教養を極める読書術 哲学・宗教・歴史・人物伝をこう読む

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828422312

作品紹介・あらすじ

アメリカで『1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365』(デイヴィッド・S・キダー、ノア・D・オッペンハイム著)の3部作(基礎編・人物編・現代編)が、文響社から邦訳本が刊行され目ベストセラーとなっている。
しかし、この翻訳本はアメリカ人が読むのを想定して書かれており、日本人がこのコンセプトでもう1回作り直してもらうといいなと思っています。本書はかつて京都大学でベンチャーや国際人の人材育成に従事し、自立心旺盛で、どっしりとした本物の教養と、相手をうならせる英語力が必須と主張されているリベラルアーツ研究家・麻生川静男元京都大学准教授による日本人向けの教養本となっています。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学・宗教・歴史・人物伝からいかに教養を極めるかを書いた本。

    著者は京都大学工学部を卒業し同大大学院を経て住友重機械工業に入社し、在職中にアメリカに留学したのち、社内でベンチャーを起こしデータマイニング事業を成功させ独立、数社のITベンチャーの顧問を兼任している。

    つまり著者は哲学や歴史など本書の主要テーマについて大学などの専門教育機関で学んだわけではなく、専門書(原書など)からほぼ独学で学んだようだ。

    それゆえにというべきか、「読書とは権威に寄りかからず、健全な懐疑心を持ち、主体的に読むべき」と喝破する。

    また、哲学や宗教はいわゆる「べき論」であり、一般論としては正しいと認めざるを得ないが、現実の問題をどう解決すればいいかという問いには答えていない。

    一方、歴史の中に現れている人間ドラマ(これを本書では「人物伝」と言っている)は実際の状況で人がどのように行動したかという現実の顛末が語られていて、有用性が高いという。

    そして本社では洋の東西を問わず、宗教、哲学、歴史(人物伝含む)の大著が著者とともに紹介されていて、この中から興味が湧いた本をあたるのもよいかと思う。

    前述の通り、著者は人物伝を重視しているようだが、本書を読んで面白かったのは哲学と宗教の章である。

    哲学では、日本を代表する哲学者西田幾多郎の書いた難解なを文書を引用して、「はっきり言おう、この文が理解できないのは読者の知能が彼に及ばないためではない、著者、西田その人が何も分かっていないせいなのだ!」と、こんな調子で権威をこき下ろしていて痛快。

    私は本書に出てくるような本については、世界史の勉強で作品名と著者の名前を覚えただけで中身は、原書はおろか日本語訳されたものも全く読んだことがないが、本書を読むとこれを足掛かりに、まずは司馬遷の「史記」でも読んでみるかと、知的好奇心をくすぐられる。

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著者プロフィール

1955年、大阪府生まれ。リベラルアーツ研究家、博士(工学)。京都大学工学部卒業、同大学大学院工学研究科修了、徳島大学工学研究科後期博士課程修了。1977年、京都大学大学院在学中、サンケイスカラシップ奨学生としてドイツ・ミュンヘン工科大学に留学。20歳の時の学友との会話とドイツ留学中のカルチャーショックの経験からライフワークとしてリベラルアーツに邁進することを決意。1980年、住友重機械工業入社。在職中、アメリカ・カーネギーメロン大学工学研究科に留学。帰国後、ソフトウェア開発に従事したあと、社内ベンチャーを起こし、データマイニング事業を成功させる。2005年から2008年までカーネギーメロン大学日本校においてプログラミングディレクター兼教授として教育に従事。2008年から2012年まで京都大学産官学連携本部の准教授を務める。在任中に「国際人のグローバル・リテラシー」や海外からの留学生に対して「日本の情報文化と社会」「日本の工芸技術と社会」など日英の両言語でリベラルアーツの授業を展開。2012年にリベラルアーツ研究家として独立し、リベラルアーツに関する講演や企業研修を行う。

「2022年 『中国四千年の策略大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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