資本主義全史 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815615277

作品紹介・あらすじ

トマ・ピケティの『21世紀の資本論』、最近、話題となっている『人新世の資本論』など、グローバル化する世界の中で、資本主義はどのように変貌してきたのか、資本主義がもし終焉するのであるならば、どのように終焉するのか。本書では資本主義がいかに世界に影響を与えてきたのかを歴史の流れの中で追っていく。『資本論』などを読みこなすのは、難解であるが、資本主義がいかに世界史を成立させてきたのか。ストーリーとして論じることで、読者にとってわかりやすく、興味を持てるものとして伝えていく。

感想・レビュー・書評

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  • 『そもそも資本主義とは人類の歴史そのものである』
    至言。

  • 資本主義の歴史を駆け足で解説。
    資本主義が、なぜアジアや中東でなく、ヨーロッパで起きたのか。農民を土地から開放できたこともですが、プロテスタントと資本主義の精神では、働くことを宗教と結びつけることで発展してきた部分もあるのかなと感じました。その後、資本主義が帝国主義と結びつき、2度の戦争を繰り返す。
    戦後、アメリカの一強体制やリーマン・ショック、アジアの勃興などを通じて、資本主義の中心地は変遷を続ける。
    日本も製造業が強かったバブルの時代もあったかもしれませんが、経済に勢いがある国は、自信に満ち溢れたひとが多い気がします。資本主義が人の豊かになりたいという気持ちを剥き出しにしてきたせいでしょうか。
    ウクライナ情勢や、日本のこれからなど行く末は気になることばかりです。

  • 的場昭弘(1952年~)氏は、慶大大学院経済学研究科博士課程修了、東京造形大学助教授、神奈川大学短期大学部教授等を経て、神奈川大学経済学部教授。専門はマルクス研究、社会思想史。マルクス研究関連の著書多数。
    本書は、19世紀のヨーロッパに始まった資本主義が、20世紀の社会主義との競争に勝利しながら、21世紀に入った現在、その限界に突き当たっているように見える中で、その歴史をまとめたものである。
    私は従前より、世界に広がる格差と、それを生み出す資本主義に問題意識を持っており、水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』、トマ・ピケティ『21世紀の資本』、ジョセフ・E・スティグリッツ『これから始まる「新しい世界経済」の教科書』、広井良典『ポスト資本主義』、『無と意識の人類史』、斎藤幸平『人新世の「資本論」』、大澤真幸『新世紀のコミュニズムへ』、柿埜真吾『自由と成長の経済学』、中村隆之『はじめての経済思想史』、荒谷大輔『資本主義に出口はあるか』、ブランコ・ミラノヴィッチ『資本主義だけ残った』、セルジュ・ラトゥーシュ『脱成長』等、幅広い分野、様々なスタンスの本を読んできたが、資本主義の200年の歴史を振り返ったものとして、本書を手に取った。
    章立ては以下である。
    序章:資本主義とは何か
    第1章:資本主義という社会がそれまでの社会とどう違うか
    第2章:資本主義の始まり――19世紀のヨーロッパ
    第3章:産業資本主義から金融資本主義への移行
    第4章:戦後の経済発展と冷戦構造――資本主義対社会主義
    第5章:資本主義の勝利へ――グローバリゼーションの時代資本主義を読み説く
    第6章:暴走する資本主義――ソ連・東欧の崩壊から金融資本主義へ
    第7章:資本主義のゆらぎ――リーマンショック後の世界
    終章:資本主義の後に来るもの
    歴史を追うことに主眼を置いており、メッセージ性は強くないものの、資本主義のプラス面・マイナス面、更に、資本主義の将来、ポスト資本主義について考えるにあたって理解が不可欠な、資本主義を軸にした近現代史を再確認できる一冊である。
    (2022年5月了)

  • 参考図書

  • 基本のおさらいにはいいけど、資本主義の歴史に対する考察は薄い。あくまで、歴史の全体感を把握するには良い一冊。

  • 東2法経図・6F開架:332.06A/Ma72s//K

  • 資本主義に関する人物と主な出来事 資本主義とは何か: 制度+勤勉と節約精神 血まみれの吸血鬼 資本主義という社会がそれまでの社会とどう違うか 資本主義の始まり─19世紀のヨーロッパ 産業資本主義から金融資本主義への移行 戦後の経済発展と冷戦構造─資本主義対社会主義 資本主義の勝利へ─グローバリゼーションの時代 暴走する資本主義─ソ連・東欧の崩壊から金融資本主義へ 資本主義の揺らぎ─リーマンショック後の世界 資本主義の後に来るもの: 資本主義のこれから アジア型資本主義の可能性 アジアの勃興 近未来の世界

  •  資本主義をきちんと捉え直すにはとても良い本だった。ソ連の崩壊以降、世界中が資本主義に統一され、グローバル化が一気に進んだが、冷戦時代に比べて私たちの生活は苦しくなった。東側の人々が競争に参加したこと、そして無国籍企業が国民国家の利益を超えて跋扈するようになったため、先進国の産業は空洞化し技術移転は進む。
     そしてウクライナ戦争のように常に戦争ビジネスを「正義」を語って推進する勢力がいる。もはや政治家の全てが資本家の手先となり、弱者の利益代表は世界中で限りなく消滅している。
     確実なことは、資本主義は人類の未来の責任はとらないということである。正義を語った利益のための戦争は続くし、地球環境は破壊し尽くされるのだが、利益の収奪競争をしている人達がリーダーなのだから、利他を優先するのはポーズでしかないのだ。

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著者プロフィール

的場昭弘(まとば・あきひろ)1952年宮崎県生まれ。マルクス学研究者。1984年、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。一橋大学社会科学古典資料センター助手、東京造形大学助教授を経て現在、神奈川大学教授。マルクス学の提唱者。マルクスの時代を再現し、マルクス理論の真の意味を問い続ける。原資料を使って書いた作品『トリーアの社会史』(未來社、1986年)、『パリの中のマルクス』(御茶の水書房、1995年)、『フランスの中のドイツ人』(御茶の水書房、1995年)をはじめとして、研究書から啓蒙書などさまざまな書物がある。本書には、著者による現在までのマルクス学の成果がすべて込められている。

「2018年 『新装版 新訳 共産党宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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