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- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784818826069
作品紹介・あらすじ
帝国日本の拡大はいかなる観光を生み出し、観光はいかに帝国日本を支えたのか。 内地、台湾、朝鮮、満洲、青島の観光開発、誘致事業、メディア表象に着目した10の論考を収録。観光史・鉄道史・経済史・メディア史の研究者が日本の近代と観光の関係に迫る。
感想・レビュー・書評
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帝国期日本の産業開発や振興は、官、国策と完全に無縁ではないだろうが、特に外地観光ではその感が強い。総督府や満鉄、ジャパン・ツーリスト・ビューローなど官又は半官半民組織は案内書、映画、修学旅行誘致などで活発に観光振興を図る。どの地でも帝国支配を強固にするとの政治的目的はあったようだ。一方、朝鮮における観光の大衆化が戦後にも繋がるという当局の意図せざる効果も本書は指摘。
また、外地旅行は単純な観光だけとも言えない。台湾総督府が編集発行した案内書では、清国統治に由来しがちな史跡や自然景勝地よりも、日本統治期に建築・開発されたものを重視。少なくとも台湾統治前半期、宿泊客はレジャー目的よりも官吏や商人というビジネス目的が多かった。
内地を扱う論文では、名鉄の沿線観光事業からは楽しげな大衆レジャーが伝わって来る。それも戦時期には身体鍛錬のような名目が必要となり、ついには制限や中止となるが。また、東海道線東華軒の駅弁営業は、新線開業や経路変更、鉄道弘済会発足といった鉄道当局の政策に翻弄されていたことが分かる。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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