- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784816708336
感想・レビュー・書評
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白蓮を真面目に読む
著者、監修者、編集委員とも北九州の大学に連なる先生方で、西日本新聞社発行のこの本は、白蓮と彼女に関わる人物と事件について、資料を紹介しながら、丹念に書き上げています。
白蓮の二人目の夫、伊藤伝右衛門、三人目の夫、宮崎龍介も九州の出身。
白蓮の父も白蓮に関わる人々も西南戦争に関わり、伝右衛門少年は、弾丸運びに命をかけて、家計を支えた。
伝右衛門も龍介も大きな人。
白蓮もスケールの大きな人。
龍介との出奔事件も労働争議や大正天皇の縁戚であることなど、大きな背景の中で対応策がとられたことなど、詳しく言及されています。
龍介の母の姉が、漱石の『草枕』那美さんのモデル、前田卓子さん。
白蓮の華々しい生涯を真面目に語るこの本に、読み手の思い入れのある人物との関わりを知り、驚かされるかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
白蓮さんにはあまり同情できひんけど、話の合わん男の人と無理やり結婚させられるのはまあしんどいことなんだろなー。
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朝の連ドラを観ていて興味が湧いた白蓮と言う女性。彼女の人生を知りたいと思って選んだ一冊。
ドラマでの白蓮や伝右衛門イメージが、この一冊を読んでかなり変わった。
白蓮の絶縁状と伝右衞門の反論文両方が載っており、白蓮こと燁子だけが苦しかったわけではない事もわかる。白蓮こと燁子だけが悲劇のヒロインでもなく、どちらかと言えば被害者意識とお姫様意識が強すぎた故の不幸な結婚生活になってしまった側面もあるような・・・
特に残念だったのが、夫伝右衞門を嫌うがあまり、自らお金を使って別の女性たちをあてがったと言う事実は身勝手なお姫様的行動としか思えない。その後ろめたさも後々、女性たちを解放するために大いに働く原動になったのだろうとも思えるけれど。
そして辛く苦しい結婚生活があったからこそ歌人白蓮が生まれたのだとすると、全ては必要な出来事なのだと思える。
伝右衞門も炭坑から新しい時代を造りあげた功績はかなりのもので、燁子の悪夫と言うだけのイメージはふさわしくないと思った。
いずれにしても不幸な結婚から自分らしく生きることを選んだ白蓮こと燁子。人は誰でも間違いを犯すもので、そこから本当に正しい生き方を学ぶものだと
と言うのがよくわかった一冊です。
余談ですが、晩年に老夫婦になった二人が別府に訪れた写真はとても感慨深い。
巻頭の