- Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822247003
感想・レビュー・書評
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病気を特定し早期発見するために検査を受ける、治療のために薬を使ったり手術を受けたりする、これらは当たり前の常識だと考えがちですが、よくよく考えるとそうでもないかもよ、という本です。
検査には偽陽性・儀陰性ということがあり得るので100%の診断ができるわけではない一方で、身体に負担がかかる。
薬には副作用があるし、手術のリスクは大きい。
そして、いずれについても経済的なコストが発生する。
統計的には、検査で病気を早期発見し、適切な治療を受ければ、病気で死ぬ確率を減らすことができるとしても、個々のケースを見れば、検査して治療しても死んでしまう人もいれば、検査も治療もしなくても結構長いあいだ生き続ける人も意外に多い。
「<a href="http://search.goo.ne.jp/web.jsp?IE=utf-8&from=blog-edit&PT=blog-edit&MT=EBM%EF%BC%88evidence-based%20medicine%EF%BC%89" target="_blank">EBM(evidence-based medicine)</a>」という考え方に基づき、臨床データを元に、診療が具体的な数値としてどれほどの効果を上げているのか紹介していきます。
例えば、高血圧を薬で治療すると脳卒中になる確率を10%から6%に減らすことができるというデータがあるそうです。
これを「脳卒中になる危険を4割も減らすことができる」と捉えるのか、「100人中4人しか救うことができない」と捉えるのかは微妙なところ。
もちろん何のリスクもコストも発生しないのであれば当然治療したほうがよいに決まっているけど、副作用もあるしお金もかかる。
勿論、著者自身医者なので、検査や治療なんて役に立たないから係らないほうがいいと主張しているわけではありません。
患者自身の価値観で人生全体を考慮に入れた上で、治療のメリット・デメリットに関する情報をもとに総合的に費用対効果を考えて判断したほうがよい、という話です。
この本で紹介されているデータをどこまで信用していいのかすら分からないし、いざとなったら医者にすがるしかない患者の立場からすると実際には賢明な判断をするのはなかなか難しそうですが、こういう考え方を頭に入れておくのは悪くないなと感じました。
自分が一番印象に残ったのは癌の発見・治療に関するこんな例え話。
癌は早期発見が一番、というのは統計的には正しいけれども、早期癌患者の半分以上は5年経っても進行癌になっていないというデータもある。
人間ドックで早期癌を発見してすぐに胃を切除すれば癌を完全に切り取ることができるが、仮に発見が5年遅れたとしても進行癌になっていない確率は意外に高い。
5年遅れで胃を切除し癌を完全に切除できたとしたら、結果的に前者のケースよりも5年長く完全な胃で過ごすことができたことになる。
そう考えると、早期発見が必ずしも幸せをもたらすとも言い切れない… -
日頃自分が思っていたことをデータで証明してくれたようで心強い。
この5年で親友や上司4人をガンでなくしたが、まだ若い彼らを苦しめているのは病気でなくて治療なのではないかと感じることしばしばだった。検査・服薬・治療を否定するトンデモ本ではない。ためらうという直感を大切にしてちゃんと自分の頭で考えようと説く姿勢が誠実。
[more]<blockquote>
P66 薬を飲むか、飲まないか、ではなく、薬を飲むか、うまいものを食べるか。あるいは薬を飲むか、旅行に行くか。そのような選択で考えた方が現実的かもしれません。
P241 うつ病の「事例性」「疾病性」 うつ病に関しては、もっと人のせいにして、事例化を防ぐようなことをしてもいいのではないか。そういう事例化に抗する、お互いが他人のうつを受け止められるような、社会を実現していくことがとても大事だと私は思っているのです。</blockquote> -
図書館で借りた。
病気を放っておいて何事もなく過ごせる人がどれくらいいるか、治療したけど効果がない人がどれだけいるか、ということを述べている。
一つの章で一つの病気を扱う。まず質問から入り、その答らしきものを説明していく。説明を読めば読むほど正しいことは何なのか分からなくなる。
著者が最初に言うように「正しいのはこうだ」と示す本ではなく、治療の効果の考え方を知っておき、放っておくという選択も考慮に入れられるようになる内容だと思う。
腰痛は安静に、と考えがちだが意外とそうでもないという統計があり驚く。高血圧や糖尿病でも似たような証拠があり読んでいて楽しい。
主要な医学雑誌にどんなものがあるのかを知る最初の一歩にいいかもしれない。 -
このタイトルインパクトありますね。
医師から薬を飲むように言われて嫌だなと思う人は多いですものね。
名郷先生は、EBM(報告された医学データに基づいた医療)を研修医に指導する立場の方です。どんな臨床データに基づき治療を勧めたらよいのか解説しています。
医学データに基づいた医療というのは、最近の医学では常識化した考え方です。
でも臨床データによる根拠と言うのはどの程度なのかというと案外この程度だったのかと思うレベルのものなのです。
この本で紹介されている疾患は、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、かぜ、インフルエンザ、腰痛、花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、胃潰瘍、虫垂炎、がん検診の12疾患・検査です。
http://ameblo.jp/nancli/entry-11480871287.html -
「治療をしない」という選択肢。患者とのコミュニケーションに役立つ。
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11/02/09。
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「代替医療のトリック」の後に読んだので、通常医療も代替医療もエビデンスに基づいて評価することが必要だと思った。
アトピーあたりから、エビデンスより著者の意見がメインになってる気がする。たんたんと、エビデンスによる、治療の話を期待していたのに。
ただ、原因が不明だったり、治療に関する研究が不十分で、EBM的な話が難しいのかもしれない。
通常医療も代替医療も、経験主義が主流なのかもしれない。医師も患者も。 -
逆説というか、この手の本は読んだら読んだで面白いです。
色んな意味で勉強になります。 -
EBM(エビデンス・ベイスト・メデシン:根拠に基づく医療)から現在の医療常識を見直した本。「放っておく」という選択肢を見直すきっかけになるとは思います。図書館予約数は6(09/01/25現在)です。