写真家 井上青龍の時代

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  • ブレーンセンター
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833905473

作品紹介・あらすじ

かつてこんなに凄い写真家がいたことをあなたは、ご存知でしたか?
激動の1960~70年。見る者の心に突き刺さるの衝撃的な写真で登場した井上青龍氏。
今や伝説中の人物と化した、この孤独な記録者の実像に迫ります。
清廉で鳴る写真家・太田順一氏、書き下ろし長編ノンフィクション第1作。

感想・レビュー・書評

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  • 釜ヶ崎の写真を撮影していた写真家。70年代の釜ヶ崎と今の釜ヶ崎は全然違うが、また西成に行きたくなった。表紙の写真は、森山大道によるもの。この写真がたまらなくいい。
    映画『(秘)色情めす市場』を見返したくなった。

  • 7年の歳月をかけて書かれた大書であり、ドキュメンタリー写真家井上青龍氏の生涯を余す所なく書き切っている。
    氏が1988年に写真撮影中に事故死した経緯は本書で初めて知ったのではあるが、実に残念である。私が一度だけであるが、園田のご自宅で会ったのは1970年か71年であり、大阪の写真学校の友人と一緒であったが、本書では写真から暫く離れて俳句に傾倒していた頃に当たっている。氏の印象としては、非常に存在感のある方ではあったが、どこかションボリした風体であったことを記憶している。
    氏のライフワークである「釜ヶ崎」~即ち当時の日本社会の総体的矛盾の現実~を何とか変革したいという夢と、そこに生きる人々への愛憎籠った共感が断ち切り難く、写真家という自己の立場との距離を測る試行錯誤の時期であったと、本書を読んで今にして回想している。
    氏の写真家としての系譜は、70年代のプロヴォーク同人や森山大道氏の路上スナップの手法に引継がれている。

    今年(2013)読んだ写真関連の本としては、最高の賛辞を送ると共に、丹念にインタビューを継続して、この様な大著を執筆された太田順一氏に敬意を表したい。

    最後に、釜ヶ崎の現実も日本社会の構造変換によって変貌を遂げており、新しい時代への急速な変化と共に、1960-70年代が急速に「歴史」に成りつつ有るのを実感しているが、この本のタイトルである「写真家 井上青龍の時代」というネーミングも、一つの時代の終わりを告げている様に感じた。

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著者プロフィール

太田 順一(おおた・じゅんいち)
写真家
1950年、奈良県生まれ 。
1971年、早稲田大学政治経済学部中退。1978年、大阪写真専門学校卒業。夕刊紙カメラマンをへて1982年よりフリー。
写真集に『女たちの猪飼野』(晶文社)『父の日記』(ブレーンセンター・伊奈信男賞受賞)『遺された家―家族の記憶』(海風社・写真の会賞受賞)『ひがた記』(海風社・さがみはら写真賞受賞)など。著書に『ぼくは写真家になる!』(岩波書店)『写真家 井上青龍の時代』(ブレーンセンター)。

「2022年 『こころの風景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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