モチベ-ションカンパニ-: 組織と個人の再生をめざすモチベ-ションエンジニアリングのすべて

著者 :
  • 日本能率協会マネジメントセンター
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784820741220

感想・レビュー・書評

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  • 世界初の「モチベーションエンジニアリング」で企業組織の活性化を生業としている、リンクアンドモチベーション社創業者の著である。
    本書の内容は私が参加させていただいた、「モチベーションエンジニアリングセミナー」の一部に沿っており、リンクアンドモチベーション社に興味のある者には打ってつけの入門書として位置づけられる。

    ただ私が読んで気になったのが、「どうして著者はモチベーションエンジニアリングを事業として興そうと思ったのか?」との素朴な疑問に、
    明快な答えが掲げられていないところだ。
    著者はかつてリクルート社で経験を積んだ後にこのリンクアンドモチベーション社を創業しており、リクルート時代の話も含めてその想いを「パンツを脱ぐ」が如く聞き出してみたかったのだが、そのような機会にいまだ恵まれていない。

    リンク社は近々受験する予定なので、この書を読んだことをモチベーションとして、
    「熱く」「強く」「したたかに」向かって行きたいと思う。

  •  本書は、リンクアンドモチベーションという企業の社長、小笹芳央氏の著書であり、モチベーションクライシスの到来と、このクライシスへの対処法であるモチベーションエンジニアリングについて語られている。<Br><Br>
     モチベーションクライシスの到来について、小笹社長(以下、著者と略称)は独自の見解を示している。現在、年功序列型の終身雇用の時代が終わり、成果主義人事制度が多くの企業に導入されている。しかし、成果主義人事制度と評価される側の人との間には個人還元主義の限界という齟齬が生まれ、人材流動化の激しさを増加させてしまっている。そんな中、会社と従業員をつなぎとめるのは、「給与待遇」「地位」ではなく、働く意義を見つけ出させるもの、すなわち「モチベーション」をいかに維持していくかが必要だと語っている。これまで企業は、会社の外に対し、市場調査をし、顧客のニーズにあった商品を提供することで、企業存続をしてきた。だが、人材流動化の時代の中では、会社の外だけでなく、会社の中、すなわち従業員に対してモチベーション調査を行い、従業員のニーズにあった処遇制度、人事考課を与えていかなければ、良い人材はどんどん外部へ流出してしまう、と警告しているのである。<Br>
     私は、この分析にこれまでの考え方を覆され、とても衝撃を受けた。時代の流れとして、年功序列型制度の限界を感じていた私は、成果主義人事制度の導入こそが急務であり、現在問題を抱えている企業は、適切な評価制度が導入されていないのではないか、もしくは年功序列型制度を前提とした中途半端な成果主義人事制度がうまく働いていないのではないか、といった制度の不備にフォーカスした考え方をしていたからである。著者の考え方は、私のこの考え方(これを著者は“外科的手術”と述べている)とは一線を画し、そもそもの原因は企業風土や社員のモチベーションにあり、これらを無視した変革は意味をなさない、と主張している。企業は個人の集合体なのであるから、根本は個々人のモチベーションにフォーカスしたコンサルティングこそがバランスの取れたコンサルテーションを可能にするのである。<Br>
     では、どうやって従業員のニーズにあった処遇制度を見つけ出すのか。それには、まずモチベーションマーケティングが必要だと著者は語る。つまり、従業員が不満を持っている点は何か、満足している点は何かを見つけ出し、もっともモチベーションアップに効果的な施策を見出そうというものである。これまでの時代、モチベーションは「目に見えないもの」として敬遠されてきたものである。著者はその定量化を試み、2つの手法を開発した。「4 eyes Window」と「モチベーションポートフォリオ」である。「4 eyes Window」により、Ice Blockにマップされたファクターを可視化し、組織のモチベーションを下げている根本要因を明らかにすることができる。つまり、企業の状態を知るための健康診断書の役割を果たすのである。私はこの手法にモチベーションコンサルティングという新しい業態の可能性を感じた。一般に、会計という切り口からのコンサルティングを行う場合、財務諸表が健康診断書のツールとして認知されている。今後さらにモチベーションの認知が進めば、全ての企業が毎年(もしくはもっと短い周期で)財務諸表のように4 eyes Windowを作成することがあるかもしれない。一方、「モチベーションポートフォリオ」は、「職務指向特性」を知ることで組織を構成する人材タイプの傾向を把握するというツールである。これを用いることで、社員のモチベーションを高める上で最も適切なコンサルテーションにつなげることができる。「4 eyes Window」、「モチベーションポートフォリオ」とともに、モチベーションを切り口にコンサルティングする上で欠かせないツールであり、見えないものを可視化したという意味で大きな意義を持つ。<Br>
     また、企業のライフサイクル(試行→拡大→多角→再生)において、それぞれモチベーションを維持するために重要なポイントを整理して述べている。私は企業に属したことがないので、実経験に基づいた納得は得られないが、一社員としてある会社に入った時、組織間でのぶつかり合いや、ビジョンの示し方、コミュニケーションのとり方など、様々なフェーズで組織との衝突があることは容易に想像できる。<Br>
     モードチェンジの3ステップ。解凍→変化→凍結の3ステップを踏むことで、形のあるものを可能な限り抵抗無く変化させることができる、という考え方である。これは、普遍的にどんなことにも応用できるのではないかと私は認識している。コンサルティングという事業における実践の場合、変革プランを具体的な形に落とし込むときに、モードチェンジの3ステップは威力を発揮する。<Br><Br>
     このように、著者が「モチベーション」という前人未踏の領域に踏み込み、新たなエンジニアリング手法を開拓していった経緯とその具体性を知り、これには舌をまかざるを得ない。<Br>
     企業の変革という重大テーマに、多くの企業は「経営」「会計」「IT」などの切り口から解決を試みてきた。しかし、本書で説く「モチベーション」という切り口からのコンサルティングの重要性も無視できないことがわかった。今後の展開が楽しみな産業である。

  • モチベーションアップができる組織作りのための手法が書かれています。
    実行するには自分の会社ではまだ早い内容だとは思いましたが、組織文化や雰囲気作りは自然にできるものではなく、作り上げることができるものだと再認識しました。
    そういった点で活かしていきたいと思いました。

  • 年功序列社会の崩壊などによる職業観の変化や、商品ライフサイクルの短命化などによる人材ニーズの多様化、流動化が進む現代において、モチベーションエンジニアリングの重要性を説いた一冊です。チームを率いる立場にある人にはお勧めの一冊です。
    企業はもはや従業員を終身雇用という安定性ではひきつけられない、また、モノからサービスへと市場環境が変化する中で、サービスの源泉はまさに人、その人をいかに成長させ市場ニーズにマッチさせていくかを常に意識する必要がある。このような状況から従業員のモチベーションエンジニアリングの重要性が増している。
    このモチベーション対策の優先順位決定法として、16のモチベーションファクターを従業員の希望と実態との乖離を4象限にマッピングし分析、優先施策を検討する4EYESという手法を紹介している。この手法は非常に分かりやすく実用性も高い。是非使ってみたい。

  • 小難しく書いてあるけど、様は何をモチベーションの厳選にするのか、それを日々小さなサイクルで確認→握り合いをしなさい、という本。

  • 書かれていることはわかりやすいし納得できるけど、授業や別の本で既知の事柄も多かった。あと、イラストが少しうるさい。

  • 「ビジネスパーソンが気持ちよく働ける社会・仕組み作り」に自ら取り組むために転職を決意した私ですが、

    そもそものきっかけは、今の会社で頑張ろうというモチベーションがなくなったことでした。

    モチベーションがなくなるというのは、とかく精神的・感情的な、人間のナマの部分の変化であって、理屈で説明できるようなものではないと思ってました。

    この本はそんなとらえどころのないモチベーションの仕組みを理論的に分解したうえで、企業が限られた原資を浪費することなく活力を取り戻せる手段として、従業員のモチベーションをコントロールすることの効用を説きます。

    著者の小笹氏は、リクルート出身で、退職後はリンクアンドモチベーションという会社を立ち上げ、ビジネスマンのモチベーション向上が会社を変革させるということをテーマに様々なビジネスを手がけられています。

    各企業の人事部は、成果主義の行き過ぎがもたらす弊害に直面している状況で、人事政策の有効な次の一手を打ち出せていないように見受けられます。

    そんな状況を打開する策の一つとして、今後、モチベーションを科学的にコントロールする技術・ノウハウが注目されると思います。

    人事部に所属される方だけでなく、部下のやる気を引き出したい管理職の方にもお勧めできる本です。

  • 時代は変わった!って感じですね。会社の成績を上げる為に、いかに社員を一人のリーダーが牽引するかって事が問われていた時代から、いかに社員一人一人のポテンシャルを上げて、自分自身で各々の目標設定をして各自でその目標に向かって進ませるかという時代に変わってきました。業種、業態に関らず共通する事です。教育現場でも大いに共通するはずです。

  • 材料。

  • 僕が好きな会社の本。

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著者プロフィール

1961年生 大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員などを経て、2000年株式会社リンクアンドモチベーション設立、同社代表取締役社長就任。2013年代表取締役会長就任。

「2019年 『モチベーション・ドリブン 働き方改革で組織が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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