フィデューシャリー・デューティー -顧客本位の業務運営とは何か
- ビジネス教育出版社 (2016年12月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828306407
作品紹介・あらすじ
金融庁が確立と定着を目指すフィデュ―シャリー・デューティーは全ての金融機関の行動原則。その真意、何を実践すべきか等を詳解。
感想・レビュー・書評
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著者はHCアセットマネジメントという投資運用業者の社長・森本紀行氏。
金融庁の森長官が進める改革理念「フィデューシャリー・デューティ」を事業者側の視点で紐解いた解説書です。
現時点では、金融庁の改革に対しては、各事業者とも後手の対応に追われている印象。
著者は、事業者でありながら、改革を当然のこととして歓迎/推奨している点が特徴的です。
もちろん、フィデューシャリー・デューティ自体は「顧客本位の事業運営をせよ」としごく当たり前の概念なので反論しようがないのは事実です。
しかも、財政赤字と成長率鈍化の環境下、国民に自助努力を求めつつ、貯蓄→資産形成の流れをつくるのは金融庁としても当然の政策。
そのために、各事業者がフィデューシャリー・デューティを徹底して求められる流れに逆らえないことは間違いないでしょう。
現時点で金融庁のスタンスとしては、明確な規制ルールに頼らず、各社の自主的な判断に任せているところがありますので、事業者にとっては対応が難しい時代になったと言えます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フィデューシャリー・デューティ顧客本位の業務運営とは何か
2016/12/20 著:森本 紀行
フィデューシャリー・デューティーは、規制ではない。それは、顧客の利益を第一に考えた金融機関の業務運営のプリンシプルである。
顧客の利益を第一に考えた業務運営というプリンシプルは、なにも、投資信託等の資産運用関連業務だけに当てはまるものではない。資産運用関連業務だけで、顧客の利益を第一に考えた業務運営が求められるというのいは、はなはだおかしなことである。このプリンシプルは、金融機関の全業務に共通するものである。
本書の構成は以下の6章から成る。
①なぜ、フィデューシャリー・デューティが必要なのか
②フィデューシャリー宣言を公表した金融機関各社の動向
③金融庁の歴史的な方針転換
④テーマ別に見た顧客の利益を最優先する取り組み
⑤さらに深くフィデューシャリー・デューティを知るために
⑥これからの課題と展望
フィデューシャリー・デューティは明確なものではない。
しかし、大切な概念でもある。「顧客第一主義という点では今までもやってきたではないか。」ということも言いたくもなるが、それ自体にも間違いが含まれている。今までやってきたことは間違いではないにしろもう一歩。二歩進んでそれを捉えなおす必要がある。
概念の理解は押し付けられるものではなく、かみ砕き自分で理解することが必要である。そして置かれている立場ではどうすべきかを考えながら行動することによってついてくるものでもある。明確なものでないから障らずではなく、自分たちから飛び込んでいくことが姿勢としては求められる。