キャリア・ウェルネス 「成功者を目指す」から「健やかに働き続ける」への転換
- 日本能率協会マネジメントセンター (2021年10月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784820729563
作品紹介・あらすじ
右肩上がりの経済のもと、会社に忠誠を尽くしてハードワークをし、物質的に裕福になるという画一的パターンの「成功(者)」を目指すのではなく、「100歳まで生きてしまうかもしれない人生」において、一人ひとりが自分らしく健やかに働き続けられることを目指す、「キャリア・ウェルネス」という仕事観、働き方の哲学を紹介する。
感想・レビュー・書評
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仕事が忙しくて仕事以外の時間に仕事のことを考える気持ちになれず、しばらく離れていたビジネス書。本屋さんで本書をパラパラ見て、「怠惰な多忙」という単語にグサっときて手に取ってみた。
昭和の就労観(右肩上がりの経済、安定雇用を背景とした24時間働けますか?)と、平成・令和の就労観(停滞する経済、上がらない報酬を背景としたワークライフバランス重視への転換、仕事へのコミットメントの低下)、両者を止揚したところに「健やかなキャリア」がある、というのが本書の主張の骨子。
それを支える形で、労働観の変遷と、著者が実際に研修で使うスライドの紹介が続く。20代〜50代まで、年代別のメッセージが載っていることで、キャリアの全体像を覗くことができてよかった。
専業主婦だった母の期待も半分背負って働くことに憧れながら仕事を始めて、独り立ちするのに必死だった20代が終わりを迎えて、自分がどこに向かっているのかはたと分からなくなってしまっていた。
本書では、「なぜ働くのか」にしっかり向き合い、哲学をしっかり持つことで、キャリアに自律的に向き合えるようになるということを説いている。モヤモヤの解像度が一段上がってよかった。
本書が呼水となってやっとビジネス本を読む気力も湧いてきたので、「私にとって働くとは何か」「これからどう働いていきたいのか」という問いに真面目に向き合ってあげたい(自分自身の精神の安泰ために)。
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たまたま会社の読書会に選ばれたので、読んでみました。
著者の村山さんは、最近、
「コンセプチュアル思考」という本も読ませて頂きました。
※コンセプチュアル思考
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/479932828X#comment
今回のテーマはキャリア。
著者はキャリアに関する研修講師らしく、
研修で使用している(と思われる)スライドなども使いながら、
「健やかな」キャリアを歩むにはどうするのかについて教えてくれます。
さすが研修講師なだけあって、読みやすいですし、
あたかも著者の研修を受講しているかのような臨場感。
さらに、これは蛇足ですが、
「コンセプチュアル思考」の考え方も出てきます。
興味深かった点がいくつかありましたので、メモ代わりに。
■人(ヒト)というものをリソースの一部とモノののように扱わないところ。
■マインド・観の醸成のために著者が意識していること
①まず概念を起こす(意識は概念から始まる)
②概念を起こすために多面的に考えるきっかけを与える
・言葉による定義づけ(これは、「コンセプチュアル思考」にも出ていた)
・イメージによる肚落とし(絵やたとえの提示)
・具体的行動例による強化
③内省に向かう問い方をする
自分の将来のキャリアに悩む方は、手に取ってみると良いかもしれません。 -
キャリア形成について悩み手に取った。
職業人として、自分がその職業を選択している理由、なぜその仕事をしたいのか、その仕事でどう社会に役立ち続けたいのか、など、整理するカテゴリーが明確になった。昇進だけがキャリアアップでもない。自分が自分らしく健康で継続的に働き続けるための物差しが大事だと気づいた。 -
■読書背景 以前、書籍「目標が持てない時代のキャリアデザイン」を読み、より詳しくキャリアについて学びたかった。 ■感想 書籍の内容としては、著者が実際に研修で使っている講義を載せているので、読み手としてわかりやすいのはもちろん、自分が誰か別の人に伝えるときのイメージとつきやすい。20代、30代、、、と年代別に課題を示してくれているところもグッド。ただ、やはりどの年代も上記書籍でも書いてあるように、「自分がどうありたいか」が大切なのは一緒。
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組織を作るうえで必ず知っておきたい考え方が詰まっていた。自組織のマネジメント全員に読んでほしい。
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これは非常に面白かった。
働くことへの仕事観、何故それが重要視されるのか、するべきなのかが明瞭に記されています。 -
読みやすい本。自分の仕事観を振り返りつつ、"健康的に働くこと"を考えるきっかけをもらえる。
仕事の分類として紹介している"ライスワーク""ライフワーク""ソウルワーク"はキャッチー。もちろん人はいずれか一つに分類できるものではないし、ライフワークやソウルワークに出会える人はラッキーなのかもしれない。ある程度経済的基盤がある人か、あるいは、エンプロイアビリティを"高められる"人であることが条件のような気もしてしまう。
しかし、このような本を読み,組織論を勉強して昨今の悪しき企業体質の報道を見ると、結局、経営幹部や管理者の価値観、倫理観が従業員のウェルネスを決めてしまうのではないかなあと思ってしまう。とはいえ、内発的に動機づけされるのか振り返り、自らキャリアを選択していく、"自律"して働くことへの意識を個々人が持つことを求められているということも、本書を読んで認識したのも事実である。 -
著者の考え方と実践しているセミナーの紹介のような本だが、その分わかりやすく気付きもあった。
この手の本は普段自分が考えていることが書いてあるものを選んで読んでる感じで、納得感が高かった。 -
プロローグ
モーレツ→セイサンセイ
画一的な成功者モデル→多様な自己実現
目的・意味が語られない職場
能力・処し方vs観・在り方
仕事観・キャリア観
健やかさという価値
成功者を目指す→穏やかに働き続ける
第1章 「健やかに働く」ということ
第2章 労働観の変遷
第3章 研修の現場から~「健やかな仕事観」をつくる講義スライド&ワーク紹介
第4章 仕事・キャリア・人をとらえる新しい観点
自律を育む
働きがいの創出
変容する個と組織の関係性
エピローグ
大きな因果の環と小さな因果の環
スキルを拠り所→不安感↑
利発の目<叡智の目
楽観主義の意識で大きな環を動かす -
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