学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち (SB新書)
- SBクリエイティブ (2022年9月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815615833
感想・レビュー・書評
-
学校を共生社会創りの基本を説く、分かりやすい名著!
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学校だけでなく職場でも使える考え方だと思った。
発達障害をお持ちの親御さんには耳が痛い話かもしれないが、読むことをおすすめします。 -
本田先生のSB新書シリーズは本当に良書ばかり。
今回も「学校」をキーワードに分かりやすく特性についてまとめられていた。
-
たまたま書店で見つけて読んでみた。私自身が発達障害と思われる生徒と接して、だいぶん苦労したのは過去に1人だけだ。保護者からコミュニケーションがとれないと心配してこられたケースは何件かあったが、ほとんど問題にもならなかった。パートナーの現場では毎年複数の子どもたちが通級指導を受けるなどという話を聞く。特に今年度は、ASDと思われる生徒にかなりの時間を割いているようだ。もうこれは学校で抱えるのは無理で、専門家に任せるべきだろうと思うが、知的障害があるわけではないので、ふだんは通常学級となっているようだ。周りに合わせるのは本人も相当しんどいのだろうと思う。さて、著者と私とでは見てきた子どもたちが違うわけで、感じ方も大きく異なるようだ。私の方はどちらかというと学校の中では標準レベル以上の生徒ばかりを見てきている。著者は基本的に何らかの問題を抱えた子どもと接することが多いだろう。しかしそれでも、参考にすべき点が多々あった。まず目標はちょっとがんばればなんとか到達できるレベルに設定するのが良いと、ずっと思ってきた。高すぎる目標(きっと親の)が子どもたちをつぶしていくことも感じていた。しかし著者は、目標はもっと低く設定すべきだという。簡単にクリアできて自己肯定感を持てるようにすべきだと。そのことでモチベーションを維持することができる子どもが多くなるのだろう。誰にでも一律にそうするのが正しいとは思わないが、ひとりひとりを見てそういう対応もしていくべきなのかもしれない。宿題についてはわりと似た発想で、全員ここまではやってほしい、さらに余裕のある人はこの発展までやってみてね、と言うように心がけている。意欲的な生徒はやって来るし、そういう子は確かに伸びていく。配布物が親の手元に届かないというようなケースは私も何度も見ている。基本はクリアファイルを1つ準備してもらって、もらったプリント類はすべてそこにしまう。親はそこから必要なものを見つけ出す。ということで、解決はしている。もっとも、今後はすべてメールで一斉配信などということにもなるのだろう。連帯責任には気をつけなければいけない。先日も卒業生が言っていた。全員が正解すれば先生がプレゼントをくれると言う。何度も自分だけが間違えた。結果、そのクラスに居づらくなった。モチベーションアップのためにとそんな方法を使うべきではない。ちょっと想像すればわかることなのに。このところ気になっているのは、中学受験のクラスに通う多くの子どもたちが学校は楽しくないと言っていることだ。おそらくペースの遅い子どもたちのことを待たされるのがいやなのだろう。ときには塾で習った方法を使って解いたりすると、学校の先生にダメ出しをされたなんていう話も聞く。担任の先生を信頼しないどころか、バカにしている子どももいる。私としては、学校はできれば楽しいところであってほしい。その上で、さらなる知的好奇心を満足できる場に我々の教室がなっていればいいと思う。最後に、「小1の4月から特別支援教育を受ける」ということを何度も著者が強調されているが、なるほどと思わされた。みんないっしょがいつでも良いとは限らない。「その後の社会適応が良くなる」ということは専門家の間では常識のようだ。私もまだまだ学ばなければならない。