世界金融恐慌序曲~危機管理の資産運用~

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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828414621

感想・レビュー・書評

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  • 恐慌が起こるであろう時でも投資に対する心構えを全く変えずに原理原則を貫き通す意志と体力を経営者も投資家も備えておくことを強く主張している。その原理原則とはキャッシュフロー経営のことである。そのためには日々の値動きに一喜一憂するのではなく、経営者はどんな時もキャッシュフローが発生するような状態に企業をしておかなければならないし、投資家はそのキャッシュフローが発生しているかをチェックしていかなかければならない。そして常に企業の動向や市場の動きだけをチェックするだけでは不完全で、時には自然とふれあい人間本来の生活を通して人としての喜びを感じるなど、オンとオフのバランスをうまく維持していくことで、たとえ恐慌のような危機的な状況でも乗り切っていけることを伝えている良本である。

  • 日本人は多くのものを外国から輸入しているのだから、円高(円が強くなる)というのは、日本人にとって歓迎すべきだとは思うのですが、国内市場が成熟する中で、売り上げの多くを輸出に頼っている製造業に勤務している側から見れば違う見方もあることでしょう。

    この本の帯には、「1ドル60円金利5%が日本人を幸せにする」とありますが、筆者の大竹氏によれば、外国系のものは危険で、国内株式を購入すべきとのことですが、今後を見据えて果たしてどうなのでしょうか、今後が楽しみですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・現在はグローバル化しているので、自国における金利より低金利の国があれば、そのカネを借りて、金利の高いカネに替えて他国に投資するという資産運用が成り立つ(P21)

    ・2000年代の世界的景気回復は、円キャリーによるチープキャピタルと、中国から得られたチープレイバーを繋ぎあわせた構造により支えたれてきた(p22)

    ・住宅ローンの証券化は、アメリカでは珍しくない、しかし証券化によりリスク回避以外に、リスクがどこにあるかをわからなくする側面が、サブプライム問題を複雑にした(p29)

    ・サブプライム問題で株式市場が暴落し、手持ち証券をヘッジファンドが売却して、円キャリの巻き戻しで円借りを清算するために円を買い戻しているので円高となっている(p35)

    ・日本の短期金利は、将来的には5%くらいになる、そのためにはマネーサプライの縮小が必要で、円高になることを意味する(p56)

    ・工業化にあたっては、その前提として、農業革命が必要である、イギリス・欧米・日本も同様、それに対して中国は、工業化によって農地・森林が破壊されているので、工業化のメリットが出てこない(p71)

    ・石炭などの市場は原油と比較してとても小さいので、ヘッジファンドが扱える市場ではなく、放置されているために、価格があまり上がっていない(p89)

    ・アメリカは、他国には干渉しない孤立主義者の考え方をする「民主党」と、世界支配を行うべきという「共和党」に分かれる(p97)

    ・サンマルクは、売り上げに占めるコスト(食材費、労賃、地代)が6割に抑えられる展望ができて、初めて出店するという戦略を持っている(p195)

    ・インパール作戦は補給をまったく考えずにインドへ進軍したために、作戦参加者10万人中、戦死者が3.2万人(ほとんどが餓死者)、戦傷病者4.5万人という大失敗を犯した(p201)

    ・日本の各家庭にテレビ、VTRが普及しているのは、中間層という8割を占める層が存在するから、それがないイギリスではそれほど普及率は高くならない(p226)

  • 結構自分を正当化させるのにページを割いている気がするが、

    文章は筋も通っていて優秀さが伝わってくる。


    旧経済モデルの破綻、
    ピラミッド教育構造の破綻など
    よく問題視されるテーマにも切り込んでいるが、わかりやすい。

    いつかの雑誌プレジデントで読んだが、やはり政策金利を下げるって技はもう通用しないようだ。

    金利を下げて金の融通を利かせようとするも、
    グローバル化のこの現代では円キャリーなどという技が使われ、
    結局金利の高い海外に金が流れていっているってさ。おいおい。


    経済に関してはやはり自分の頭で考えて、考え抜くしかないが、
    その領域にはやく一歩でも近づきたい次第だ。
    その時は楽しいだろうなーー

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著者プロフィール

日・米・欧で活躍するファンドマネジャー。一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了後、ドイツ・ケルン大学、イギリスLSEに留学。野村総合研究所研究員、ロンドンのチェース・インヴェスターズ、ニューヨークのAIGグローバル・インヴェスターズを経て独立。欧米ファンドのグローバル株部門でトップクオーターを続ける成績をあげる。これまで訪問した日米の会社は1500社を超え、その徹底した現場主義には定評がある。著書に『ブレないトランプが世界恐慌を巻き起こす』他多数あり。

「2019年 『米中壊滅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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