リーダーシップ 新装版―アメリカ海軍士官候補生読本

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784820119166

作品紹介・あらすじ

1981年(初版発刊)以来35刷りを重ねた不朽の名著を現代的な日本語訳として監修を行った日本語版第2版。未曾有の世界的な金融危機下で、今、改めて問い直される「リーダーシップ」の実践的意味を古き良きアメリカの普遍的な知恵に学ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 本書はアメリカの海軍兵学校の生徒を主に対象として1959年に書かれたものの翻訳書。翻訳がこなれておらず、前半はあまり頭に入ってこなかったが、後半は具体的実践的な話になっており読みやすくなった。
    海軍士官向けのリーダーシップ論であるが、企業におけるリーダーシップにも十分通じるもので、特にピラミッド型の大企業であればなおよく理解できると思われる。

    ・リーダーシップは孤独な仕事
    ・リーダーに共通と考えられる人格的特性
     自信、知識、熱意、力強くかつ明確に表現する能力(口語・文章両方)、無能な不適任者をふるいにかける道義的勇気、大義のために何かをしようとする意思
    国家に対する忠誠、肉体的勇気と精神的な勇気、名誉・正直・真実、信義、宗教的信仰、ユーモアのセンス、謙虚、常識と良い判断、健康・エネルギー・楽観主義
    部下を名前で呼ぶ能力、寛容、良い聞き手、節制(酒に飲まれるな)、弁説の力、話しぶり、口頭による命令(明瞭で明確な指示)、集団の前で話すこと(わかりやすく、事前準備、コメディアンになろうとするな)、正確なスピーチ(読書や研究伝幅広い見識を持て)、書き言葉(言葉選びは細心の注意を払え、文章力を伸ばせ)、
     

  • 2.8

  • 古い!時代が2 ・3 回りほど違う。でも、言っていることは今でも通じることも多いと思う。温故知新。

  • 1959年に書かれた本。
    戦後14年のアメリカ海軍が、非常に合理的にリーダーシップを捉えていた、ということがわかり驚きに満ちあふれている。
    印象的な部分は、
    ・心理学について歴史から書かれている
    ・軍隊は独裁的な組織であるが、平時は民主的でなければならない
    ・海軍は生き方である
    といったところ。

    精神主義一辺倒の日本軍との差があまりにも大きく愕然となるのと同時に、アメリカ人の合理性を思い知らされる一冊。

  • 陸軍に比べて、科学的で理路整然としてた(笑)
    実践となるとなかなか難しい。

    職場での、昇任試験に受かったので、覚悟を決めるために読んだ。
    …それでどうしてアメリカ海軍士官候補生読本なのかというのは、それはそこ、私の感性の問題なのである。

    正直、わが社の研修が不安になるくらい、向いている方向が違う。
    判断力、指導力、行動力、を植え付ける方向の研修が多いわが社に比べ、アメリカ海軍はまず士官候補生に己を知れ、とくる。
    それ、今現役?のわが社のお偉いさんにも言ってよーと思う。

    いやいや、他人がどうこうじゃない。
    自分がどうだ、とこの本は言っているのだから、私は私を知り、部下を知り、職務を知り、そこから行動していこう。

    間違っても「俺が、偉くなりたい」「今自分がいるときだけでいい」なんていう方向に向かないように。

  • <内容>
    アメリカ海軍士官候補生にリーダーシップを教えるための教範のような作品。リーダーシップにも科学的思考に基づき、研究や教育が必要だと主張する。

    ・成員と集団の強い積極的な一体化=メンバーがグループを評価し、グループの評価がメンバーの評価になる。
    個人が集団に安定的な帰属感を与えるとき、メンバーがグループにコミットメント出来る。
    ・伝統:恒久的に重要な不変なものを認識し、内に秘めるもの=技術に拘泥する事ではない。
    ・率先垂範するリーダー、すなわち前面に進み出て自分自身で、部下にしてもらいたいことを行うリーダーにはいっそうよく命令に服従されるもの(pp.111)
    ・勇気をもつこと=恐怖の征服、責任を取ること、たとえ明らかな危険を認めても職責を履行する。
    ・信義:自己に対する信義、人間に対する信義、信義に向かって努力している大義
    ・すべてに迅速に対応する事=社会的正義・義務・仕事
    ・楽観主義:問題の明るし側面を眺めることができる
    ・自制心を保ち、冷戦沈着であり、周囲の人の興奮の感染に影響されない人

  • リーダーシップとはひとりの人間がほかの人間の心からの服従信頼尊敬忠実な協力を得るようなやり方で人間の思考計画行為を指揮できかつそのような栄養を与えうる技術科学ないし天分

    自分の時間や物質的利益を犠牲にしてもこの人格的な力を達成しようとする積極的意思があることを意味している

    リーダーシップは様々な職業に応じて必要条件を異にしている
    階級組織においては 階級が上がるにつれてリーダーシップの形態も徐々に変化していくといえる
    時代の社会的技術的環境の変化にともなって何年にも渡るような

    人びとが制度的な社会機構に身を置く場合 およそ制度の立脚する原則を理解することができればよりよいリーダーになれることは明白である

    一国の軍隊の特性は その国民に基づく

  • 1981年に発刊された、リーダーシップの古典的本。30年も前の内容ではあるが、本質的な部分は現代にも十分通じる。組織マネジメントの基礎知識としておさえておくべき内容といえる。ただし、記述内容がやや難解であるため、一定のリーダーシップの知識を得たほうが理解度は高くなる。

    以下、解釈を含めて要点を整理する。

    ○前提としての定義
    本書は一貫して、以下のリーダーシップの定義を前提に“如何にしてリーダーシップを身につけるか”を語っている。
    「一人の人間がほかの人間の心からの服従、信頼、尊敬、忠実な協力を得るようなやり方で、人間の思考、計画、行為を指揮でき、、かつそのような特権を持てるようになる技術、科学、ないしは天分」

    その上で、必要な要素を3つに


    また、このリーダーシップを理解し、身につけるうえで、フォロアーシップを身につけることを必要としている。フォロアーシップとは、チームメンバーとして必要となる要素であり、「リーダーに対して服従、信頼、尊敬、忠実な協力を行うこと」である。


    ○心理学と行動分析学の活用
    リーダーはフォロアー(チームメンバー)とコミュニケーションを行う必要がある。そのため、心理学、行動分析学の要素を理解しておく必要がある。

    まず、
     ・健全な懐疑主義
     ・客観性
     ・変化への即応性
    の3つを基本的なアプローチとする。

    その上で、以下4点を考慮することが必要となる。
     ・集団における安定した、満足できる社会的関係
     ・集団内部における身分感情
     ・集団内の構成員の地位感情
     ・集団による個人的欲求の満足度合い

    なお、集団に関する要素としては大きく以下の4つが紹介されており、それぞれを決定する要素が紹介されている。
     ・集団の性質 : 規模・構造・密度・集団となった経緯によって決定される
     ・集団の特徴 : 排他性・一体感・ポテンシャル・目的の統一性・安定性によって決定される
     ・個人と集団 : 集団との一体感・組織内の位置づけ・参加の度合い・リーダーへの依存度により、関係性が決定される
     ・集団の構成員の欲求 : 集団との関係性の安全、集団内での地位、集団による地位、評価、報酬、組織の士気により変化する



    ○リーダーに必要な資質
    実践レベルにおいてリーダーに求められる資質を以下の通り上げている。
     ・組織に対する忠誠
     ・行動・判断する勇気
     ・善悪の判断基準(倫理観)
     ・ユーモア
     ・真摯さ、謙虚さ



    ○リーダーに求められること
    実際にリーダーが組織内において求められる要素を次の通り挙げている。
     ・目標設定と計画
     ・専門知識と熱意・強い意志を示す
     ・迅速さ・率先する力
     ・周囲に対する配慮と信頼と協力の獲得
     ・規律を守り、一貫した公正な態度
     ・決断


     
    ○よきリーダーとなるためのポイント
    上記の要素を踏まえたうえで、リーダーとして成功するための追加要素として以下をあげている。
     ・部下を知り、コミュニケーションする
     ・寛容である
     ・自分の言葉で表現する力をもつ
     ・節制する
     ・文書と口頭をバランスよく使う



    ○リーダーが抱えるリスク
    リーダーとして組織内の問題には必ず直面する。その問題点=リスクとしては主に以下のようなものがあり、これらを解決しなければ組織としてのパフォーマンスは発揮することが困難と成る。
     ・リーダーに対する信頼の欠如
     ・チームメンバーの葛藤
     ・成果に対する非協力者の存在
     ・リーダー・チームメンバーの急な異動
     ・正当な評価の欠如

    これらに対して、組織内での承認・適正な評価基準の設定・非協力者の処罰・組織内競争の促進・適正な評価をおこなうことで問題解決を図るべきとしている。



    ○組織を成果に向かわせるために
    組織によって成果を創出するために、リーダーは組織内において以下を対応しなければいけない。
     ・成果に必要なミッションを組織内に全て割り当てる
     ・チームメンバーが自分の責任・ミッションを明確に理解できるようにする(簡潔に整理し、何をすべきかを明確にする)
     ・チームメンバーの特性・職位にあったミッションを与え、必要な権限を最大限委譲する(責任に相応)
     ・矛盾や重複した責任・ミッションの分担は行わない
     ・組織全体の構造に一貫性と正当性を持たせる
     ・複数のリーダーを一つのチーム、または一人の個人に置かない(上長1に対し、チームメンバーNとする)
     ・リーダーがコントロールできないチームメンバーをおかない
     ・指揮系統の安定を図る(他による侵食を防ぐ)
     ・上位にいるリーダー(複数のチームリーダーをまとめるリーダー、会社で言う部長など)は、方針によって組織を統制する
     ・組織内で相互に監視が行われ、統制機能が働く関係性を作る




    古典的な内容ではあるが、現代の組織においてもその概念は十分に適用することができる。野中郁次郎氏が昨今唱えている、賢慮型リーダーシップに通じる要素も、共通善や対話の重要性を説くあたりを中心に多分に存在している。

    ただし、社会環境は30年前と大きく変わり、本書はアメリカ海軍の士官にむけて作られているため、ケーススタディはあくまでも参考情報、といったところ。心理学・行動分析学については、リーダーとして学んでおくべき要素が多いため、改めて別の書籍で内容を深堀りすると知見が広がりそうだった。

  • 良く考えたら当たり前の事、思い返して見るといい先輩だと思った人がやっていたことがわかりやすく書いてます。海兵隊向けかもしれないが人間関係の本質は変わらないので日常に当てはめて読めます。

  • 昔から「平家、海軍、国際派」というように、海軍は進歩的な存在の象徴だったりします。
    それは海軍が戦闘中も非戦闘中も(床下一枚は地獄なので)二十四時間体制で団結している必要性があるからだったのではないでしょうか。
    この本はアメリカ海軍の士官候補生に向けて書かれています。
    その性質上、士官候補生は配属と同時にいわゆる指揮官として配属されることが多くて、
    たたき上げの人からするといきなり年下の上官が来たりして、
    それはそれで心中穏やかではなかったりするわけです
    (この辺の悲哀は「きけ、わだつみの声」などをご参照のこと)。
    というわけでリーダーシップの本です。
    優秀なリーダーの下では生き残ることができるのに、
    そうでないリーダーの下では全滅、なんてことがありがちな軍隊で書かれただけあって、
    生死をかけたリーダーシップ論に背筋を張りながら読むことができました。
    部下にとって上官が生死の鍵を握っているのと同様に、
    上官にとっても部下の動きは生命線なわけです。
    そのような場面ではリーダーシップが取れること自体が、
    命を懸けたミッションだったという部分で、
    今のぬるい自分の立場に身に沁みました。

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