- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784831826084
作品紹介・あらすじ
敗戦という未曾有の出来事を「神やぶれたまふ」と表現した折口信夫。やがて〈神〉から〈人間〉となった天皇や、「神道指令」後の日本神道に、彼はいかなる可能性を見出そうとしたのか。
「「女帝考」はなぜ書かれたか」「日本神道の〈対抗宗教改革〉プラン」「神と精霊の対立というパラダイム」「〈新国学〉の戦前と戦後」など、折口学の深淵へと果敢に挑んだ論考を収め、擁護や否定といった単純な枠組みを超えた折口理解〝第三の道筋〟を切り拓いた画期的労作。解説=三浦佑之
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本書『折口信夫の戦後天皇論』(法藏館)の主題は、そのタイトルが示している通り「天皇」の問題であった。そこでは、戦前から戦後へと生き抜いた折口信夫の、「天皇」に関する認識の揺れと変貌という問題が、中村生雄にとってはもっとも重大な関心事だったのである。大雑把な言い方になるが、……近年の折口論との違いはそこにあり、本書が、いま新たに文庫版となって刊行される大きな意義もそこにあると言ってよい。(「解説」より抜粋)
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感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:170.4A/N37o//K
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これまで「古代研究」を読んで、そのイメージの喚起力に圧倒されながらも、何を言わんとしているのが良く分からなかった。本書は、折口古代学について、文学の発生理論、芸能の発生理論、さらに国家の発生に至る一般理論へと発展していく過程を具体的に跡付けて叙述され、また、折口の方法論についても詳細な説明がされるなど、納得できるものだった。
また、書名となっている、折口の戦後の天皇論、そして宗教論が、かなりショッキングな内容であることも、著者の見解によって改めて教えられたが、その背景として、硫黄島で戦死した養子への慟哭の思いがあることが良く分かった。