ったように思われる。

    今回特に面白かったのはWWⅡの敗戦処理前夜から朝鮮動乱にかけて。
    アメリカの民主党・共和党の本質~20世紀の始まりからの対外処理~ウィルソン施政~ルーズヴェルトの正体~マッカーシィー上院議員問題とその後への影響~そして通じて蝕みを広げて行ったソ連スパイの所業

    民主主義国家ランキング・・なんて今でこそ語られているが若いころ観てきたそれは霞が掛っていたように思える。
    ジェンダーランキングは有名になったけれど、国家機密文書の膨大な存在と公文書公開制度が出来ていないわが国・・民主主義国家への歩みは初期レベルで凍っているような状況

    全て真実と思って読まない、考えないようになった私でも大きくうなづける中身、しかも平易な語り口、よかった。

  • 復習的な本だけど、最初のソ連に対する東欧の反応などは、今のロシアとウクライナの情勢に通じるものがあると思いました。俯瞰して物事を見れるようになれればいいなと改めて思いました。

  •  今まで読んできた本のおさらい的な要素が強かった。
     ケロッグ・ブリアン条約なんか改めて勉強すると、東京裁判はいかに結論ありきのひどいものだったかわかる。だが、この東京裁判への見方が変わってきているのが事実なので、日本側もせめて足並みをそろえたいところ。実務レベルではやってるとは思うが。
     ちょうどロシアがウクライナに侵略したタイミングで読んだため、戦後の東欧諸国におけるソ連の支配についての記載は胸に響いた。

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著者プロフィール

江崎道朗(えざき みちお)
評論家・情報史学研究家、麗澤大学客員教授。1962(昭和37)年東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフを務めたのち、現職。安全保障、インテリジェンス、近現代史などに幅広い知見を有する。2019年第20回正論新風賞受賞。オンラインサロン「江崎塾」主宰。
著書に、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』(以上PHP新書)、『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ、第1回アパ日本再興大賞受賞)、編訳書に『米国共産党調書』(育鵬社)など多数。

「2023年 『ルーズヴェルト政権の米国を蝕んだソ連のスパイ工作-ー「米国共産党調書」を読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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