散歩の収獲

著者 :
  • 日本カメラ社
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本棚登録 : 74
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784817921277

作品紹介・あらすじ

町行けばカメラにしみ入る数寄ごころ、赤瀬川原平極上の散歩術が花開く。

感想・レビュー・書評

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  • 散歩中に、気に留まった、目に留まったモノを写真に撮って、ひと言添えた写真集。

    散歩に出てればいろんなものに出会います、これからは立ち止まって、写真をパチリ、撮ってみますよね。

    二枚目の写真は、前に撮ったのをまずはご紹介・・お題は「ごみ溜めに鶴」ですか。

  • 赤瀬川原平の手に、いや目にかかれば、路上の何気ないものたちが騒ぎ出す。
    一見ふつうだけど何かヘン。そんな光景をカメラで採集した成果。
    物は言いよう、というのは本書のこと。

    冒頭の写真には、2つのカラーコーンが写っている。その片方の上には誰かがのせた自転車の黒いサドルが見える。もう一方には、傘の柄?みたいなものがてっぺんに差し込んである。これを赤瀬川原平は「把手のお茶会」と名付ける。そして短いキャプションが付されている。

    「正客のサドルがまずは時候の挨拶。この場所の管理者の豊富なヒマ潰しが数寄心に転化したらしい」

    おお、と感心したのは、「伝・光悦」。たぶん本阿弥光悦のことだろう。

    塀際にのたくる枯れた朝顔かなにかのツルに陽がさし、その影がまるで襖絵に描かれたダイナミックな筆の運びのように見える。言われてみるとほんとにそう見える。

    「太陽の光は達筆だ。この優美な線は光悦に違いない、と思っているが、曇りの日は非公開」

    このように赤瀬川氏の見立てもすばらしくそしてクスっと笑えるのだけれど、市井の人々の多大なブリコラージュ的創意のおかげも大きい。この場合、赤瀬川氏はただそれをカメラにおさめるだけでよいのだ。

    「謎の宣言」
    これは文字通り、看板に書かれた謎のメッセージを写しただけの写真。その看板には、「注 ここは質屋ではありません」とだけ書かれている。爆笑した。キャプションはこう。

    「家のたたずまいがそう思わせるのか。たぶん玄関を何度も暗い顔に訪問されて、ついには業を煮やしたようだ。」

    次も笑った。「金次郎、カスタム・デラックス」

    「ブロンズ製は豪華だ。担ぐ荷も伝承通り、細い柴の枝となっている。背景には富士山までも。」

    ほぼキャプション通り。ブロンズ製の二宮金次郎像が岩の上に立っていて、なぜか背後の岩からはミニ富士山がにょきっと生えている。

    いちばん考えさせられたのは「雨に雨」。雨の日の路上にチョークで、「雨」と書かれている。その上には自転車が停めてある。いったい誰が、なんのために。

    いや、意味なんて求めてはいけないのかもしれない。
    本書をめくっているとしだいに、私たち人間にとって、ものは言いようでしかない、ということがよくわかってくる。
    もしそうであるなら、やっぱり愉快なほうがよい。

  • 2010年の作品。昔の路上観察の様なパンチははいけれど、まったりしててこれはこれで良かった。

  • 原平先生の本。
    ゆるーく楽しめてよろしいのではないでしょうか?
    私は好きです。

  • 日常を切り取った非日常

  • カメラをもって
    散歩にでたくなった。

  • 散歩で見かけるごくごくありふれた光景に赤瀬川氏の手により活き活きとした生の魂が吹き込まれる。鋭い観察力と洞察力、物の本質を見抜いていればこその離れ業。笑いを誘うもの、驚かされるもの、興を誘う味わい深いものがたくさんある。それぞれには赤瀬川氏が絶妙なタイトルをつけておりこれもメッサ秀抜。

  • カメラを持って散歩したくなりました。風景に添える文章ひとつで写真が生き生きとしてくる。見習いたいものです。

  • 密告者 と タワーの蹄 が特に好き♥
    赤瀬川さんの写真集を見るとカメラを持って出かけたくなる

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「カメラを持って出かけたくなる」
      判ります!
      私は移動時に余裕があると、横道に逸れてしまい。そして遅刻のピンチに見舞われる場合も←アホですか...
      「カメラを持って出かけたくなる」
      判ります!
      私は移動時に余裕があると、横道に逸れてしまい。そして遅刻のピンチに見舞われる場合も←アホですから。。。
      2012/11/30
  • 赤瀬川ワールド全開の写真集。いいなあ。今回は特に分別庵(p.13)が好きだ。ところでのこの本の写真,深い色をしている。ほんとにデジカメで撮った写真なのかな。

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著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)
1937年横浜生まれ。画家。作家。路上観察学会会員。武蔵野美術学校中退。前衛芸術家、千円札事件被告、イラストレーターなどを経て、1981年『父が消えた』(尾辻(★正字)克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞を受賞。著書に『自分の謎(★正字)』『四角形の歴史』『新解さんの謎(★謎)』『超芸術トマソン』『ゼロ発信』『老人力』『赤瀬川原平の日本美術観察隊』『名画読本〈日本画編〉どう味わうか』。また、山下裕二氏との共著に『日本美術応援団』『日本美術観光団』『京都、オトナの修学旅行』などがある。2014年逝去。

「2022年 『ふしぎなお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

赤瀬川原平の作品

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