- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834081626
作品紹介・あらすじ
16世紀スペイン。キリスト教徒の伯爵令嬢マリアと、伯爵家に長年仕え友情を育んできたイスラム教徒の家に生まれた少年エルナンド。ふたりの間には恋が芽生えるが、やがて両家の人々は異なる宗教・民族間の対立に巻き込まれていく。悲惨な戦争の果てに、エルナンドは故郷を追われていく……。宗教や民族の違いによって引き裂かれ、運命に翻弄される人々を描いた歴史小説。
感想・レビュー・書評
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思ったよりも世界史ファンタジーだった…
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史実に基づいた歴史小説とのこと。キリスト教やイスラム教のことがわかっていればもっときちんと読み解けるのだろうか。
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15世紀スペインで、幼なじみのキリスト教徒のマリアとイスラム教徒のエルナンド、そして二人の家族のたどった悲しい歴史の物語。
親の代から親しくしていた両家だったが、宗教の違いとその争いのために命を落としたり、負けて奴隷として売られたりしてしまう。結局二人は別の国で違う生き方をしなければならなかった。
キリスト教とイスラム教という深い対立を描いているが、日本人にはなかなか理解でかない。きっかけになれば良いのか。 -
スペインの歴史について興味があったので、それを知る上では興味深かったが、物語としては、面白みが物足りなかった。
宗教によって、人と人が争い、排斥が起こる。スペインでも、こういうことだったのだな、と思う。
高い山から見下ろせば、人間である、というだけだというのに。 -
2020.08.30
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16世紀スペインで起こったキリスト教とイスラム教の争いを舞台にした物語。
それまでイスラム教徒が支配していたスペインのグラナダを、キリスト教勢力が制圧した。はじめはそれぞれの文化や宗教を保ちながら共に暮らしていたが、次第にキリスト教側が権力に乗じてイスラム教側に無理解な態度を取るようになる。それに対しイスラム教徒は反乱を起こすが、ついにキリスト教への改宗か国外退去の選択を迫られることになる。
史実を元にしながら、そこにキリスト教側の権力者の娘とイスラム教側の若者を投影させることで、現代人にも感情移入して読めるようになっています。
遠い国の遠い時代の物語。でも異なる文化を力で支配しようとすることで起こる悲劇は、時代も国も問わないものでしょう。
文化や宗教を越えた友情を築いた懐かしい過去、幼なじみであり恋仲となった二人の未来、それらを壊したのは何だったのか。
多様性が求められる今だからこそ必要なものを考えさせられる物語でした。 -
日本ではちょっと遠いところにある宗教に関連した物語。現在でも続く対立の根深さの根源を気づかされる。
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1500〜1600年頃のスペイン。
「レコンキスタ」という言葉は聞いたことあったけど、そこには、キリスト教徒、イスラム教徒、キリスト教に改宗させられたイスラム教徒(モリスコ)など複雑に絡み合って、寛容な政策から強硬派へ変わっていく歴史が舞台になっている。
歴史の大きなうねりの中でも、物語の主人公は、いつでも個人だ。悩んだり、苦しんだり、友情や人生の喜びや悲しみもある。
『「人が豆つぶのように小さく見える。遠くから見れば、キリスト教徒もモリスコも区別がつかない。みんなただ、人間というだけだ。」』
遠い昔の物語だけれど、主題は極めて現代的だ。