陸の深海生物: 日本の地下に住む生き物

著者 :
  • 文一総合出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829972489

作品紹介・あらすじ

ようこそ。めくるめく奇怪な地下性生物の世界へ。本書を開いて足元に広がる無限の異世界へ、地下の暗闇に暮らす約140種の生き物を収録。「生きた歴史書」とも呼ぶべき学術的な価値がありながら、いまだ一般にはほとんど知られていない日本の地下に住む生き物たち。ふだん日の目を見ない彼らに情熱を注ぎ続ける昆虫学者の小松貴が、粉骨砕身して得た貴重な写真と共に、足もとの暗闇に広がる別世界へと読者を誘う。約140種を貴重な生態写真と共に解説。******************************・陸の深海生物と呼ばれる“地下性生物”に、稀代の昆虫学者・小松 貴が迫る!・日本の地下空隙に生息する生物(節足動物、扁形動物、軟体動物)のうち、代表的な約140種を収録。・日本における地下性生物の研究は多大に発展途上で、種名すらない生物(あるいは同定困難な種)も多い状況にあるが、本書ではその貴重な姿を捉えた生態写真を多数掲載。・各種において、体サイズや分布域、生態を解説。環境省・各都道府県版レッドリストへの掲載状況も合わせて記した。・地下性生物の基本情報や学術的な魅力、存亡にかかわる脅威、困難を極める採集調査の様子等についても紹介。・人気漫画家のじゅえき太郎氏が、地下性生物の暮らしや調査の様子を漫画で紹介。******************************************(※以下は本文より抜粋した文言です。)地下は、ただ土が詰まっただけの場所ではない。無数の亀裂が走り、そこに挟まりつつ生きるものたちが沢山生息する。暗黒生活に適応した彼らは、視覚の代わりに周囲の状況を鋭敏に察知するセンサーを搭載した、まさに「陸の深海生物」と呼ぶに値する連中だ。メクラチビゴミムシは、町おこしのマスコットにも客寄せにも使えない。今後も決してテレビの自然番組では紹介されず、たまにインターネット上で「メクラチビゴミムシとかいう虫の名前ひどすぎワロタwww」などの下衆な取り上げ方をされるのが関の山だ。しかし、それが彼らの存在を軽んじてもよい理由にはならない。賢者ソロモン王の人生最大のピンチを一匹のミツバチが救ったように、ゴミムシやゲジゲジが何かの拍子に、人類社会に山積する諸問題を解決する糸口を教えてくれるかも知れないのだから。現に私自身、地下性生物の魅力に憑りつかれたが故に、これまで交流のなかった様々な人々と出会い、多くを学ぶ機会を経た。眼のないムシたちが、私の狭い視野をこじ開けて広げてくれたのだ。こんな素晴らしくも愉快な話が、他にあるか。

感想・レビュー・書評

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  • 稀代の生物学者、陸の深海生物に迫る!|ブンイチ(文一総合出版)|note
    https://note.com/bunichi_books/m/m6aae047d0d9d

    「怪虫ざんまい」小松貴さんインタビュー 虫ってやっぱり、いないと困る|好書好日(2022.06.18)
    https://book.asahi.com/article/14643766

    小松貴 | 著者一覧 | 考える人| シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。知の楽しみにあふれたWebマガジン。 | 新潮社
    https://kangaeruhito.jp/author/111

    じゅえき太郎(@juekitaro)さん / X
    https://twitter.com/juekitaro

    陸の深海生物
    https://www.bun-ichi.co.jp/news/tabid/tabid/57/pdid/978-4-8299-7248-9/Default.aspx

  • 地下にはどんな生物が住んでいるのか? 深海生物のような異形の生物?見た事もない色の生物? そんな期待を持って読むとがっかりするかも知れません。なぜなら本書には珍しい形の生物はほとんどいないからです。とはいえこれだけ一挙に集めた本は珍しい。面白い内容に違いないです。

  •  あまり知られていない地下に住まう異形の生命たち!ユニークで多様で貴重で消えつつあるそんな生物たちについて鮮明かつ美しい写真共(キョウトメクラヨコエビは絶対に見てほしい!まさに息を呑む)に紹介しているまさに夢のような一冊だ。全然知らない生き物ばかりであり、こんな生物たちやまだ知られていない数しれぬ生き物が遠い山々や足元に住んでいると考えるとなんだかワクワクする。そしてあまりにも美しいゴミムシやクモにも心奪われたが、一番心に残ったのは欄外に置かれていた恐るべき以上のハエ、クモバエ。地下性とはちょっと言えないがこれはあまりにも…すごすぎる。もちろんコラムに書かれた地下性生物達の実態や実体験なども楽しく読ませてもらった。地下の世界は生物だけでなく環境すらもあまりに驚きに満ちている。今回は図書館で借りて読んだが手元に私物として購入してとどめ置いておくことも検討したいところだ。
     この本を読んでからというもの、ある意味宇宙や深海よりも近いのに遠いこのフロンティアに注目と研究の光が差し込んで様々な秘密が明らかになる日を願ってやまなくなってしまった。本の記述を見る限り、コロナ禍などで写せなかった珍しい生物たちや海外のさらに珍奇な生物たちなど地下性生物にはまだ見ぬ世界があるようだ。なにぶんマイナーかつ希少なので調べてみてもなかなか出てこず、増補改訂版や海外の生物種についての本などが出てくれれば嬉しい。それまでは機械を見つけすでに刊行されている同じようなジャンルの本を探して読んでたいところ。

  • ふむ

  • 日本の地下世界にこれほどの生物が暮らしていること。そしてそれはまだ全体の本のごく一部であること。素人目にはすべて同じに見えてしまう虫たちを細かく分類し同定すること。そのために文字通り命を賭けた冒険と気が遠くなるような手間暇をかけていること。この一冊を読むだけで、そこにこちらの知らない気が遠くなるような世界が開けていることが実感できる。しかもそこにはほとんど保護の手が伸びていない実情に愕然ともする。願わくばこういうところにも国の予算が割り振られますように。

  • 陸に深海生物がいるという話ではなく、洞窟などの生物のことが書かれています。
    洞窟の虫などが白いのは、紫外線を色素で防護する必要がないからとのこと。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/501980798.html

  • 陸の深海生物の本を初めて読みました。虫好きなので楽しく読ませていただきました。
    採取が大変なのは想像できますが、これ程大変だとは思いませんでした。
    メクラチビゴミムシが生きられる環境を守っていきたいものです。

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著者プロフィール

九州大学 熱帯農学研究センター 博士研究員。
信州大学 大学院 総合工学系研究科 山岳地域環境科学専攻 博士課程修了。 博士(理学)。
著書に『裏山の奇人――野にたゆたう博物学』『アリの巣の生きもの図鑑』(共著)(ともに東海大学出版部)など。

「2016年 『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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