- Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834010114
感想・レビュー・書評
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アラスカの壮大な自然、生き物たちの表情までを捉えた美しい写真がたくさん。
文章は子供向けに書かれていますが、もちろん大人も存分に楽しめる一冊です。
やまさんの本棚に、星野道夫さんの本がたくさん並んでいて、ずっと読んでみたいと思っていました。
まず驚いたのは冒頭の部分。
「19才のころ、見知らぬ北の国、アラスカにあこがれていました。」
アラスカの本を読んでいて一枚の写真に目が止まった星野さん。
その写真は、エスキモーの村・シシュマレフ。
「そうだ、この村に行ってみよう」
と思い立ち、何をしたかというと…
「村長さんへ・シシュマレフ村・アラスカ」
と、手紙を書いたのです!
内容は、
「あなたの村を訪ねたいのです。
どんな生活をしているのか知りたいと思います。
だれか、僕を世話してくれる人はいないでしょうか?」
時代は、1970年代初頭だと思います。
すごい行動力ですよね!
結果、アラスカを訪れる事が出来たのですから!
文章も良いのですが、やはり写真に圧倒されます。
トナカイが一列になって移動している姿。
くまの親子。
氷河が崩れ落ちる瞬間。
等々…
星野道夫さんの本、もっと読んでみようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「星野道夫」さんは、19才の頃、アラスカの本を読んでいるときに目に留まった、『シシュマレフ』というエスキモーの村の寂しげな写真をきっかけに、以後、アラスカに住みたいと思い立ち、大学卒業後、2年間写真の勉強をして(カメラマンになって、アラスカを写したかった)、1978年、アラスカに移り住んだそうです。
最初は、テントを担いで動物を探しながら、1年の半分はテントで暮らし、冬の間は、アラスカ大学で動物の勉強をされたそうで、それは、星野さんの1年に渡るクマの観察にも表れており、クマというと、日本ではどうしても怖いイメージが先行しがちですが、本書の写真では、お母さんグマと子グマの寄り添う姿がとても新鮮で、中でも子グマを見つめるお母さんグマのやさしい眼差しには、星野さんの仰るとおり、人間の母親と何ら変わらない慈愛に満ちているように感じられました。
また、星野さんが、カヤックを漕ぎながら目指した、グレイシャーベイの氷河は、後ろにある山々とほとんど変わらない高さで、その圧倒的な存在感が印象的ですが、突然崩壊したりと撮影するのに危険もあり、島のてっぺんにテントを張って、今度は万全かと思いきや、ちょっとよそみをした間に氷河が崩れてしまい、シャッターチャンスを逃したりと、カメラマンも大変です。そんな中でも、氷河が少しずつ小さくなっている事を懸念されている思いや、約1ヶ月半もの間、ひとりでいる寂しさを紛らわせてくれた一枚の写真には、星野さんの心に少し触れられたような気持ちにさせられ、その写真に対する一文『たき火は1人でいるときの友だちです』にも、胸に迫るものがありました。
次は、カリブー(トナカイ)に出会うための旅で、彼らは北極の大地を1千キロにも及ぶ長い旅をするのですが、どこを通っているのかは、遠い昔からエスキモーだけが知っているそうで、とても神秘的なものを感じましたが、そのエスキモーは、遠い昔、アジアから渡ってきており、祖先は日本人の祖先と同じということを初めて知りまして(そういえば、3ページのエスキモーの人達の写真には、その面影が)、何か神秘的な部分にも親しみが湧くというか、エスキモーの人達の存在を身近に感じられるようでした。勿論、その文化や生活習慣などは大きく異なりますが。
そして、実際にカリブーの群れを撮った写真が、また印象深く、その曇り気味でどこか暗く感じられる荒涼とした雪景色の中を、粛々と行進しているその姿には、どこか厳かでありながら、何かそれぞれに共通した確固たる意志のようなものも感じられて、なるほど、エスキモーだけが知っているという、その神秘的な部分も垣間見えるようで、思わず、じっと見入ってしまいました。
また、そんな雪景色が印象的なアラスカにも春が訪れると、動植物たちが、いっせいにその喜びを表すかのように顔を出し、ライチョウやリス、アカギツネにコミミズクのひなたちの、それぞれに感じる愛らしさや、アラスカを代表する花であるワスレナグサ、コケナデシコ、星野さんの大好きなワイルドクロッカスの、ささやかであるからこそ、より感じられるその存在の美しさに加えて、物語と違い人間を襲わないオオカミの写真と、その染み渡るような遠吠えが初冬の山々に響き渡る様には、目をつぶってその思いを馳せてみたい気持ちにさせられました。
これらを見ていく内に、私が改めて実感したことは、写真という、その時の事実を切り取ったものが見せる説得力の凄さであり、絵には、人それぞれが思い思いにあれこれ想像させる素晴らしさがありますが、写真には、心に焼き付けたくなる風景や、知らなかった動物たちの素顔、その時の星野さんの表情、すべて事実であることが、こんなにも感動させるものであることを、まざまざと思い知らせてくれましたし、それは、昼間にしか見えない夜の12時に撮った白夜の写真や、川を渡っているカリブーの群れ、そして、左右両ページの見開きいっぱいに広がる、オーロラの幻想的な美しさ(アラスカ州の旗のシンボル、北斗七星もはっきり見えます)からも、感じさせられました。
それから、本書は児童書であることに、一つの意義があると思いまして、それは、子どもたちに、世界にはこんなに美しい、私たちと同じ祖先の方が暮らしているところがあるんだよということもそうですし、始めに書いた、星野さんが19才の頃にアラスカに興味を持ったとき、すぐ行ってみようと思い、見よう見まねでシシュマレフ村の村長に手紙を書いたら、半年後に本当に返事が来て、アラスカに行くことができたエピソードから、夢は行動に移すことで叶うこともあるという、とても大切なことを教えてくれて、好奇心旺盛な子なら読んで得るものも、きっと多いのではと思いました。
ちなみに、私が印象的だったのは、星野さんの人柄を感じさせる優しさであり、それは、寝ているアザラシの親子の写真を撮ろうとしたら、カメラのピントが合わないほど近付きすぎてしまい、そのまま起こさないように、じっと寝顔を見ていたエピソードに、よく表れていると思いました。 -
「お願い」
私は、一度読んだものは、ほぼ二度と読みません。このため感想は、振り返ったときに、内容が分かるように書いています。それをお含みの上で読んで頂ければありがたいです。
アラスカの大自然が目の前に展開され…。
本書は、写真家、探検家の星野道夫さんが、アラスカの自然を写真に収めたものです。クマの生態をよく分かり母がほんとうに子グマを慈しみ育てる様子、子供同士がでサケを争って食べている様子、他の母子とのにらみ合いなどの貴重な写真が収められています。
氷河の崩落を目の前で写した写真は、迫力が凄く大爆音が聞こえてきます。
なお、著者・星野道夫さんは、1996年8月8日の午前4時頃、TBSテレビ番組『どうぶつ奇想天外!』取材のため滞在していたロシアのカムチャツカ半島南部のクリル湖畔に設営したテントでヒグマに襲われて死亡しました。43歳でした。ご冥福をお祈りします。
ページを開けるとアラスカの地図が有りました、マッキンリー山に目が釘付けになりました。この山は、1984年に冒険家の植村直己さんが厳冬期の北米最高峰のマッキンリー・6190m(現在の名称は、デナリ)で初の冬季単独登頂に成功した後、消息を絶った山です。
私が、本を読みだした時、新田次郎さんの「孤高の人」を読んでモデルの加藤文太郎さんに刺激され、単独行を重ねたことを思いだされます。
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星野道夫さんの写真絵本
〇クマよ (たくさんのふしぎ傑作集)……1999.10発行
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4834016382#comment
〇森へ (たくさんのふしぎ傑作集)……1996.09発行
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4834012271#comment
〇ナヌークの贈りもの……1995.12発行
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4097270605#comment
〇アラスカたんけん記 (たくさんのふしぎ傑作集)……1990.02発行
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アラスカたんけん記 (たくさんのふしぎ傑作集)
1990.02発行。字の大きさは…大。2022.04.02読了。★★★★☆
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たくさんのふしぎ86年11月の単行本。
ところどころ、見開きの写真になっていて、どれもいい。
特にアラスカの山の麓の遠くにクマの親子がいる写真が好き。 -
小学校中学年におすすめしたい本だと思った。
学校での学習内容が、自分の住む地域から都道府県、国、世界へと広がっていく中で、先取りとして外国の美しい自然や景色に親しむことで、その後の学習にも興味を持って取り組めるのではないか。 -
幼少の頃読んで、その後読み返した記憶も無いのに、著者の名前とオーロラの写真の美しさがくっきりと印象に残っている、秀逸の一冊です。
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ああこれは。星野さんが写真と文章を通して素晴らしい大自然を見せてくれる。尊い。同じ地球で生きていてこんな光景を日々目にしながら暮らしている人がいる。そうなんだ。私もそういう場所で生きているんだ。地球の一部。生かされているということ。そういうことを忘れないようにしたい。
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たんけんの楽しさや大変さ、そしてアラスカの美しさが優しい文章で伝わってくる。
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アラスカに魅せられ、一人旅をしながら、写真を撮る探検家。
危険だし、寂しいし、寒いし。
でも、誰も見たことのない、素晴らしい世界を独り占めできるんだろう。
また、そのおかげで、写真だけでも、素晴らしい世界が、私たちも共有できる。