ジェフ・ベゾス 果てなき野望

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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249816

感想・レビュー・書評

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  • ベゾスもやはりパラノイアだった。
    時代を代表する個性的な企業を率いた経営者には、MSのゲイツ、インテルのグローブやアップルのジョブスといったように偏執的な人が多いが、やはりこの人も同じだった。
    今まであまり外に聞こえてこなかったAmazon CEOのジェフ・ベゾスの人となり、著名記者ブラッド・ストーンが徹底取材して書いており、とても興味深い伝記に仕上がっている。
    内容は本書の解説を書いている滑川氏の連載記事(文末にURL)にあるので省くが、驚いたのはその偏執ぶりが今までの経営者よりも徹底しておりかつ広範囲に及ぶこと。
    USAらしからぬ長期的展望に基づき赤字も辞さずに方針を貫き、かつマーケットまでそれに従わせてしまうこだわり方。
    競争相手やパートナーに対してさえも、自社に有利となれば徹底的に利用する飽くなき姿勢。
    アマゾン・マーケット・プレイスに出店したパートナーの売れ行きが良いと自社自身が同じ商品を売り出したり、ザッポスやダイアパーズに仕掛けたように相手を追い詰めて軍門に下して飲み込むさまなどは、読んでいてぞっとしてしまうほどのやり口だ。
    Kindleで電子書籍に乗り出すときも、ほとんどの大手出版社を的に回しながらも強引に包囲網を崩していく巧みさには本当に舌を巻く。
    最近の大河ドラマに例えてみれば、さながら半兵衛や官兵衛のような戦略眼を持ちながら、信長の非情さを持ってして実行に移す経営者と言ったところだろうか。
    その上、社内には徹底的な倹約を説き、PowerPointは使わせず、ある意味恐怖政治的な経営のもとで多くの社員が耐えられずに辞めていく様は、信長以上の非情さにも感じてしまう。

    当初は小売だけにFocusしていたようなアマゾンが、エコシステムのプラットフォームへと進化していくきっかけが、あのティム・オライリーから薦められたAPI整備というのも興味深かった。
    ここからさらに進化したのが、いまやクラウド界を席巻するAmazon Web Services(AWS)である。
    元々AWSは、アマゾンの小売プラットフォームが能力を余分に持っているので、その分をレンタル用のリソースとして始めたものだというのが、技術者の間でもよく言われていた話だと思う。
    しかし本書によると、自社のプラットフォームの柔軟性を実現するために、コンピュータリソースを徹底的にプリミティブな要素・コンポーネントに分解して、それを管理するソフトウエアを作り上げていくことでAWS事業の可能性が提示されたことがきっかけであり、これに対してベゾスは「この事業も必要だからだ」という回答でGOを出したらしい。
    我々外部の者が考えていたよりも、随分と積極的に踏み出した事業だったということだと感じる。
    元々ソフトウエアのエンジニアとしても極めて優秀だったベゾスとしては、その長期的な展望を見抜く素質・性格のもとにAWSの事業性を確信したのだろう。
    技術領域で生きてきた者としては、このあたりの記載には大いに興味をそそられたものである。

    フィナンシャル・タイムズ紙とゴールドマン・サックスが共催する「ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2013」を受賞したということからも、本書は米国でも大きく注目されたらしい。
    今やハイテク業界に無くてはならないエコシステムを創り出したアマゾンの成り立ちとCEOの人となりは、業界で生きる者にとって興味を引きつけてやまない内容である。
    それをいまだ絶頂期であるこの時期に書物にしたことは、我々読者にとってもたまらない贈り物である。

    http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140117/258370/?P=1

  • いつの間にか生活の一部と化したAmazon。何かを買う時は、Amazonでチェックをするということが日常となった。しかし、Amazonという会社、ジェフ・ベゾスという人物については、全くと言っていいほど知識・情報を持っていなかった。対照的に、Apple、スティーブ・ジョブズは多くのメディアで取り上げられていたため、Amazonよりも情報を持っていた。
    本書を読むことで、謎であったAmazon、そしてジェフ・ベゾスについて知ることができる。今後、さらにAmazonが自分の生活に深く関わってくることになるのだろうと思わせる内容である。

  • これだけの企業をつくった人物の物語であり、やはり通常では考えられない思考と行動力の持ち主であった。買い物という人々が何気なく行なっている日常を根底から覆してしまうようなイノベーションを起こすには、誰も考えつかない大胆な発想と信念がなければできない。
    以下、備忘しておきたい一文。
    「必要な人材はこれから雇えばいい。難しい道なのはわかっている。どうすればいいのかはこれから学ぶんだ」

  • Amazon本ではベスト。ピザ二枚あっさり否定!正真正銘、顧客第一、長期的、創意工夫。セブン鈴木と同じ、全員の反対を押し切れ!そこにMBAは意味ないよな。

  • ベゾスの生い立ちからAmazonの起業、困難を乗り越えて世界有数の企業になるまでの成長を描いた本。スティーブ・ジョブズを描いた同種の本よりも、ビジネス開発に関するライバル企業の動きや社内外の人間ドラマが詳細に書かれており、今でも使えるビジネスについての深い知見が全ページに盛り込まれている。普段知ることのないベゾスの温かい人柄に関するエピソードも書かれており、読後感も爽やか。読むべき価値のある一冊。

  • ベゾス本人や関わった人々からのインタビューから時系列に沿ってamazonが成長していく話。

    マーケット選定やプロダクト開発のアイデア、戦略性、手札の作り方、強みの源泉であるFCの成長、どんな会社にしていきたいか、どんな未来を作っていきたいかのジェフィズムがとてもよく伝わる読み応えたっぷりの本でした。

  • Amazonがどのようにして成長してきたかの軌跡が学べる。それを通じて、なぜここまで成長してこれたのか理解できる。
    ・ベゾスのブレないミッション(顧客第一主義、より多くの商品をより安い価格で顧客に届ける)
    ・ミッションのためなら非情な手段も使う(eg.交渉とは、片方が常に勝つようにすること)
    ・利益率が低いという強みがAmazonにある(Appleは利益率を上げすぎて競合の参入を招いた)

    これら3つが特に印象に残った。
    そして、今後もAmazonは成長し続けるであろうこと、日本企業には追いつけそうもないことを理解した。

  • やはり世界一の金持ちになるだけあって、強烈なキャラだと思いました。けど、正直一緒には仕事したくないと思いました。

  • この本に描かれているAmazonの軌跡を知る事で,これから何をどのように進めていくのかが多少なりとも予測できるんじゃないでしょうか。ジェフ・ベゾスは偉人だと思いますし,見習って取り入れる点もたくさんありました。
    少しでも自分を高めたい人は是非読んで下さい。

    単に物を作って売る事業はやっていけなくなる日が来る,と強く感じました。事業する時はサービス・体験を加えないと,天才にヤられてしまうんだな,と。

  • ジェフベゾスの生き方・考え方と、Amazonの成長の歴史。

著者プロフィール

ブルームバーグニュースのシニアエグゼクティブエディター。ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(日経BP社)の著者。15年以上にわたり、シリコンバレーについて報道してきた。カリフォルニア州サンフランシスコ在住。著者のウェブページは、http://www.brad-stone.com/

「2018年 『UPSTARTS』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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