ユウキ (福音館創作童話シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834006292

作品紹介・あらすじ

“転勤都市”札幌の郊外に住むサッカー少年、ケイタ。小学校入学以来、彼の前には「ユウキ」という名の転校生が三度現れ、たくさんの思い出と痛みとを残してまた去っていった。六年生の新学期にやってきた四人目のユウキは、長い髪の女の子。彼女は不思議少女とあだ名され、いろいろな“奇跡”を起こして話題をさらうが、それがやがて彼女を孤立させることになっていく……。多感な子どもたちの心模様を生き生きと描ききった力作。

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物たちがみんな魅力的でした。
    転校する側、転校される側それぞれの気持ちがよく描かれていて、きっとどちらにも感情移入できるんじゃないかなと思いました。
    主人公は男の子だけど、女の子の悩みも描かれているので男女みんながきっとどこかで共感して、考えたりできる作品だと思います。
    私も小学生の頃のことを思い出しながら、懐かしい気持ちになりつつ、ハッとさせられる場面もありとても楽しめました。

  • んーん。残念だった。ファンタジーじゃなかったかあ。
    おちゃらけ部分もなんとなく受け入れ難かったし、主人公を好きになれなかったし。
    すれ違う感じ、あの頃のどうしようもない感じがリアルで嫌なのかもしれない。あの頃にトラウマがあるので。
    ミナコとヨシカワが爽やかで好き。

  • これが現実の小6の内面を表しているかどうか、悲しいかな今となっては分からないものの、頂はそんなには高くない小さな物語ではあるが、変化はきちんと描かれていて、爽快な気分になった。

    どの登場人物も魅力的に描かれているが、一緒に転校してきた山本ヒロノブ君は地味だが滋味。

    人間関係は入口を間違えると後々まで尾を引く。このようにリセットできるのは理想的。

    転校によって切断される記憶を豊かな堆積だと考えられるのは、よほど成熟した内面を持つ子どもだけだろう。大人によって振り回される存在としての子ども。

  • 気になってた本
    やっと読めた~

    北海道の、転校・転入の多い小学校で
    主人公のいちばんの仲良しはいつも「ユウキ」という名前で・・

    今手元にないから引用できないけど
    なんとなくいい感じの文章(雰囲気)が随所みられる

    子どもたちの描写もていねい

    転校とか、いなくなる同級生とか
    せつない

    作者気付かなかったけど「鬼の橋」とか書いてるひとでした
    こういうのも書くんだな~

  • 仲が良い子が転勤すると、残された方はショックだ。裏切られたような、取り残されたような気持ちだ。こんなに悲しいなら、忘れてしまいたい。

    転勤族の子どもは、家族に文句を言うことが出来ない。自分の運命は仕方ない。次の新しい場所でもうまくやっていかなきゃいけない。そしてもちろん、せっかく出来た友達と別れるのはつらい・・。

    いろいろな子どもの、気持ち。友情の物語。

    ・主人公がユウキと友達になるシーンが良い。サッカーが得意なユウキも、運動よりもラジコン作りが得意なユウキも、それぞれに魅力があって、好きなところがある。憧れるから、そばにいたい。そんな友情は素敵だ。

    今思えば、おれはそれほどマシンが好きだったわけではないのかもしれない。少なくとも、今やっているサッカーのようには打ちこめなかった。たぶんおれは、マシンに熱中している悠樹が好きだったんだ。悠樹と同じことをして、同じ気持ちを味わいたかったんだと思う。 
                 p.43

    勇毅がいなくなる。勇毅がどこかへ行ってしまう。これほどひどい裏切りがあるだろうかと、おれは思った。
    「次の試合、どうするんだよ!」おれは勇毅をなじった。勇毅のせいじゃないとわかっているのに。
    「やっと呼吸が合って、これからだっていうときに、なんでだよ」勇毅にはどうすることもできないとわかっているのに、言葉が出た。ーなぜあんなに責めてしまったのだろう。お父さんがまた転職するという事情を、だまって受け入れようとしていたあいつを.

                     p.152

    ・本当に賢い人とは。転校生ユウキは人の言葉や行動の本当の意味をちゃんと考え理解しようとする。その姿勢に、主人公は気付く。子どもたちの心を丁寧に描いているのが良い。

  • 最初はあまり入り込めなかったが、真ん中過ぎからぐっと引き込まれて一気に読み終わった。

    私が勤務している学校も、転入転出が多い。
    男子でも女子でも、高学年の子にぜひ読んでほしい。

  •  転校生「ユウキ」との友情物語。転校して来る人、転校していく人の見送る人…。いろいろな転校にまつわる気持ちが描かれています。
    (カウンター担当/抹茶アイス)

  • 小学校6年生。
    うちの子たちがいった小学校も転校生だらけだったが・・・
    実際、小学生で全く新しい環境に住むって難しいんだろうな。
    主人公は仲良くなった友達が次々と転校していく。
    そっちもつらいよなあ。
    口下手なというか無口な主人公の一人称なので読んでいる私にはその心情がよくわかって、なかなかよかった。

  • 僕の名前がタイトルってんでちょっとプラス評価。
    まあそれを差し引いても児童文学として結構優れているのではないかな。最後のオチは「なんじゃそりゃ?」だけど、続編やスピンオフ作品も作れそうな感じで、たっぷり内容がつまっている印象。

  • 中学の入試問題としても取り上げられた児童文学作品。主人公のケイタは転入出の多い小学校に通う6年生。仲良くなってはその友が転校していってしまうということを何度も経験し、偶然にも仲良くなった友達は皆「ユウキ」という名前。そして春、「ユウキ」が転入してくる・・・せっかく仲良くなった友達が、家の事情で突然去っていくというのは子供にとってはショックだし寂しいことだ。ケイタがカズヤや、優希に対して素直になれない様がこの年代の少年心理がよく表されているなと思った。終盤にかけてのヨシカワの活躍がいい。読後がとても爽やか。

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著者プロフィール

伊藤遊 伊藤遊(いとうゆう)1959年生まれ。京都市出身。立命館大学文学部史学科卒。著作に『鬼の橋』(産経児童出版文化賞推薦)、『えんの松原』(日本児童文学者協会新人賞、産経児童出版文化賞)『ユウキ』(日本児童文学者協会賞、以上福音館書店刊)、『つくも神』『きつね、きつね、きつねがとおる』(第17回日本絵本賞)『狛犬の佐助 迷子の巻』(第62回小学館児童出版文化賞、以上ポプラ社刊)がある。札幌市在住。

「2014年 『えんの松原』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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