交流分析のすすめ―人間関係に悩むあなたへ (日文選書)

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  • 日本文化科学社
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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784821075041

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  • ☆3(付箋6枚/P172→割合3.49%)

    メンタルヘルスカウンセラーの講座で交流分析を習いました。
    100問ほど質問に答えて、CP、NP、A、FC、ACのどれが高いか測るというものです。そこに表れる数値人の性格の一つですが、一人一人まったく違います。それで、あなたは一般的なコミュニケーションの取り方をしていると思うかも知れませんが、一人一人こんなに違うんですよ、と教わりました(昔やった記憶はあるのですが、忘れていました)。
    そして、心理的な裏の目的があって働きかける「ゲーム」と言われるコミュニケーションがあるのですが、その考え方の基礎となっているのもこの交流分析だ、とサラッと教わりました。
    興味が湧いて質問したところ、この杉田さんの著がまとまっていて分かりやすいとの事。この本と、続いてUPするもう一冊とを教えてもらいました。

    “ゲームには不快な感情がつきものだというお話をしました。では、なぜ、ゲームを演じる人たちは不快な気分を捨てて、さらっとした態度になれないのでしょう。交流分析では、それは当人たちが魔術的な思い込みを信じているためだ、と考えます。この思いこみを公式にしてあらわすと、次のようになります。
    *私がこの不愉快な○○な感情(態度)をもち続ければ、あなたはいつか変わってくれるでしょう。
    *私がこの不愉快な○○な気分に浸っていれば、あなたはいつか私を幸せにしてくれるでしょう。”

    こうした性格形成や、癖は特に小さな時の親子関係から育ちがち。少し前に読んだジャーナリストのインタビュー集で虐待問題を扱っていた人も、どの事件でも必ずそこ(親子関係)にぶつかる、と述べていました。
    多分、自分で読書していたのでは(レビューなど見て)興味は引かれなかったかも知れない本です。こういうことがあるから、系統だった学問の力はあるよなあ、と思います。

    ***以下抜き書き**
    ・多くのエゴグラムを観察すると、ある種の生き方をする人や、ある種の病気を病んでいる人などに、共通したエゴグラムが見られることも事実です。特色あるエゴグラムのいくつかを紹介しておきます。
    1、N型…低いCPと高いACが見られるもので、「ノー」と言わずに、自己犠牲的に他人に尽くすタイプ。自分を喜ばせることをしないので、内心に葛藤が生じる。
    2、逆N型(いろはの“い”型)…CPが高く、ACが低い。N型とは反対で自己中心的なタイプ。他罰傾向があって頑固なため、対人関係のトラブルが多い。
    3、W型…ゆううつな状態にあるときに、このタイプがよくあらわれる。自己破壊的な行動をとることもある。几帳面でまじめだが、やさしさや楽しさといった自然の感情が乏しい。
    4、V型とU型…高いCPと高いACが同時にあらわれるタイプで、強い批判をもちながら、自己主張ができずに常に葛藤状態にある。ジキルとハイドのような二面性を示すときもある。
    5、M型…NPとFCが高くなるので、人間関係は豊かである。一般に適応はよい。ただ、CP、A、ACが低すぎると、行動化が激しく、非行傾向があらわれる。
    6、CPの高い右下がり型…責任感が強く、しっかりしているが、支配的で、ワンマンになりやすい。
    7、ACの高い左下がり型…いい子に見えるが、主体性を欠き、基本的に甘えん坊である。

    ・その日、私は一人の男性患者を面接することになっていました。その患者は、部屋に入って来るなり、開口一番、こう切り出しました。「先生、タバコを一本くれませんか?」
    初対面で、のっけからこんなご挨拶を受けたのは初めてでした。一瞬、私は失礼な人だなと思ったのですが、すぐに気をとりなおし意に介さぬふうをよそおって、「私は煙草を喫いません」と答えました。そして、型通りその人の病歴を聞き出していったのです。その日はこれといった問題もなく、面接が終わりました。ところが、その患者はその日以来、二度と私のところに来なくなってしまったのです。
    あとになって、私は監督教官の精神科医から次のような指摘を受けました。
    「心理療法にやって来る患者は、つねに治療者に受け入れてもらえるかどうか不安に思っているものさ。受け入れてもらえるという安心感をもちたいんだ。だから、きみの場合、患者にタバコを与えることの是非が問題なんじゃなくて、患者が遠回しに何を求めていたか、きみがそれに気がつかなかったという点が問題なんだよ」

    ・一度、この構えが身についてしまうと、人生のさまざまな重要局面で、自分がOKでないことを証明せずにはいられないという、強い傾向へ発展していく可能性があります。たとえば、何度注意されても、遅刻常習の癖を改めず会社をクビになる人、くり返し賭け事に失敗して妻子から見捨てられる人など、最終的な身の破綻を招く道を突き進む人たちがそれです。

    ・飢餓状態にある人は、腐った食べ物でもないよりはまし、と考えます。血の通った、親密な交流ができる人は、真のストロークが得られ、快適な時間を過ごすことができますが、そえrが欠ける人は、『腐った食べ物』―否定的ストロークを求めて、時間を組織化・構造化しようとするものです。つまり、生きていく長い時間をやり過ごすために、時間の過ごし方を自分でデザインし、アレンジするのです。その代表的な方法には次の5つがあると考えられています。
    1、閉鎖(自閉)…これはストロークの欠乏状態にあったり、自分の生き方に自信を失った人びとが、自室や空想にひきこもるという形で、大部分の時間を費やすものです。
    2、儀式…これは挨拶、習慣、家庭行事など社会的な力によって、時間が構造化されるものです。必要最低限のストロークの交換がおこなわれる点で、閉鎖より進歩しています。不信感の強い緘黙児が、イエス・ノーの返事だけに応じるのは、この例といえましょう。
    3、活動(仕事)…これは肯定的ストロークの交換に自信のない人が、外界の事物を用いてストロークを得る方法です。大人は仕事中毒的に働く、子供はガリ勉でトップになることで、家庭の承認や称賛を得ることができます。
    4、雑談…これは、かなりの会話をおこなうものの、感情レベルの交流まで踏み込まない方法です。家族の間で、友人の消息や買い物の話などを相補的な形で交換する事で軽いストロークを得ます。しかし、より深いふれ合いを恐れている場合が意外に多いのです。
    5、心理的ゲーム…これは互いに親密な交流を求めながら、否定的なストロークの交換に時間を費やし、最後に決まって不快感にかられるものです。親が子どもの勉強をみるたびに、くどくど叱ったり、たたいて泣かせるなど、交流がこじれるのが特色です。

    ・ゲームには不快な感情がつきものだというお話をしました。では、なぜ、ゲームを演じる人たちは不快な気分を捨てて、さらっとした態度になれないのでしょう。交流分析では、それは当人たちが魔術的な思い込みを信じているためだ、と考えます。この思いこみを公式にしてあらわすと、次のようになります。
    *私がこの不愉快な○○な感情(態度)をもち続ければ、あなたはいつか変わってくれるでしょう。
    *私がこの不愉快な○○な気分に浸っていれば、あなたはいつか私を幸せにしてくれるでしょう。

    例1 夫は妻の“だらしのない習慣”に年中、腹を立てている。とくに、いくら注意をしても電気をつけっ放しにし、水道の蛇口から水がたれるままにしておく。最近は、「省エネ時代だというのがわからないのか!」とつい怒鳴ってしまうが、やっぱり効果はない…。
    このご主人は、「私が不愉快になって、怒り続ければ、家内はいつの日か、電気をパチパチ消すようになるに違いない」と思いこんでいるのです。「そんな馬鹿な!」と反論されるかもしれませんが、過去5年間も、何ら疑うことなく同じように腹を立てているのですから、その信念は固いのです。

    例2 妻は夫の“非協力的な態度”に落胆し、近頃はゆううつな気分で、口もききたくない。とくに、いくら頼んでも、洗濯物は脱ぎっ放しでかごの中に入れてくれないし、テーブルでは肘をついて食事をする。先日もイヤなので暗い顔をしていたら、夫は朝食も食べずに出かけてしまった…。
    この奥さんも「私がゆううつな暗い気分に浸っていれば、夫はいつかそれを察して、私に協力してくれるだろう」と信じているのです。悲しい顔をして溜息をついていると、相手はそれに同情して、幸せにしてくれるだろうと思いこんでいる女性は案外多いものです。

    ・まず、うつ病の源を探るために、次の考えを理解しておいてください。うつ病になる人の頭の中には、常に高い要求水準をかかげて、Ⓒに迫るⓅがいて、そのⓅはⒸを“OKでない”として、その無能さを責めたり、罰したりしている、という考え方です。
    まず、リラックスして、イメージ法を始めます。現在の年齢から、段々と若い時代の記憶をたどっていきます。
    *あなたの記憶によると、最近最もゆううつに感じたのはいつでしたか。
    *去年は、いつ頃、ゆううつになりましたか。
    *学生時代は、いつどんなことでゆううつになりましたか。
    *中学生時代は、いつどんなことでゆううつになりましたか。
    *同じように、小学生の頃は?
    *初めてゆううつを味わったのはいつでしたか?
    *そのとき、どんなことがありましたか?
    このようにして、子供時代に強い抑うつ感情を味わったできごとを探っていきます。Y氏の場合は、父親を胃癌でなくした日のことを思い出しました。そこで、Y氏に、実際その日その場にいて、悲しいときを過ごしている気持ちになってもらいます。
    *どこにいますか。
    *年齢は何歳ですか。
    *誰と一緒にいて、何をしていますか。
    これに対して、Y氏は次のようなイメージが浮かんできたのです。
    「今日は父の葬式の日です。私は8歳。いま父の遺骨を抱いている。白木の箱の重たい感じ。暗い夜です」
    Yさん、あなたはそのとき、何を心に決めましたか。何か決意しませんでしたか。
    「はい、親戚の叔父たちの、これからお前が一家を背負うんだ、しっかりせにゃいかんぞ、という声が聞こえます。私は、自分が一家の責任をとらなくてはならない、と決心しました。それから、僕は遊んじゃいけない。僕には人生を楽しむ余裕なんかないんだ。ボクがしっかりしていなくちゃ、妹たちも生きていけない。僕は自分をなくして、家のために働こう、といつも自分にいい聞かせて来ました」
    Y氏の禁止令があらわれてきました。

  • 「キッチンドリンカーの妻には夫の愛情、育児ノイローゼの母親には社会性のある交流、そして、青年のターゲット・ストロークといえば、ほぼ信用されることと相場が決まっている」(P.85)

    決め付けはいかんね!けど、その割り切りのおかげで、入門者には読みやすい。

  • うーんそうかもしれないね、でもよくわかんないね、という読後感。こういうのを本で読むことの限界を感じる。

  • なんとなく、どこか、いつも
    似たようなパターンで困っていて、
    それを、どうにかしたくて、
    答えを探して読んだ本。

  • 私はOK。他人もOKとなる関係づくり。
    エコグラム。
    20年以上前の本だが今も有用。

    ストップザゲームになるようゲームな関係が見えた時に適切に対処したい。
    なによりわかりやすい良書。

  • 「人間はみな自分の内部に3つの私を持っている」
     
     という考えを基に、3つの人格を十分に自覚し、さまざまな生活状況のもとでそれらを自由に駆使できるように自分を訓練していくことを目的とする交流分析(Transactional Analysis)を、概論から方法、事例を加えながら、簡単にわかりやすく教えてくれる本でした。

     交流分析の方法は、表面的に頭で納得しても、いざそれを実行するとなると大変な作業だよおおおおとなりました。これは難しい。ストロークの法則とか納得はしましたが、実行ってなると難しいよー。ストローク貯金難しい。脚本分析をして、ゲームに陥っているなと思えたとしても、いざ抜け出そうとしても本当に難しい。臨床域の方はストロークが不足しているとしたら、ストロークプランの5がうまくできなくて、Th.が鏡の役割となって補うということなのでしょうか。

     「基本的構え」として3つの人格バランスができあがる要因として、幼少期の親との関わり方だ、歪みであると断定しているところが少し衝撃でした。そうなってしまうと、どうにもならないから持っている性格を変えるのではなく、パターン分析して実地で行動(パターン)を変えていきましょうということになるのでしょうか。歪みというのと相まって少し認知行動療法を思い出しました。

     自己理解を深めて、あぁこういうパターン傾向があるから気をつけよう、と意識はできるようになるのかも。後からでも意識できるのとできないのとでは違うのかなぁ(・ω・)? 自己理解は後の説明づけで省みた時に自分で納得できるかどうかの手助けになる気はします。それを活かせるかどうかはまた別問題なのでしょうが・・orz

    「愛とは相手のために、相手本位に時間を与えることにある」(T・ブラトエー)

     という精神分析の考え方が、しっくりと物凄く印象に残りました。

     交流分析はエゴグラムの基礎となる概念でもあり、エゴグラム(TEG)を解釈するためには知っていた方がいいのだな、と思いました。もっと交流分析の勉強をしたくなる1冊でした。

  • 杉田峰康先生は、日本における交流分析の第一人者である。産業カウンセラーの受験勉強をした時も、杉田先生の本が一番わかりやすく、大いに参考になった。
    本書は交流分析の基本をきっちりと押さえながら、実生活にも活用できるように書かれている。なにより読みやすく理解しやすい。
    交流分析に関心のある人にはおすすめしたい一冊。

  • 人間関係に悩んだときに読む一冊です。人は役割を知らぬ間に演じています。

  • 人間関係に巻き込まれそうな時。

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著者プロフィール

杉田峰康(すぎた みねやす)
1933年、東京都生まれ。1960年、アメリカのコンコルディア大学卒業(心理学、ケースワーク専攻)、1962年、イリノイ大学大学院修了(精神医学的ケースワーク専攻)。1963年、イリノイ大学付属病院にて精神療法研修中に九州大学医学部の故・池見酉次郎教授に請われて帰国。以後、同大学病院心療内科創設期より20年間、心身医学者と歩みを共にする。その後、活水女子大学教授、福岡県立大学大学院教授(臨床心理学)、九州ルーテル学院大学大学院教授を経て、現在、福岡県立大学名誉教授、日本交流分析学会名誉理事長。
日本における交流分析の第一人者。交流分析が日本に導入された1972年から研究・実践に携わり、「日本の文化、日本人の心性にマッチした交流分析」の普及に力を注ぐ。
著書に『こじれる人間関係』『新しい交流分析の実際』『人生ドラマの自己分析』(以上、創元社)、『ワンダフル・カウンセラー・イエス』(一麦出版社)、『交流分析のすすめ』(日本文化科学社)など多数ある。

「2018年 『3つの自分で人づきあいがラクになる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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