頭のよさとは何か

  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833440387

感想・レビュー・書評

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  • 情報や知識を得る事は有利だが、本質的な頭の良さとは異なる。それは、情報自体は消費されるものだからで、寧ろ、それを使いこなすプロセスが重要。従い、情報収集と定着率を問う受験に関しては、その情報量が重要なのではなく、収集に望む知的態度こそ、頭のよさのポイントなのだと。

    和田秀樹と中野信子。医学的な見地、東大卒の共通点という視座から、頭の良さについてなされる対話は面白い。

    歳をとり、記憶障害や知能障害が起こるより前に、前頭葉機能が衰える。そのことが明らかにするのは、意欲や新しいことへの対応能力、クリエイティビティーと言う能力の方が先に老化してしまうと言うことだと。やはり、態度が大事。死体解剖を経験している和田秀樹は、アルツハイマーの変化や癌は老齢に必ずあるが、個体差は態度による機能差、脳の縮み方は同じでも、実用性が異なるのだと。

    また、中野信子の話では、右前頭葉が欠損した学生でも東大に合格して通っていたとか。自身が東大合格後に、二次試験の数学を受けてみると、もはや一桁台の点数しか取れなかったとか。

    肩書きを得ると、その日からまるで自分自身が変わったように感じ、態度も変化する。能力には間違いなく違いはないはずだから、変わるのは態度であり、それにより機能も変わる。しかし、試験の合格など、その瞬間の過去の話。頭の良さには、瞬時に察知して判断したり創発する力が含まれるが、継続する努力が必要。この本では、和田秀樹の灘校の同級生だという中田考が天才だという話がヤケに印象に残った。

  • 見た通りのテーマですが、個人的にはこのお二方の
    いろいろな雑談が面白かったです。

    たとえば、中野信子さんは泳げなかったのですが
    YouTubeを見て繰り返し練習して泳げるようになったそう。

    また和田先生は病院で年間100人位の老人の解剖をしていたことがあり
    そうするといろいろなことがわかる。
    85歳過ぎると脳にアルツハイマーの変化のない人はいない、ガンのない人はいない、動脈硬化がある。
    それをどうやってうまく生きるかということだそうです。

    そんな面白い話が満載なんですが、実は私が一番
    読んでよかったと思ったのは「前頭葉」のこと。
    私は最近「前頭葉を育てるのがいいのではないか」と
    しばしば考えていたのです。

    そしたらなんと和田先生が
    「(最近右脳左脳理論を否定する見解がでている)
    実は僕もまったく信用していないんです。
    僕は、右脳というより、前頭葉の機能とそのトレーニングに
    むしろ注目しています」
    とのこと!

    〈勉強を続けていないと頭が悪くなるのは当たり前のことだし、
    感情に振り回されたり、定説を信じて思考停止になったりしても
    頭が悪くなる〉

    和田先生が書きたいと思っている「withを生きる本」
    楽しみにしています。

  • 和田先生は本人が語るよりはるかに巷では知れ渡っています。著書はどこの本屋でも棚に並んでいるし(病院の待合室や美容院でもおいてある。健康や長寿、教育など幅が広い為だろう。内容も読み易いし)しかも、広い世代に渡っている。
     この本のタイトルは興味をそそるのですが、内容は対談ということで、終始会話のベクトルはそこに向いているが薄い。
     和田先生の経験と知識を、中野信子さんが少し上の俯瞰レベルから、手を加えて良い仕上がりにしている。ちょっと方向を微調整したり、若者視点を加えたり、女性視点を交えたりなど、和田先生をまな板に乗せてキレイに料理を仕上げている。
    言葉の量では1/5程度かなと思うけど、読み物としての価値がグッと引き立っている。
    〜〜p139

    和田先生『東大を出ているのに本当につまらない奴っている』

    中野信子『いいんですよ。その人たちはそれで幸せなんですから』

     「中野信子さんによる、和田先生へのヨイショ本」という匂いも所々に感じる。

    所詮雑誌レベルの内容である域は抜けられていない。
    この本を手にして、広告効果を感じた人が次にとる本が和田先生の著書なのか、中野信子さんの本なのか。それはどんな人なのか。
    それは本屋で観察しなくても想像はできる。 

  • 和田さんも中野さんも、他の著書で知っていたので、この2人の対談には、興味があった。
    Audibleで聴き放題になったので、さっそく聴いてみた。
    思ったよりも学びのある本だった。何回も聴いてみたい、と思わせられた。
    「愚かな知識人より飢えた知恵者を目指せ」(和田)
    全くもってその通り!
    今年度上半期に読んだ本の中で、ベスト5に入る良書だ、と思わせられた。
    ところで、何で、こんなに皆の評価低いの??(笑)

  • いつまでも、学ぶことを楽しめること。決めつけないで生きること。グレーであることが自分の中で許されること。頭の良さって、そういうことなのかもしれない。

  • 「頭の良さとは何か?」
    と言われたら私は「問いを立てる力」だと答える。

    本書の中でもあったが唯一絶対の回答がない現在、解くべき問いや課題を設定できることの方が重要だと思うからだ。

    頭の良い人の定義をそう捉えると、頭の悪い人はどういう人なのか?と考えた。
    反対から捉えると「唯一絶対の回答があると思っている人」「答えを探す人」になるだろうか。

    本書では頭の悪い人の共通点を「変わりたくない人」としている。
    今の状態が良いから可愛たくない、変わるのが怖いから可愛たくない、と思うと現状維持となる。

    私の好きな言葉に「stayは衰退のもと」がある。
    以前の上司がよく話していた言葉だ。
    現状維持をするにも変わることが必要なのは当たり前だが、変わることが怖いと感じるのも理解できる。
    人間の脳や、日本人のDNAから、生存していくために恐怖を感じるのは仕方がないことを理解して変わることに慣れていくことが大事だと思う。

    記憶力などの低下の前に前頭前野の衰えがあると書いてあった。そのため新しいことを知ったり行動したりする能力が減っていくとのこと。
    私の価値観のベースに「知的好奇心」と「知的柔軟性」がある。今はそれを満たせているが、年齢を重ねる中で見出せなくなる時が来るのだろうか?
    変わることを楽しめる人間でありたい。

    ====
    ジャンル:自己啓発・マインド
    出版社:プレジデント社
    定価:1,650円(税込)
    出版日:2022年03月31日

    ====
    中野信子(なかの のぶこ)
    脳科学者・医学博士・認知科学者
    東京大学工学部卒業
    現在、東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授

    和田秀樹(わだ ひでき)
    1960年大阪市生まれ
    1985年東京大学医学部卒業
    現在、国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、川崎幸病院顧問、一橋大学・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長

    ====
    flier要約
    https://www.flierinc.com/summary/3008

  • 前から気になっていた本。図書館で借りてきてすぐに読んでしまいました。

    最近読んだ本の中でこんなに付箋をつけたのはないと思う!というくらいに良いと思う部分がたくさんありました。
    久しぶりに和田さん(中野さんとの対談だけど)の本読みました。

    "頭のよさとは何か"というテーマ。
    私も普段からずっと考えている。
    人それぞれ答えがあると思うけど、
    私の中では
    "好奇心が強い""人の話を共感を持ってきける""柔軟で発想が自由""学ぶことをやめない"

    個人としては"知の探求を続ける"というイメージで、他者へは"共感力と包容力"って感じだと思う。

    本からもそうだけど、他者から学ぶことって本当に多い。自分のやり方だけにしがみついていたら柔軟な発想は出来ない。相手の良いところも取り入れることでうんと知の幅が広がるんだと思う。

    1人でただ知を蓄えるだけでは何かを成し得ることは難しい。必ずそこには誰かの協力があるんだと思う。
    人から愛され、また、人へ敬意を払えることも頭の良さなのではないかと私は思っている。

    自分はそんな人になりたいし、自分の子供にもそんな人になって欲しいな。

  • とある酒席にて、たまたま隣にいた初対面の某イット企業の専務と言う輩が何故か私に絡んできまして、自分の自慢話から始まり、私とお店のママとの会話全てに参戦し、私があの店は良かったと申すと、俺はもっといい店知っていると常にマウントを取り、仕舞いには自分のイット企業の凄い利益率を、私のような零細印刷会社の貧相な利益率とを比較させ、もうレフリーがいても止められないくらいのマウントから顔面連打を浴びせ続け、私の意識が朦朧とする中、あゝこいつはお金はあるけど馬鹿なんだなあ、水仙とニラを間違って喰って死んでくれんかなあと思っておりまして、まさにこの馬◯鹿専務にはこの本を読んで猛省していただき、大雨で川の水が氾濫しそうな時は必ず先頭に立って確認していただき、その後から私がそっと背中を押しますので、川の流れを身を持って楽しんでいただければなあと思っております。

    『頭の良さとは、能力ではなく、態度である。』


    私は常にそうありたいです。

    因みにその馬鹿専務、初めて来た店だったんですが、1発で出禁になりました。
    お疲れ様でした。

  • 面白い話ができる人になりたいなって思いました。

    いろんなことを試したり、失敗したりして、白黒で判断せず、グレーのグラデーションを考えれる人になれればいいな。

  • 自分には資格はあるが教養が足りないと思うので、教養を養っていくと共に頭の悪い人にならないように日々過ごしていこうと思いました。

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著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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