法廷会計学VS粉飾決算

著者 :
  • 日経BP
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822246761

作品紹介・あらすじ

真実は、必ず数字に現れる!JAL、日興コーディアル、NOVAなどの財務諸表を「会計仕置き人」が読み解いた結論とは-。日興コーディアル事件の引き金となった衝撃論文を収録。

感想・レビュー・書評

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  • JALの破綻前の決算書の辛辣かつ説得力ある解説に言葉がない。

  •  いろいろと会計学的な見地からの意見はあるだろうけれども、会計は、本来の企業の実態を適切に反映しているか、という見地から経営者が主体的にかかわっていくべきものだと思う。であれば本業が赤字なのに最終利益が大幅な黒字になることなど、感覚的におかしいと感じるはずだと思う。
     本書の至福のほとんどは、日興コーディアルグループとJALに関する分析に割かれている。連結の範囲をどこまでとするかとか、退職給付債務の認識など、会計学的な知見からの話もあるが、彼らの行っていた粉飾は結局「本質的におかしい」ものであり、革新的な犯罪をさまざまなレトリックを弄してのがれてきていたことがよくわかる。
     それにしても、これだけの巨大企業が、資本市場を失墜されるような粉飾を何年にもわたって続けており、監査法人も黙認し続けていたことを考えると、本当に日本における資本主義とは何なのか考えさせられる。

  • 粉飾決算で裁判にかけられた経済事件について、裁判所が財務会計をどう評価するか、を起訴された会計士が丹念に記述している作品。
    ライブドア事件の時にたしか発売されたので、その関連で多少話題になったでしょうか。


    本編的にはまぁ面白いのですが、裁判で審議されている側の人間が著者なので、ところどころ抑えきれない私情が爆発していて、正直なところ解説書の体を成していない部分もあります。


    面白いけど評価は辛めで。

  • ※文庫本になったら読む

  • 日興コーディアル、ライブドア、NOVA、日本航空など野粉飾事件や疑惑の会社について、有報などの公開情報から会計的に分析を加えたものです。もともと著者が自らのメールレポートに掲載したものをほとんどそのまま採録したものなので、その後のフォローはほとんどないですし、内容の整理もされていないのでとても読みにくい。著者自身の筆力の問題もあると思う。それなりの会計知識が求められる上にこれだけ読みにくいとなると、読み切るのは相当な苦労を強いられます。
    また、内容的にも、必ずしも多面的な分析が施されているわけではなくて、ケースによって分析手法やその深度も定まっていません。会計的理論の面でも?な部分も多いし、憶測に基づく一方的な主張も目につく。そういったところを考慮すると、内容の信頼性という観点からは若干の疑問が残ります。
    そういった形で、全面的に支持することのできるものではないのですが、公開情報だけからこれだけの結論を導きだすことが出来るんだということには素直に驚くほかありません。特に、日興コーディアルの不正経理事件とそれに派生した形でおこった旧中央青山解体の引き金となった一連のレポートは圧巻。不適切な会計処理は財務情報のどこかに必ず歪みをもたらす、ということは確かに事実だと思うのですが、それを実際に見つけ出すというのは大変なことです。こういう目を養うことは長い経験と研鑽が必要なのでしょう。

  • ライブドア、日興、JALの問題を財務的な視点で書いた本。
    非常に分かりやすい。
    また時間が経過してすべての会社は当時の体制ではないことを
    考えると、このレポートから現在の期間について再検証したものを
    ぜひ読みたいと思ってしまう。

    プロの監査、目の付け所になるほどと思ってしまう。

  • 久しぶりの最高評価。
    会計の知識は全くないとは言わなくても、そこまでなかったけど、けっこう噛み砕いて書いてあったから興味持ってればゆっくり読めば十分わかります。
    ライブドア、日興コーディアル、日航の粉飾決算について書いてあるけど、非常に興味深い内容です。
    けっこう新しい知識が手に入ってよかったです。
    また、会計系の本読みたいなと思ったりなんかしたり!

  • かなり良かった。

    日興の件、日本航空、中央青山の対応が実によくわかった。

    粉飾する企業は多いかと思うが、多額の粉飾を平気でやる、企業及びそれを見て身に振りする、監査法人。

    最近は、監査法人の対応もかなり変わってきたが・・・。

  • 【2008年8月2日購入】

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著者プロフィール

1953年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。82年3月、公認会計士登録。78年からKPMG日本およびロンドンで会計監査とコンサルタント業務に従事。2004年3月、キャッツ株価操縦事件に絡み、有価証券虚偽記載罪で逮捕・起訴。一貫して容疑を否認し、無罪を主張するが、2010年、最高裁で上告棄却、懲役2年、執行猶予4年の刑が確定。公認会計士登録抹消。著書に『公認会計士vs特捜検察』、『法廷会計学vs粉飾決算』、『司法に経済犯罪は裁けるか』。

「2017年 『粉飾決算vs会計基準』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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