制度としての基本権

  • 木鐸社
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833221436

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  • 1965年出版。主題は基本権〔人権〕であるが、法解釈が依拠する「価値」としての基本権という理解に対する社会学的な批判がなされる(その意味で、基本権を価値として理解しない人間にとってはあまり意味がない)。価値を究極の妥当根拠として要請する法ドグマーティクの思考法に対して、ルーマンは社会的分化を維持する防壁として――とりわけ、政治システムによる過剰な・脱分化的な他のシステムへの介入に対する防壁として――基本権という「制度」を理解している。そのような観点のもと、人格権と自由権、思想信条の自由、所有権、そして参政権について、社会分化を可能にする条件であるとする。とりわけ、参政権の位置づけは問題的だろう。基本権を価値として理解した場合、参政権を基本権に位置づけるためには特殊な価値観――例えば古典的共和主義――を持ちださなければならなくなるからである。しかしルーマンが提示するのは、参政権もまた基本権問題の中心に位置するということである。訳者もあとがきで書くように、このような基本権理解をドイツ国家学の伝統における基本権理解と対比してみるというのもまた、法思想史・法学史的に興味深い作業になると思われる。

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著者プロフィール

ニクラス・ルーマン(Niklas Luhmann) 
ビーレフェルト大学名誉教授。1968年から1993年までビーレフェルト大学社会学部教授を務めた。著書は『社会システム』の他、『社会の……』や『社会構造とゼマンティク』のシリーズなど多数。1927年-1998年。


「2020年 『社会システム 下 或る普遍的理論の要綱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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