- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784816705755
作品紹介・あらすじ
読みたい。この時代にこそ。貧しくても助けあい希望を持って生きたころがあった!佐賀県の炭住を背景に両親を亡くした少女が兄らと懸命に生きる姿をつづった不朽の名作。
感想・レビュー・書評
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小学校低学年の子がここまでの文を書けるのだろうか?と思ってしまうが、ひと昔の人は歳が若くても結構な文章を認めていた例を何度も見ている。松山の「坂の上の雲ミュージアム」に行った時も、秋山兄弟が残している手紙などを読んだ時にも、10代でこの様な文章(見事な筆遣いと共に)が書けたのか?と思わされたものだ。
お金が無い事が不幸に直結するとは限らないし、多くの場合その逆のケースの方が多いと思っている。とは言っても、今の空腹をしのぐ事すらままならない状態にあって、この様な精神性を保てたというのは、長兄・長姉の姉弟への思いとその行動力に大きく支えられていたに違いない。先生や周りからの様々な小さな助けがこの日記に見られるのは、著者がそれらの親切を理解し素直に感謝する心を持っていたからだろう。
ここに書かれている事は昔話ではなく、今もあちこちで起っている日常かもしれない。この本を読んで心が震わされたという事象のみで終わるのではなく、現代の日本において実際に手を差し伸べられる者となりたい。その思いを具現化するためには何をすれば良いのだろうか? -
炭鉱町に育った10歳の少女の日記です。私が1冊の本を読み通したのは、これが初めてという記憶です。
熊本学園大学:職員 (図書情報課長) -
・これは確かに読まれるべき文。少女の日常を記した文がなんでこんなにも力強く届いてくるのか。この年齢でしか書けない何かがある。つまりその何かってのは、我々が成長して身に付けてしまった遠慮や躊躇ってフィルターを通さずに見た世界だ。「無邪気さ」の一言じゃあちょっと説明しつくせない筆致でそれが書かれてる。だから拙さや内容の他愛も無さを抜きにして、わけも無く感動する。胸に響く。
・なので、ラストの入院日記についてはちょっとその魅力が薄れたような印象。中学生にもなるとそりゃそうだよね。
・日記の内容は他愛もない内容だけど、兄弟姉妹だけで生きている4人の姿には心を打たれる。さらに戦後の貧乏生活の様子が垣間見えてとても興味深い。さらに興味深いのは、彼らは朝鮮人のはずだが、この時代にほとんど差別的な扱いを受けたりせず生活しているところ。炭鉱という地域の性質もあるのかな。
・読後自分の娘にも日記を書く習慣を持って欲しいなと強く思った一冊。千代田区立図書館にて借りる。 -
が、それから二ヶ月ほどたったある日、ふと気づいたのです。
「どうして、こうあきもせず、同じものをくりかえし読んでいられるのか」と。
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日記をしたためるという行為の目的は何だろうか。
表現か。
ならば、誰かに読まれなくてはいけない。
記録か。
ならば、誰かに読み返されなくてはならない。
自慰か。
ならば、言葉を選ぶ必要はない。
思考か。
ならば、論理立てなければならない。
発露か。
ならば、もっと意味不明でもよい。
修行か。
ならば、目指すものはなにか。
もはや、
意味を求めることなく
無垢な心でしたためることは
できぬ身か。 -
これは復刻版みたいだけど私自身は親が持っていた昔の文庫で読んだ。多分実家のどこかにあるとは思うけど。
読んだ頃は時代とか苦労が今一つ理解してなかった。
あずき粥の話で食べて見たい等ととんちんかんな感想をもってたりしたっけ。