- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828413754
作品紹介・あらすじ
イトーヨーカ堂で鈴木敏文会長の薫陶を受け、無印良品、ユニクロ、ドラッグイレブンを建て直し、成城石井で指揮を執る「経営のプロ」が、企業再生の奥義を公開。今日から売り上げが、利益が上がる。
感想・レビュー・書評
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・コミュニケーションは相手の行動の変化につなげられなければ無意味
・やるべきことはすぐにやる
ということの重要性詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経営というものは、社長の考え方を末端の社員にどれだけ伝え、行動してもらえるかにかかっている。
社長の考えがこれこれこうで、それを伝える時に、紙面上にして配布すれば効率的である様に思えるが、そんなことでは現場の末端にまでは伝わらない。
社長が直接現場にまで行き、目で確認して、伝わっていないところを改善していく。そしてそれだけにとどまらず、社員一人一人の人生観、プライベートにまで関わることにより、理解してもらうと言う。
商品購買理論が色々あったので抜粋
。
・より多くの価値を生み出した人に価値が集中するようにし、優秀な人が勝ち上がる仕組みでなければ、逆に不公平
・3色の売れ筋があるとして、その3色だけを置くことが合理的かも思われるが、それは違う。なぜならお客さんは合理的に買い物する訳ではないから。
その他の色を置くことによって、売れ筋3色を相対的に見れ、売れ筋商品の売り上げ押し上げになる
・並べる場所として、地面から80〜120センチの範囲に置くとお客さんの目に止まりやすい。
・「試食」は売り上げに直接影響するが、商品によって合理性は変わる。
高い商品などは、買って不味かったら嫌だと言う心理が働くし、利益も大きいから人件費も値段的にペイできる。
しかし安価な商品だと、お客さんは普段からそうゆう商品を買っているので味が想像出来てしまい、それをわざわざ今買わなくてもいいので、コストと手間をかけるだけ損。 -
成城石井の社長の著書。小売りに関するノウハウや心構え等が書かれているが、他の業界にも応用できる内容。書かれている内容は社員目線よりも経営者の目線。企業において人はコストではなく価値であることと、人を成長させ、それが社内の60%までの人まで行き渡ればうまくいくとのこと。気になった内容を挙げると以下の通り。
・お客様は常に正しい。お客様が間違えたとしても謝る。
・お客様の次に偉いのは現場であり、現場には経営戦略を常に伝え、コミュニケーションを絶えず取る。現場の状況(情報)も把握し、現場の人間も経営方針を言えるように訓練する。
・安易な値引きは価値の下落につながり売り上げ減少を招く。
・売れる商品を100個覚え、売れ筋商品を全面に店舗に出し、売れる商品は在庫をもつ。
・「やったほうがよい」なら、する必要がない。
書ききれないが、小売業界以外に所属するものでも十分理解できる内容であった。 -
小売業再建のプロフェッショナルが語る成功哲学。違う業界の方も得るものがきっとある素晴らしい一冊。お客様と現場の大切さ、そして何より重要なのは「人」であることを再確認。
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【読書メモ】
①経営と現場が一体となってお客様の満足を実現する
②仕事を通して現場の人を成長させる
③重要なことに絞り込んですぐやる
④売れる商品を価格を下げないで売り込む
⑤今までのやり方をやめて、構造的に改革する
●企業価値とはどれだけお客様に満足されているかということ
●人件費はコストではなく、人が企業価値を上げる。人件費を削減して優秀な人材を失ったら、長期的には利益は出ない。
●本部で指示したことができていて成果が上がったら、「すごいね」「がんばっているね」と褒め称え、逆に指示どおりできていないときは、本人には直接言いません。
●60%の普通の人たちは、経営者がちゃんと気持ちを伝えて納得すれば行動する人たちなのです。ですから、普通の社員が動けるための仕組みをつくり、経営の思いを伝えるためてのコミュニケーションのあり方をどう変えていくのか、これは経営者の考えることです。
●どうすれば人の気持ちが変わるのかといえば、その人の人生観にまで踏み込む必要があります。・・・だから上司や経営者は、もっと熱意を持って、心を開いて、腹を割って、お互いに一対一の人間として向き合って、真剣に一人ひとりのことを考えなければならないのです。
●「売らんかな」の姿勢ではお客様は反応しません。本心からお客様のためを思ってお勧めすることが大事であり、そういう気持ちで接客すると、「あなたの言うことなら信じる」と言って、個人の販売員にお客様がついてくるのです。
●現場でやるべき作業を分類した時に、もっとも重要な業務、もっとも成果の上がる業務をもっとも優秀な人にやってもらいます。つまり、より重要度の高い仕事からより優秀な人に優先的にやってもらうのです。
●成長していく意欲がある限り、人は必ず成長します。経営者の仕事は、そうした場を提供し、熱意を持って育成し、努力を正当に評価する仕組みをつくることです。
●どちらかといえば『やったほうがいいこと』は、『やらなくていいこと』だ。もっと言うと、『やってはいけないこと』なのです。社員が『やったほうがいいこと』をやってしまうと、本当に重要なことをやる時間がなくなってしまうのです。・・・ですから、経営者が「それはやらなくていい。ここに集中しなさい」という戦略を立て、指示を出すことが重要になってくるのです。
●「優先順位はこれが上だよ」と答えを教えるのではなくて、その人に考えさせることも大切です。経営者が会社の経営戦略を伝えて、社員自らこの会社は何を重要と考えているのかを理解することで、仕事の効率は格段に違ってきます。
●決断して実行することですぐ成果が見せることと、根本的な問題として長期的に成果を見込むものがあることの二つはより分けて考える必要があります。いますぐ打てる手は「すぐにやってください」と取り掛かってもらいます。残った「長期的な課題」は、経営者の責任において実行者を決めて、長期戦略で対策を打ちます。・・・ただし、「これは長期だからじっくる構えてやろう」ということではありません。長期的に成果が出る手をいますぐ打つことが重要です。
●どこで違いが生まれるのかというと、経営者が考えた戦略を現場が実行できる仕組みになっているかどうかです。この差が業績の差となって表れるのです。
●「会議用の資料は作らない」「必ず結論を出す」「短くする」「議事録を取る」ことが会議の要点です。
●やることが決まれば、後は誰がいつ実行するのかを指示し、やってみて結果を見て、また次の手を考える。必要なのは、何が話し合われて、何が決まったのかを共有することです。
●お客様に満足していただくためには、売れている商品をより買いやすくし、売れていない商品は後回しでいいのです。
●売上を上げるためには、いま売れている商品をさらに売り込むか、売れる可能性の高い新商品を売ってみることの二つしかありません。
●お客様の購買行動は非計画購買が80%~90%に相当する。ただ商品を並べておくのではなく、売り込む意思を持たなければ、そもそも「買いたい」という意識がお客さまの中に生まれない。
●「品揃えがいい」というのは、買いたい商品が並んでいる店なのです。何でもかんでもおいてある店ということではありません。死に筋商品がどんなに並んでいても、お客様にとっては「買いたいものが何もない店」でしかないわけです。
●売り場にたくさん商品が並んでいろいろ選べる状態にあることも、お客様に満足していただくためには必要なのです。売れ筋商品を引き立てるための商品も必要で、これを小売では「見せ筋商品」と呼んでいます。
●正しいアイテムの絞り方は、売れ筋商品と見せ筋商品、死に筋商品、それぞれのフェイスに極端な差をつけることです。
●特別変わったプロモーションをしたわけではなく、新商品の発売日に全店に並べるそれだけのことで、ほかの店と大きな差別化になるのです。
●売れ筋商品の在庫はどんどん持ちなさい・・・売れるものをたくさん仕入れて、売れないものはあまり持たないようにすれば、確実に儲かります。・・・在庫金額総額で見て「多い」「少ない」と判断すると、売り場の状況を見誤る可能性があるのです。
●「えこひいき納品」・・・売れている店に優先的に商品を回し、売れていない店を後回しにする。逆に売れていない店から売れていない商品を早めに引き取って、売れる店で処分してあげる
●価格を下げなくても売上が上がる5つの方法
①フェイスの拡大:二倍にすると売上は15%~20%上がる
②在庫を増やす:たくさん積むと「こんなに売れているのか」と感じ買いたくなる
③優位置に商品を出す:通過率の高い場所かつ、目に付きやすい場所
④POPをつける:商品の良さをアピールする
⑤接客する:商品に目を留めたら、すかさず商品を説明し、お勧めする
●チラシを打ったら、目立つ位置、見やすい場所に商品を山積みにし、POPをつけて「これがチラシに出した商品です」とアピールする(想起購買)。またチラシの商品とは別に、価格の安さではなく商品の良さをアピールする売り場をつくる。
●いままで売れたものが、今後も売れつづけることはないけれども、今まで売れたものがなぜ売れたのかを理解して、次に打つ手を考えていくことによって、仕事の精度が上がっていく。
●打ち手につながらないデータは見ない。毎日見るデータは売上・粗利、週次で見るデータは在庫、月次で見るデータは営業利益です。
●データの見方で重要なのは、必ず予算費で見ることです。
●実際の売り場の実態に即して見なければ、どんなにPOSデータを眺めても意味はありません。逆に言えば、売り場の実態に即してみることができれば、活用の予定は十分にあるということです。・・・いわゆる陳列情報と連動し、この商品はどの位置に何フェイスで陳列されているのか、定番棚割か、特売スペースか、それぞれ優位置にあるのか劣位置にあるのか、在庫量は十分か、品切れはないか、POPや接客でちゃんと売り込まれているか、といった状況に連動してPOSデータを見ることで、打ち手がちゃんと見えてきます。
●一つ一つの作業を細かく見直すことにより大きなコスト削減ができる。・・・わずか一秒、二秒という効率の差が、全体でみると膨大なコストに膨らんでいる。
●一つ一つの作業を、常に適正人数で行うためには、作業に人を張りつけるしかありません。どのような作業がどれだけ発生するのかをまず明確にして、作業に合わせて必要人員を割り出していくことで、適正人員を保ちやすくなります。
●人件費は人時数により週次で管理し即、手を打つ。・・・重要度の高い作業からこなしていけば、後になるほど重要度の低い、成果の上がりにくい作業が残りますから、その作業はやらなくていいことにする。 -
さすが本場の業務改革。
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小売の話が中心ですが一度会ってみたい経営者ですね。