日産自動車 極秘ファイル 2300枚―「絶対的権力者」と戦ったある課長の死闘7年間
- プレジデント社 (2018年12月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833423038
感想・レビュー・書評
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「会社は管理権を死守せよ」
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組織は生き物のよう。
そして、体質を変えるのは難しいものなのだなと。
そして、何度でも歴史は繰り返すのだなと。
著者が塩路一郎という組合のドンのクビを取るまでのノンフィクション。
アマゾンでは、ゴーン事件のことだと思ったら違ったー、みたいなレビューがあったが、まあ今回も本書とさほど変わらないことが内部で起きていたのでしょうねとしか言いようがない。
さっさとサラリーマンを卒業した自分のような人間には、はっきりいって自分の会社ではないもの(自分が主要株主でないという程度の意)に人生を賭ける心境がよくわからない。
著者は愛社精神とも違うと言う。
例えるなら、たまたま乗り合わせた電車で暴漢に襲われた女性を見るにつけ、それを見ぬふりにできないのと同じようなものだ、と。
ちょっと待て、違和感あるぞその例え。なにゆえその電車に乗ったのだ。
いや、電車なら目的地に向けての最適な一本を選び取った結果のたまたまのそれ、という言い方もできるが、会社選びはそれとは違う。
就職先を選ぶにあたり、無理してそのような会社に入らなくても・・・、
いや、入社前に気づかなくても、入社式の日の光景に違和感を感じたのだったらそこで飛び出しても・・・、
とか言いながら、半分はわかっている。
「終身雇用」「年功序列」が存在する社会では、たまたま就職したその会社で遭遇した事態に、立ち向かうか従うかしか選択はないのだな、と。
ヘビーだ。
日本的雇用システムの前提として、同業他社の人材を引き抜かないという暗黙の了解があった。
例えば日産を退職した人間をトヨタは採用しない。
お互いにそういったことをしないという雇用慣行が、賃金の上昇を抑える役割を果たしていて、それが一時期の日本企業の強さに繋がっていたと、昔、組織論の講義で習った。
若く優秀で低廉な労働者、というやつだろう。
逆に、そういった慣行の埒外にある外資がそれなりのステータスを持っている金融業界では、賃金は上昇しがち。
金融の場合、労働者としての価値が云々とかいう前に、給料を上げないと他に引き抜かれる、という現実がある。
経団連会長の言葉にもあるように、ようやく幻想としての終身雇用も壊れそうだ。
こういった雇用慣行も含めて変わっていけば、第二の塩路、ゴーンが登場する素地も消えるのだろう。 -
すごい人生だなと思った。
そして体質というのは変わらず繰り返されるのだなとも感じた。会社自体が変わらないその体質を決定づけるのは何なのだろうと思う。宿命なのか。
人生をどう生きるかだなと思う。それは自分ひとりの人生ではなく。