都市改革の思想: 都市論の系譜 (都市叢書)

著者 :
  • 日本経済評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784818814462

感想・レビュー・書評

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  •  職場の図書館で、借りてきた。

     著者名が図書館のラベルに隠れていたので、本間さんの本とは知らずに借りてきてしまった。従来、本間さんの本はほとんど読んでいなかったが、これを機会に読んでみて、納得する部分がある。

     本間さんは西山卯三先生、磯村英一先生をあげて、東大の高山英華先生、丹下健三先生と比べている。まあ、簡単にいうと、西山、磯村先生の肩を持っている。

     ただ、都市縮小の時代、経済成長が見込めない時代を正直に見据えたときに、かえって考えなければいけないと思う点あり。

    (1)弱者への視点の大事さ。

     西山先生や磯村先生は、大規模な国家的プロジェクトには関与せず、むしろ反対する一方で、弱者、低所得者や同和地区など、いわゆる弱者への視点を大事にする。

     今、格差問題などいわれているが、経済自由主義の底辺で苦しむ弱者への都市計画、住宅政策の観点を忘れてはいけないなと思う。

     一方で、高山先生のことも批判ばかりではなく、再度勉強してみようと思う。

    (2)石川栄耀先生への批判。

     特に、戦災復興計画について、計画人口想定を350万人に設定したこと、アムステルダム原則をそのまま適用したことについて批判している。(p262)

     自分としては、石川先生には、繁華街政策など今のまちづくりに通じる点、都市縮小時代での緑地地域の再評価もありえると思う。

    (3)国会議事堂のバックアップ施設の提案(p305)

     国会議事堂は、古い建築物だし、アタマが重そうなので耐震性は大丈夫なのだろうか。一度、官庁施設群の耐震性と首都直下のバックアップ体制を官庁営繕部に聞いてみよう。

     いずれにしても、都市論を都市工学的な観点からではなく、住居論、都市社会学の観点から、わかりやすく論じている。

     以前は、なんとなく、左翼的で気になった西山理論なども素直に読めるようになったのは、自分が成長したのか、時代がかわったのか?

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