- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822292843
作品紹介・あらすじ
世界の今の見え方が変わる!
地政学とは何か――?
ナチスも利用した「悪魔の学問」ではない。
ビジネスにも不可欠な「弱者の生きのびる知恵」である。
出口治明が語り下ろす、目からウロコのエッセンス
≫地政学はなぜ必要か?
平たくいえば「国は引っ越しできない」から。
≫「陸は閉じ、水は開く」
―シュメール人のことわざに地政学の萌芽があった。
≫「どうすれば、サンドイッチの具ならずに済むか、という問題」をめぐって、
世界史の権謀術数は繰り広げられてきた。
≫海上の覇権争奪戦に関係するシーレーン(海上交通路)において、
「鍵をにぎるのが半島や海峡」である。
≫「人間の真の勇気はたったひとつである。現実を直視して、それを受け入れる勇気である」
―ロマン・ロランの名言から、日本の今を紐解く。
感想・レビュー・書評
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1.一向に改善されない世界情勢のルーツが気になったので読みました。
2.本書は陸、海、日本といいた線引きで地政学を述べており、歴史的な部分が要素が強くなっております。そもそも地理学とは学問として新しいですが、昨今の世界情勢を知る上では非常に強力なツールとなってきます。今対立している国々はそもそも何が発端でこのようになってしまったのかを国との争いという視点で区切って説明しているわけではなく、大陸や海ごとの説明となっており、マクロ的な話がメインとなってきます。
3.最期の章に日本のことが書かれており、どうすれば今後の日本はよくなっていくかということ、もしこのようにやってきたらもう少し違う未来があった的なことが書かれています。他国からみると、日本は「核を所有してもよい」という声も上がっているらしいです。ただ、日本が核を所有したところで、確実に国を守れるかというとそんなことはありません。むしろ、人口減少、国土が小さいなどの問題から、攻め込まれて終わりだと思います。
本書を読み、政治家の判断がより重要になってきているのだと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第一章~第四章では「地政学とは?」
陸・海・日本。
出口さんの歴史の話はいつも本当に面白い。
だいたい知っている話が、頭の中で整理されてくるし
最新の情報が必ずはいってきます。
今回は「清教徒革命は現在では三王国戦争とよばれている」とか。
大事なのは日本がこれからどうすべきかというところ。
一時の感情に流されて事実の一面しか見ていない放言の類には、なんの解決策も含まれていません。
世界の常識は「根拠なき精神論」ではなく
「エビデンス・サイエンス・専門家の知見」に基づく意思決定にある、と出口さん。
そして「日本の進むべき方向は、グローバリゼーションへの貢献の中にしか見出せないと考えている」と。
第五章のマッキンダー『デモクラシー理想と現実』の解説は、初めて知った内容で、驚くことばかり。
〈恐ろしいまでに第二次世界大戦や国際連合、
冷戦を予言した慧眼の書と言わざるを得ません〉
ぜひ読んでほしいと言われましたが、とりあえず
この出口さんの本で満足です。 -
出口氏による地政学の本
日本にとってアメリカは現実的なパートナーだが、アメリカにとってはそうではない -
地政学を「ランド・パワー」「シー・パワー」に分けて論述しているものの、どちらかというと地政学を切り口にした歴史の考察、というべきものである。
地理的関係が歴史にどういった影響を与えてきたか、という点については詳細に書かれている。
歴史を題材にしている考察が中心にされているため、現状の地政に関する記述は少ないが、十分に好奇心を満たしてくれる書籍となっている。 -
印象に残ったフレーズ、要旨
・日本で文明の一歩は北部九州で始まった。朝鮮半島が、鉄を目玉商品として日本に売り込みに来た。その後、瀬戸内海に進んでいった。(p28)
・日本という国を、地政学的な現実から定義づけると「周辺の国々のすべてとトラブルの火種を抱えている歴史上稀な国で、ロシア、中国という大陸の二大国家が太平洋に出ていく障害となる、絶妙に列島が連なっている島国である」(p221)
・アメリカからする日本は冷戦化の東西対立が終わったため、日本の不沈空母としての価値は低下した(p226)
・フランスの作家ロマンロランの引用「人間の真の勇気はたったひとつである。現実を直視して、それを受け入れる勇気である」
・日本はアメリカにとって、同盟国として魅力的ではなく、他にも選べる国はある。対する日本は、現実的にはアメリカしかない。アメリカとはうまく付き合っていきつつ、グローバル社会に貢献していくべき
・アメリカへの留学生は、かつて日本の方が多かったが、今では中国からが5倍以上。留学生がアメリカでネットワークを築いていくので、日本はさらに遅れをとる。 -
【一部分概要のみ】
・海の地政学と陸の地政学
・日本の地政学の歴史を考えたとき、世界が欲しがる商品はない 。だからこそ鎖国は上手くいった(鎖国自体評価しない)
・あるとすれば大国中露の太平洋進出への入口としての立場。しかし冷戦後にそれの重要性は低下しつつある。つまり、海外から興味を向けられることが少ない。今後の国内の発展には、グローバリゼーションへの積極的貢献が不可欠。米中などへ学びに行くこと、交流を広げていくことが日本の可能性を広げる -
今回も半端ない納得感で満足の読了。サンドイッチの具にならない外交が軸であること、世界の端の出来事がもう一方の端の出来事へと繋がってること、「なぜか日本人は現実を直視しない、リアリズムに欠ける放言に影響されやすいこと」、日本国内の歴史についても地政学的なアプローチができること、沢山学びました。マッキンダーの「デモクラシーの理想と現実」には出口先生の思いが詰まってそう。いつかチャレンジしたいです。
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NDC 312.9
「世界の今の見え方が変わる!
地政学とは何か――?ナチスも利用した「悪魔の学問」ではない。
ビジネスにも不可欠な「弱者の生きのびる知恵」である。出口治明が語り下ろす、目からウロコのエッセンス」
〈出口治明〉1948年三重県生まれ。京都大学法学部卒業。立命館アジア太平洋大学(APU)学長。著書に「世界史の10人」など。
目次
第1章 地政学とは?(地政学の一般的な定義について;地政学の最初の一歩 ほか)
第2章 陸の地政学とは?(どうすれば自分の住む国や地域がサンドイッチの具にならずに済むか、という問題;ローマ教皇領を巡る攻防史 ほか)
第3章 海の地政学とは?(半島や海峡の重要性;最も古くから発達し、近世まで世界の中心にあった地中海のシーレーン ほか)
第4章 日本の地政学とは?(日本が置かれている地政学的な現実;これからの日本はどこと同盟を結べるのか、それとも「日本ファースト」か ほか)
第5章 地政学の二冊の古典について(マハンが着目した「シー・パワー」が与えた影響;マッキンダーはなぜ「地政学の祖」と呼ばれるのか)