新しい植物分類体系—APGで見る日本の植物

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829965306

作品紹介・あらすじ

21世紀に入ってから出版された図鑑に採用され、熱心な野生植物ファンをまどわせている「APG分類体系」っていったい何? なぜこんなことになったのか、どんなふうに変わったのか? 分類学、系統学の専門家がすっきり解説。巻末には便利な新旧対照表を収録。
APG = Angiosperm Phylogeny Group = 被子植物系統グループ/被子植物系統作成グループ
この分類を実行する植物学者の団体である。この分類は特に命名されておらず、「APG体系」や「APG分類体系」などと呼ばれる。

感想・レビュー・書評

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  • 新エングラー分類体系
    クロンキスト分類体系
    APG分類体系(DNA塩基配列を用いた分子系統学的手法による解析)

  • ☆穀物とは何か?ワイン・ぶどう?海外旅行に行った時に見るべきポイント・観葉植物の知識(ハイドロボールでモンステラを再生させたい)

    luncheon meat 食肉を原料とした料理 lˈʌntʃən(ランチの形式ばった形)
    Hormel Foods Corporation 米国ミネソタ州オースティン SPAM☆セブンの肉おにぎり/70年代イギリスコメディ食堂のコント/メニューがスパムだらけで連呼→メッセージを繰り返す迷惑行為の語源

    APG体系 Angiosperm Phylogeny Group ˈændʒiəsp`ɚm fɑɪlάdʒəni 系統発生
    gymnosperm 裸子植物 dʒímnəsp`ɚːm
    1998年に公表されたAPG1→改訂を重ね2016年APG IV

    目の総計は64、科の総計は416
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/ecohabitat/26/1/26_53/_pdf
    陸上植物26万5,000種のうち,被子植物は23万5,000種(約87%)
    裸子植物は胚珠がむき出しであるため低温や乾燥には弱い
    胚珠の周りに子房をもつ被子植物は,環境変化に好適で多く生き残った。

    スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linné 1707-1778)
    生物に固有の名前を与える二名法を提唱/界以下7つの階層構造を経て1つの種が決められる/ラテン語で表される属名と種小名を組み合わせて表記/生物の形態上の共通点をまとめていくという自然分類

    1967年 ホイタッカー Whittaker 生物5界説/全ての生物は原核生物界,原生生物界,動物界,植物界,菌界のいずれかに属する

    新エングラー体系,ベンサム&フッカー体系,クロンキスト体系
    重視する項目によってグルーピングが変わってしまうという問題あり/形態が似ていることが必ずしも系統が近いことを反映しない/哺乳類のクジラが水中生活に適応した結果,魚類と似たような形態を持つようになった収斂進化/似た形態が共通祖先からもたらされたものなのか,それともそれぞれの分類群で独立に進化したものなのかを反映することができないという問題あり

    被子植物は大きく3つの系統
    1)基部被子植物 2)モクレン類,センリョウ目と単子葉植物 3)真正双子葉植物
    ・……
    ☆子葉(シヨウ・種子の中で胚の中にすでに出来ている個体としての最初の葉)

    かつて使われた新エンゲラー体系、クロンキスト体系の考え方→花の構造が単純なモノから複雑なモノに進化したハズ
    1980年代のDNA解析

    二名法 属名(genus 複数形genera)と種小名(species epithet)

    リンネによる階層的分類 類似した種をまとめて属
    属をまとめて科(family) 科をまとめて目(order) 目をまとめて鋼(class) 鋼をまとめて門(division) 門をまとめて界(phylum)

    界、門、鋼、目、科、属、種
    科…花、器官の構造が共通しているグループ
    系統を図示すると樹木のような形になる→樹形図 19世紀のヘッケルの樹形図

    樹形図の見方 ☆左手親指と人差し指・右掌を自分に対して直角に立てて作った三角形
    三角形 左上から右下に伸びる線①に沿って分化(右下が現代に近い)
    ①から右上に伸びる線 右端に示した目がどの段階で別れたのかを示す線

    基部被子植物
    アンボレラ科(ニューカレドニア島の固有種・つる性の植物・道管を持たず原始的)

    モクレン類、センリョウ類 単子葉植物

    基部真正双子葉類、中核真正双子植物(バラ類、キク類)

    APG分類体系の図鑑 木本植物、草本植物が入り混じる科あり 従来の日本の図鑑では区別

    P34 シソ目ハマウツボ科 半寄生性植物(他の植物に寄生しながらも光合成により栄養分を生産するもの)
    ☆parasitic plant寄生性植物(寄生虫のイメージ・自分では光合成せず)

    新エングラー体系のユキノシタ科 見るからに多様な植物群、系統に疑問があった。
    レンプクソウ科 従来1種だったものが150から200種の大分類群へ
    馴染みのあった科が統合でなくなった科もある。

    APG体系で外部形態の類似性に基づく従来の分類体系の誤りが正された

    目の数は世界の被子植物全体で60程度 日本にも50あり

    単子葉植物→3枚のガク、花弁
    ラン科→3枚の花弁の中の1枚が唇弁(シンベン) キジカクシ目ラン科 (キジカクシ目にアスパラガスあり)

    2者に共通の形質
    同じ祖先の場合=相同
    違う祖先の場合(収斂シュウレン・環境への適応方法が類似していると類似した性質が独立に進化する事)=相似

    花粉には穴、溝がある→花粉が雌蕊の柱頭まで到達後、その穴・溝から花粉管が伸長

    単子葉植物→穴は1つ 双子葉植物→1or3

    双子葉植物は基部被子植物(祖先的なグループ・ほとんど穴1)と真正双子葉植物(ほとんど穴3)
    ☆日本語の名称は英訳したものと思われる・日本語自体の意味を考えすぎると理解が困難になる

    樹木の特徴 二次成長する維管束形成層を持ち、横方向に肥大成長で材を形成 二次成長は光をめぐる競争で有利
    草本(ソウホン・シダ植物と種子植物で地上茎の生存が1年以上続かない)は二次成長しない

    モクレン科の樹木を揉むと精油の良い香り
    モクレン類は初期の被子植物 1億年前はチョウ、蜂がおらず甲虫類を送粉者として利用 顎があるため食害を回避するために精油
    防虫剤として樟脳(ショウノウ)がクスノキから採れる・胡椒に防腐・防虫効果あり

    バクテリアとの共生によって空気中の窒素を固定する植物
    食虫植物
    風媒による送粉→進化し虫を使うモノ→また風に戻った進化 ブナ目
    風任せだったものを生物を利用するというブレイクスルー

  • 何気なくみている植物たちの、生い立ちを知ることができる、素敵な辞典

    生物進化、ナチュラルヒストリー
    おなじとおもぅてたものが
    異なるグレードでしんかしていたり。
    原始的と思ってた形質が、進化の果てに獲得されたものだったり。

    自然は、驚きに満ちていることに、改めて気づかされる!

    迷った時に戻れる系統樹と、素敵な写真で、常に植物を見ながら、体系と進化を感じながら、読める。図鑑をみながら、系統樹の世界を旅できました。


    そして、最後の章。更なる謎が提示されて、この楽しい冒険が、まだまだ続くことが示されて、うれしいかぎりだ!

  • 請求記号 471.8/I 91

  • ‪最初から最後まで、植物の科と目と系統樹の話しかない。潔い。分類が変わったという「事実」を列挙するだけでなく、その事実からわかった植物の進化過程に関する新説を紹介したり、近縁認定された生物群どうしの共通形質を探したり、といった「事実の掘り下げ」に力が入っていて、最後まで夢中で読めた‬

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著者プロフィール

千葉大学理学部助教授

「1994年 『植物の自然史 多様性の進化学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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