- Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834084344
感想・レビュー・書評
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人間の考えてることは一方向でしかないことが改めてわかる
脇坂さんの絵もいいなぁ。 -
2017.8.5
ちょっと感動する。数の話。数学の話。頭を使って考えさせられながらも物語がある。数学の世界おもしろそうじゃないか。これを絵本にしたのがすごいし、よかったよなあ。子どもはどう感じるんだろう。もう少し大きくなったら読ませてみたい。 -
アリは計算しているのか
面白い思考実験だ。 -
子供向けにしては結構難しいことが描いてあると思うが、分からないながらも抽象概念に触れてみるということはたまにはいい経験になるんじゃないか。世界の見方は一様ではなく、見る立場によって変わってくるという感覚が少しでも伝わればいいと思う。
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人類の数学、蟻の数学。
その差異を例に、ひとがひととしてあるがための数学を探していく物語の、たぶんプロローグ。
どの学問でも同じだと思うよ。人間という存在の生きるかたちから生まれて、やがてその生々しい息吹の届かない思考域で理屈を展開するようになる。それでもなお、根はひとの生きるこの世界に張っていて、いつかはひとの世に還る(あるいは還ることを夢みている)。
もしも人間ではない生物が学問を追究していくのなら、その生きものの生きるかたちに沿った発想と展開になるだろう。自分たちの生きていく世界を認識する以外の認識の仕方は、神ならぬ存在には決して手にはいらないのだと思う。もしかしたら神にだって、神の目に映る以外の視野で世界を認めることはできないのかもしれないけどね。
鴉はカアと鳴く。その鳴き声にはひとの脳では理解できない、気づきもしない情報が含まれているのかもしれない。
人類は生命を定義する。しかしその定義からは洩れている何らかの意思と生命を持った「生物」はあるのかもしれない。どこにでもあるような石には、それとも水滴には、あまりに私たちとはかけ離れていて感知することもできない「意思」や「生命」が宿っていて、彼ら石は、水滴は、彼らの定義で「生きている」のかもしれない。
それぞれにそれぞれのものさしが存在していて、そのものさしで各自は世界を認知している。そのものさしがある限り、いくらでも世界をはかることができる。微生物を、素粒子を、宇宙の始まりを、経済の行方を、ひとの心の揺れ動きを、ひとのあるべき理想を、言葉の成り立ちを、生命の起源を、私たちは私たちのものさしがある限り、理解していくことができる。
しかしそのものさしを当てることのできない事象を、私たちは理解するどころか、きっと察知することもできないのだ。
「宇宙は数学という言葉で書かれている」(ガリレオ)
私たちが理解できる宇宙は私たちの数学で書かれている。
私たちは私たちの理解できる数学という扉を通してのみ宇宙にアクセスできる。
それはきっと蟻の理解できる宇宙とはなにもかもが違っているのだろう。
けれど同じ宇宙の断面なのだ。