きつねのホイティ (世界傑作絵本シリーズ)

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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (44ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834001983

感想・レビュー・書評

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  • 人を化かすキツネが出てくるお話ですが、この作品では怪しい技を使ったり変身したりすることはなく、後ろ足で歩いて、服を着て、人間のふりをする、というささやかなイタズラをする、それがホイティという名のキツネです
    そんなささやかさなので、人間の目からはキツネだとバレバレなのですが、困ってる旅人のふりをして美味しいご飯をご馳走してもらいに来るホイティを面白がって、たっぷりもてなしてこっそり笑う、仲良し3人組のおかみさんたち…という、女性たちとホイティとの距離感が独特に感じる話です
    先日読んだ『遠野物語』なら、人間の服を着て現れた段階で、ホイティは包丁で刺し殺されそうですが、こちらのおかみさんたちは、おいしいカレーなどでたっぷりもてなします 平和!
    その後、ホイティはおかみさんがたを調子こいて馬鹿にしだすのですが、それに怒ったおかみさんたちは、ホイティに込み入った罠をしかけて、お前の浅知恵など分かっているんだぞ! と、矜持をへし折る形で叩きのめします でもご馳走は食べさせてやってる おおらか~
    旅人をもてなしたり、キツネに対しておおように構えたりしているのって、お国柄なんでしょうか 
    すごく文化圏が違う手触りを感じました いい意味で

    ホイティのぐにゃ~とした仕草や、やけにテンション高く、ぶるんぶるんした動作で踊るネコとかほかのどうぶつとか、それらも見ごたえあります おかみさんたちの家の近くの山というか森というか、それらも生命力にあふれていて、物語全体の精気の強さがすごいなって感じです

    一方、日本と同じだなーって感じたところもあって、おかみさんたちが結束が深いところもそうなんですが、お客さんが来てるのに、もてなしたり話したりするのはおかみさんらに任せきりで、旦那さんらが一言も喋らず普通に食卓について自分だけメシを食ってたりタバコ吸ってたりすることです
    料理や来客の世話は女性の仕事なんですね 男は何もしやしねぇ
    ホイティには苛々しませんが、旦那どもには腹が立ちます
    まあ、読者が腹立てる筋合い無いですけど

  • スリランカ発のきつね絵本。
    アンゴウ、マンゴウ、ランゴウという三人のおかみさんのもとに腹をすかせたきつねが人間のふりをしてたずねてきて……というのが導入。
    絵本って似たようなことを何度も見せる「くりかえし」が使われることが多いジャンルの本だと思います。子どもが読むにあたって、内容をリピートすることで理解しやすくしたり、後半のテンションをより高める効果があるのでしょう。この絵本もそんな感じで同じリズムで同じようなことがくりかえし描かれ、最後のオチにたどり着く、という構成のため、異国の物語という壁を感じずすんなり楽しめました。
    また「きつね本」としてみると結構特徴的だと思います。
    何が?
    きつねの描かれ方が。
    なんていうかやたらと動きや喜びようが「人間っぽい」のです。見た目は人間的ではなく、変な生き物というラインなのですが、それぞれの反応や動作は人間的。スリランカという国においてきつねって人間に近しい存在ということなのでしょうか。
    また、きつね以外の動物の反応がやたらとコミカルで面白い。家の中で飼われている猫や、森の中の動物など、話の中心ではないもののページの隅っこで踊るように笑っていたりする姿が印象に残ります。
    話としては「井の中の蛙大海を知らず」あるいは「桂馬の高上がり」的な教訓があるのでしょうか。バカにしてた相手が自分より上手だったとわかったとき、さらにはその相手から嫌がらせではなく慰めをほどこされたとき、たぶんそういうときに人は強く屈辱感を味わうのでしょうし、”効く”のだろうなと、そんなことを思いました。

  • 珍しいスリランカ発の絵本。訳は松岡享子さん。
    お腹を空かせたきつねのホイティは、物干しにあった人間の服を身にまとい、人間(旅人)のふりをして、アンゴウ、マンゴウ、ランゴウという3人の仲良しおかみさんたちの家で順番にご馳走になる。最初のアンゴウこそ始めは気づかなかったものの、その正体に気付く。2人にも話し、2人とも笑いを堪えながら、知らないふりでもてなした。ところが、調子に乗ったホイティがおかみさんたちをバカ呼ばわりする歌を聞いて、怒り心頭。仕返しをしてやろうと、ある作戦を思いつく。ホイティがそれを着ることを想定して、ピンクの花嫁衣装を外に出していたのだ。花嫁衣装を着てやってきたホイティを結婚式に出すお菓子などでもてなす。さらに3人歌を歌って「花婿さんはどうしたの?」おかみさんたちが自分より一枚上手だったことを知ったホイティは森へ逃げ帰る。ピンクの衣装を脱ぎきれないまま、ショボンとしているホイティが愉快。スリランカの日常家庭が描かれているのも興味深い。

  • 季節…なし
    対象…低(やや長)
    内容…きつね 3人のおかみさん ばかしあい たのしい サリー スリランカ

  • 3人は、ホイティがきつねだとわかっているのに、ホイティは3人がだまされていると思っているからおもしろかった

  • これは子ども達の食い付きが良かった。
    最近ロングセラー絵本を意識して借りているけど、ロングセラー絵本の方が子ども達の食い付きが良かったりして。
    大人の感覚と子どもの感覚は違うんだって事を感じている。

  • 小2の娘と読んだ本。スリランカのお話。きつねのホイティがご飯欲しさに、下手な変装で人間になりすましてうちにやってくる。おかみさんはそれに気づきながらもそのおかしさを笑いこらえてご飯を食べさせてあげる。だけど、ホイティは調子に乗ってしまい、怒ったおかみさんたちは仕返しを考えて・・
    スリランカのおかみさんたちの明るい性格、スリランカの服の色彩のきれいさも感じられるあったかいお話です。

  • リズムがいい

    スリランカはインドの下
    地球儀で確認

  • 図書館本。スリランカのお話。たくさんの本に触れて、中学年向けの本も読み楽しむことが出きるようになっているけど、心はまだ1年生。だからこそ、絵本にも触れて心を豊かにして欲しいと母は願うのです。

  • ■伊藤忠027
    #きつねのホイティ
    #2階本棚・上段

    #読んであげるなら4才から
    #自分で読むなら小学低学年から

    ■出版社からの内容紹介
    「変装したきつねがゆかいなスリランカの絵本」
    空腹のきつねのホイティは、ごちそうが食べたい一心でお腹をすかせた旅人に変装して村人の家を訪ね、もてなされます。村人はふさふさしたしっぽに気づきますが、きつねの様子が面白かったのでわざとだまされたふりをします。うまくいったと喜ぶホイティは、歌いながら森へ帰ります。味をしめたホイティは、ほかの村人の家も次々と訪ねますが……。きつねと村人たちとのやりとりをユーモラスに描いたスリランカの絵本。

    #44ページ
    #31×23cm
    #伊藤忠寄贈図書

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著者プロフィール

シビル・ウェッタシンハ 1928年、スリランカ南部の古都ゴール郊外に生まれる。6歳のとき、コロンボに移住。その後、独学で本の挿絵を描くようになる。17歳のころから地元の新聞社で働きはじめ、子ども向けの記事やコラムをイラスト入りで執筆。同時に次々と作品を発表していく。それらの多くは、スリランカにおける絵本のイラストレーションに大きな影響を与えている。絵本には、『かさどろぼう』(徳間書店)、『きつねのホイティ』『ねこのくにのおきゃくさま』『ポッダとポッディ』(以上福音館書店)など。また、自伝に『わたしのなかの子ども』(福音館書店)がある。

「2017年 『ふしぎな銀の木 スリランカの昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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