図書館の誕生: ドキュメント日野市立図書館の20年

著者 :
  • 日本図書館協会
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784820486008

感想・レビュー・書評

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  • はじめて図書館へ行った日に、立ち並ぶ書架と数え切れない本を見て、ここは天国だと思った。当時はまだ読書習慣がついていなかったのに、いま思うと不思議だ。私の読書週間ははじめて行って、しばらく通ったその図書館で培われたもので、その頃はまだできていなかったのに。

    ともかく、子ども時代の私が生き延びる助けになってくれたその天国は、どのようにできたのかという、図書館の歴史の一部を示したのがこの本。

    新宿区の図書館のリサイクル図書コーナーで見つけて、古そうな本だしあまり期待せずに借りたら、日本の図書館の黎明期にどんな人たちがどんな夢を見て図書館を作り上げていったのかをいきいきと描いている。

  • 関千枝子『図書館の誕生』(日本図書館協会、1986)を読む。

    図書館史上に名高い日野市立図書館の実像と思想を丹念に追ったもの。著者はジャーナリストの傍ら各地の図書館運動に携わったパワフルおばさんです。

    図書館協会事務局長から日野市の図書館立ち上げ委員を経て市長になった有山、その庇護下で革新的な取組を進めた前川、また各地の図書館からリクルートされた熱い(往々にして迷惑な)好漢たちの物語。

    【本文より】
    ◯日野の図書館がたった一台の移動図書館車ではじまったことは、今も神話のように語り継がれている。これは積極的、精神的面で、ヘタに”建物”を作ってしまうと、図書館はある、小さな市なのだ、一つあれば十分だ、になり、今までの図書館と同じになってしまうという前川の信念からだった。

    ◯”調査活動”の真剣さも、従来の調査の常識とまるきり違うものだった。九州のある市で―。昼の調査活動の終わったあと、宴席が設けられた。市の助役、教育長ら幹部が出席している。地方の幹部にしてみれば、中央の調査団など、そこそこに調査を終えると、一ぱい飲み、地方特産の名物料理でも食べ、旅情を楽しんで帰るもの、という常識しかない。ところがこの調査団の委員たちは、酒ものまず、そそくさと食事だけをし、一時間ほどで席を立ってしまったのだ。市の幹部たちは唖然としていた。引き上げた調査団は協力の現地の委員たちと調査結果の報告、分析、討議を深夜二時すぎまでやった。

  • 何十年か前の図書館は情熱にあふれていたんだなあと考えさせられた一冊。
    プロジェクトX好きにはたまりません。

  • 図書館の水滸伝「日野物語」。日本の図書館の歴史は、日野市の小さな移動図書館「ひまわり号」から新たに始まった。「日本人は本を借りない」、「女性は本を読まない」という俗説を吹き飛ばして。

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著者プロフィール

せき・ちえこ
1932年大阪生まれ。旧制女学校2年のとき広島で被爆。
学校を病欠していたため助かる。
早稲田大学文学部ロシア文学科卒業。
1954年、毎日新聞社入社、社会部、学芸部の記者を務める。
のち全国婦人新聞(女性ニューズ)記者、編集長。
現在はフリーのジャーナリスト。
2014年、安倍靖国参拝違憲訴訟原告(筆頭)。
主著:
『往復書簡 広島・長崎から―戦後民主主義を生きる』
(共著、彩流社)、
『広島第二県女二年西組―原爆で死んだ級友たち』
(ちくま文庫。日本エッセイストクラブ賞および
日本ジャーナリスト会議奨励賞受賞)、
『図書館の誕生―ドキュメント日野図書館の二十年』
(日本図書館協会)、『この国は恐ろしい国―もう一つの老後』
(農文協)、『ルポ 母子家庭  「母」の老後、「子」のこれから 』
(岩波書店)。
近刊として知の木々舎の中山士朗氏との往復書簡を
西田書店から刊行予定。

「2015年 『ヒロシマの少年少女たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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