- Amazon.co.jp ・本 (35ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834022933
作品紹介・あらすじ
女の子、ふうは、小さいときに重い病気をしました。そのときから、ふうは自分の目でなにもみることができなくなってしまいました。ふうは秋祭りに友達と三人でいっしょにいくことを約束しました。友達の家が秋祭りに着る着物をつくっていますが、ふうの家は布を織る糸を買うことができず、布を織るはたおり機もないのです……。大正時代を背景に描かれた日本の美しい原風景の絵本です。広野多珂子の新しい境地が開いた心を打つ感動作です。
感想・レビュー・書評
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表紙からしてまことに美しい。
咲き誇る彼岸花とオオイヌノフグリ、ナズナ、タンポポ。
季節の異なる野の花が並んでいるが、それが、主人公の少女・ふうの「おひさまいろのきもの」が出来るまでの日々なのだ。
繊細な挿絵をじゅうぶんに堪能しながら、ゆっくり読んで約10分。
読みながら、古今東西変わらない母の愛に胸がいっぱいになる。
そして、一枚の着物が出来るまでの気の遠くなるような時間を思って、ため息が漏れる。
欲しい物があまりにも簡単に手に入る今の子たちは、これを読んでどう思うだろう。
一体、幸せなのはどちらなのだろう。
舞台は、大正末期から昭和初期であるという。
目の見えない「ふう」は、仲良しの友だちが「秋祭りのための着物を母親が織ってくれている」と聞き、自分も欲しいと思わずねだってしまう。
母ひとり子ひとりの貧しさで、それがどれほど大変なことか、分かっていても。
ここから「そうだね、そうしようね」と言ってくれる母親の愛が、全編通して流れていく。
しかしその道は、平坦ではない。
シュルシュル トントン・・という擬音が何度も登場するが、「ふう」の夢へ近づく音だ。
こんなにも親子で心を合わせ、一枚の着物へと夢を紡ぐ。幸せな光景だ。
最後の秋祭りの風景もまことに美しく、不思議に懐かしい。
最後に作家さんのお顔の写真を見て、あまりに若くてもう一度驚いてしまった。
着物の仕立てをしていたというお母様は、障がいを抱えていたという。
そんな思い出を込められた作品なのだ。
細かに描き込まれた農村の風景も美しく、野の花もたくさん登場する、何度見ても美しい作品で、読むたびに心が温まる。
5,6歳から。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物を大切にしていく気持ち、友情も素晴らしい❣️
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盲目の娘、ふうのために、あきまつりに着ていくおひさま色の着物を織る母の愛の物語。
とっても優しい気持ちになりました。
ふうちゃんも前向きで可愛いです。
絵も見ごたえがあります。
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明治から大正時代というが、こんな生活だったのかと驚いた。
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貧しいながらも子供の願いをどうにかして叶えてあげようとするお母さんの子を想う優しさに感動した一冊◎
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少女の健気さ、お母さんの愛情、友達の優しさ、ものを作ることの豊かさ、自然の美しさ、いろんないいものがこの一冊に詰まっていた。表情のひとつひとつが生き生きしている。絵や色のひとつひとつが美しい。温かくて優しいすてきな絵本に出会えた。
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母ひとりで盲目の子どもを育てるのは、留守番をさせておくのは心配だったろうと思う。
普段は自分の気持ちを表に出さない、娘の言葉をしっかりと受け止めてあげるお母さんの気持ちも素敵だと思った。 -
2018/8/19 16:03
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2018年10月25日
<Kimono on the colors of the sun>