世界経済の支配構造が崩壊する -反グローバリズムで日本復活!-

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828418025

作品紹介・あらすじ

国家の逆襲がはじまる!脱税防止FATCA発動で世界のアングラマネーが北朝鮮に集まりだした!増税延期で大転換する日本経済と激震する国際情勢の行き先を解説!

感想・レビュー・書評

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  • 2015/11/13:読了
     まぁ普通。

  • 私が社会人生活を始めて5年後に結婚しました。1994年の頃です、バブルが弾けて経済に悪影響が出始めていたころで、会社はそれに気づいて毎年の営業経費を削減していました。

    少なくとも3年連続、前年比5割カットになったのを記憶しています。3年目にそれを聞いたとき、何ができるのだろうかと若いながらに思いました。

    その頃から聞かれ始めたフレーズに「グローバリゼーション」という言葉があります。いつまでも日本独自の方式にとわわれていたらダメで、世界標準のやり方にしなければ日本は世界に取り残されてしまう!という掛け声でした。

    渡した勤務していた会社は外資が50%でしたが、1999年には50%超になり完全子会社になるにつれて、多くのやり方が親会社の方式に変わりました。このグローバリズム、いい所もあるのだとは思いますが、どうも日本ではしっくりいかない様ですね。実際に体験してみて、植民地経営には使えそうな感じを受けましたが。

    さて、この本のタイトルは、かなり過激ですが、世界経済の支配構造が変化しつつあり、その中で日本は、反グローバリズムの中で復活すると書かれています。アメリカ、中国が衰退しつつあるというのは何人かが指摘していますが、韓国はともかく英国が中国の属領になる、という表現には驚きました。

    言い方を変えれば、EUからの一歩引いていた感のあるイギリスは、パートナーをアメリカから中国に換えつつるとあるということでしょうか。この本は共著であるが、その一人の藤井氏の本は何冊か読んできたことがあります。本に書かれている通り、「日本復活」となれば嬉しいのですが、2015年の今年にも大きな変化が起きると書かれていますので、それにも留意して今年も過ごしていきたいものです。

    以下は気になったポイントです。

    ・最近の世界を見渡すと、冷戦後にアメリカが主導してつくりあげてきた世界秩序を崩壊させるような事件がある、1)ウクライナ問題、2)東シナ海、南シナ海における中国の領有権主張、3)イスラム国という新たな過激派勢力の台頭(p16)

    ・イスラム国の主張は、第一次世界大戦後に欧米列強によって引かれた国境線を認めないということ。アラブの春(チュニジア、リビア、シリア、エジプト)という革命によって成立した体制も認めないということで、中東で保たれてきた国際秩序への挑戦(p16)

    ・政治、軍事の問題と密接不可分の関係にあるのが、経済・金融・財政の問題である。ウクライナ問題も経済から、ウクライナが、ロシアの提唱するユーラシア経済同盟への加盟を拒否、EU・ウクライナ連合協定を締結して、欧州統合に参加しようとしたことがプーチン軍事行動につながった(p21)

    ・大戦前、アメリカは日本経済を支えていた「綿布」の素材となっていた米国産綿の日本向け輸出を禁止した、次いで金融制裁、クズ鉄の輸出禁止、最後のとどめが石油の禁輸であった。日本の経済力を疲弊させれば、日本は戦争に敗退するだろう、という意図が描かれていた(p23)

    ・朝鮮総督府が行った3つの社会政策により、朝鮮半島の人々は「日本国民」として同等の権利を享受した、1)身分解放(姓を自称させて新たな戸籍制度導入)、2)土地政策(土地所有権の確定)、3)教育振興政策(朝鮮語必修科目としてハングル履修、識字率は10→65%へ上昇)(p25)

    ・大戦中、日本はほとんどインフレに陥らなかったのは、中国大陸各地に朝鮮銀行の支店網をつくり、それにより各種大陸利権も獲得、軍事作戦用の資金も調達していた。日本国債はすべて朝鮮銀行が購入、南方には台湾銀行の支店網がつくられた。このお蔭で、戦争を4年間も戦えた(p27)

    ・2010年にアメリカで制定された外国口座税務規律順守法「FATCA」がついに、2014年7月1日から施行された、これは国際金融界に革命的な変化をもたらす法律である。これにより、アメリカの富裕層・大企業が、タックスヘイブンを利用した脱税が不可能になる(p34)

    ・当初発効時期は、2013年1月であったが、様々な理由から2014年1月、さらに7月にまで延期された。この実施は、ボルカー・ルール(商業銀行と投資銀行の区別復活)の実行開始とほぼ同時(p35)

    ・対ロ経済制裁の強化は、アメリカよりもヨーロッパ経済により大きなダメージを与える。金融危機と構造的不況から抜け出せない欧州にとって、さらに大きな負担となる(p51)

    ・FATCAなどの国際金融の正常化によって追い込まれたタックスヘイブン勢力は、2つの大きな混乱を創り出そうとしている。1)ウクライナ紛争を中心とする、米ロ冷戦、2)中東における大混乱(p61)

    ・チャイナが中東におけるアメリカの対テロ戦争に協力する見返りとして、アメリカはチャイナ国内のイスラム・ウィグル人弾圧を黙認した(p62)

    ・ロシアのエネルギー産業の設備老朽化が著しい、老朽化設備の比率は石油精製で80%、天然ガスで70%、電力65%、石油生産で60%(p72)

    ・FRBが海外の中央銀行から預かっている米国債の残高が14年3月12日までの1週間で、1045億ドルも減少、チャイナは2013年12月に478億ドルの米国債を売却している。ロシアは1386億ドル(民間含め2000億ドル)保有している、保管先を変えた。現在ルーブル安が進んでいてルーブル換算の価値は増大している(p75)

    ・ルーブル安は思わぬ利益をロシアにもたらしている。エネルギー穀物輸出はドル建てなので、ルーブル安はルーブル建てにおける外資収入の増大となる(p75)

    ・ロシアがウクライナに売却する天然ガス価格を30%下げる代わりに、ウクライナは2017年に予定されていた黒海艦隊の基地の駐留期限を25年から最大30年に延期した(p80)

    ・第二次世界大戦では、ウクライナは独ソ戦の戦場になった、ウクライナ人からソ連軍に加わったものは、約200万人、ナチスドイツ軍に加わった者は30万人、敵味方になって戦った(p84)

    ・ウクライナ情勢をめぐるアメリカ政府主導の対ロ経済制裁を受けて、VISAとマスターカードは民間銀行の口座決済を停止した。これを受けて、ロシアは日本のJCBなどを手本にすべきだとしている(p91)

    ・中国地方政府の借金は推定500兆円以上、50%が3年以内に返済期限を迎える(p105)

    ・日本の2014年度の国家予算は、一般会計と特別会計をあわせると400兆円、中国の国家予算は200兆円、シャドーバンキングの借金との合計1000兆円は途方もない(p106)

    ・チャイナは2010年を境に、チャイナの人口ボーナスは、人口オーナス(非勤労者人口が勤労者人口を上回る)になった(p110)

    ・いまや上海や北京ですら、資金不足から建築途中で放棄された幽霊ビルが多くある、暴動治安対策費用はすでに国防費を上回っている(p114)

    ・チャイナは、23省(台湾含む)・5自治区・4直轄市・2特別行政区にわけられ、34の一級行政区、行政区分は、省級・地級・県級・郷級という4層ピラミッドからなる。郷級の下に、村や社区がある(p115)

    ・従来の農村戸籍と都市戸籍の厳密な区別を緩和しつつあるものの、戸籍の移動は基本的には許されていない、これが格差を広げている(p116)
    ・2012年に癌で死亡した人間の36%が中国人、肝臓がんと食道がんは、50%。人口割合は19%(p121)
    ・チャイナの大気汚染を悪化させている元凶の一つに、ウラン混合石炭がある。2005年から利用され始めたが、ウラン含有量が0.11%もある(p123)

    ¥・首都北京の機能分散を図り始めた、行政機関や研究機関の一部を、北京の南西161キロにある、保定市に移転する計画が発表された(p124)

    ・ドイツ連銀と中国人民銀行は、人民元の決済協定を2014年3月28日に締結した、これによりフランクフルトは、欧州大陸初の人民元取引の決済センターとなった、またイングランド銀行とも提携した(p125)
    ・シェルは、中国海洋石油と包括協力協定を結んだ(p128)

    ・海上自衛隊は、世界一ともいわれる対機雷戦能力を示し、実力は証明済(p148)

    ・アメリカ海軍が保有する、機雷専用軍艦は、14級(アベンチャー級)に対して、海上自衛隊は、掃海艇、掃海艦で、30隻、掃海艇は2隻ある(p148)

    ・ローテーション配備は、戦闘力と抑止力は明らかに落ちる(p167

    ・韓国に対して、日韓国交正常化によって日本から引き出した「経済協力」は、有償・無償・民間借款をあわせて8億ドル、当時の韓国貿易総額1億ドル、国家予算3.5ドル、GDPは40億ドルあまり(p264)

    ・日韓基本条約で確認されたのは、日本は朝鮮に投資した資本、個別財産のすべてを、韓国は対日請求権の全てを廃棄した(p184)

    ・米民主党は、財政赤字に比較的寛容、財政債権に、財政規律にうるさい。(p237)

    2015年5月15日作成

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著者プロフィール

東京大学法学部卒業後の1959年、公安調査庁入庁。入庁後すぐ、ドイツ・マインツ大学に留学、ドイツ連邦情報局(BND)に派遣され、対外情報機関の実情の調査を行う。帰国後、対外情報活動部門を中心に旧ソ連、北朝鮮、中国の情報収集に35年間従事。対外情報の総責任者である調査第2部長を最後に1995年に退官する。アジア社会経済開発協力会を主催しながら、評論活動を展開。主な著作に『この国を脅かす権力の正体』 (徳間書店)、『日本人が知らない地政学が教えるこの国の針路』(KKベストセラーズ)、『ヤクザと妓生が作った大韓民国』(ビジネス社)、『米中新冷戦時代のアジア新秩序』(三交社)、『元公安調査庁2部長が教える 「統一教会」問題 本当の核心』(秀和システム)などがある。2022年12月、永眠。

「2023年 『元「日本版CIA」だから書けた 日本核武装試論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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