さいごのゆうれい (福音館創作童話シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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本棚登録 : 303
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834086065

作品紹介・あらすじ

世界中が「かなしみ」や「こうかい」を忘れて、だれもが幸せだった〈大幸福じだい〉と呼ばれた時代があった。そんな時代の夏休み、小五だったぼくは、田舎のおばあちゃんちに預けられた。空港のあるその町で、いわゆる「お盆」の、その最初の日に、ぼくは、ひとりのちいさなゆうれいに出会った。その子はいう。自分が、ゆうれいのさいごのひとりかもしれないと。ゆうれいを救い、世界を取り戻すために、ゆうれいと過ごした四日間。

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わったけど…なんというか…
    すごいとしか…
    ゆうれいの数が減っている原因がとてつもなく切なくて…
    斉藤倫さんの心理描写も綿密で、ゆっくり味わいました。

  • 小5の夏休み、ちいさなゆうれいと出会う。さいごのゆうれいかもしれないと告げられたぼくが選んだこと。
    かなしみって何だろう。かなしみはない方がいいのか。かなしみをなくすために忘れた方がいいのか。西村ツチカの挿絵と共に、静かに問いかけてきます。

  • ほんとうにこの人の「誰もが感じているけど気付いていないことを、言葉で掬い取る」力にはまいる。
    夜に車の中から見えるガードレールを「振り下ろされて、でもずっと叩かない鞭」に例える表現には鳥肌立つ。
    この〈大幸福時代〉の先、私が生きたいのはそこ。

  • 表紙と本文のイラストに惹かれて読み始めた。飛行機が大好きな少年が、祖母のもとで過ごした夏休みの不思議な出来事。
    イラストが物語を優しく解説してくれて、内容が理解しやすかった。クライマックスで一気に伏線が回収されていく。切ないが、前向きになることを教えてくれる小説だった。

  • 「かなしみ」という言葉がもはや死語となっている時代に生きるぼく。
    小五のなつ休み、父親が仕事で忙しいため田舎のおばあちゃんのお家に預けられた。そこはすぐ近くに飛行場がある。飛行機を見るのが好きな僕は、毎日毎日、飽きもせず飛行機を見に飛行場へ行った。
    ある日、見たことのない飛行船のような機体が遠くから降りてきた。それは滑走路を外れて着陸した。様子のおかしい飛行機をじっと見ていると、開いた機体からたった一人の小さな人影が降りてきた。その子は自分のことを「ゆうれい」だって言う。


    途中で断念しそうになりましたが、最後まで読んで良かったです。
    自分はファンタジーがあまり得意ではないのだなと改めて分かりました。入り込むのに時間がかかりました。

  • 最高な物語です。最初読んだ時は、どういうわけかわからなかったけど読み終えた時に読むとなるほどと思えました。

  • 2022.08.29わ

  • やっぱり斎藤倫さんは素敵だ。

    表紙と題名だけだと内容の予想がつかない。
    まあゆうれいは出るだろうなあっとは思ったけど。
    今時期に読むのにぴったりじゃん、と読みながら思う。

    お盆航空の飛行機に乗って帰ってきたネム。
    最後に明かされるその名前の由来にわああああっっっとなる
    かなしみや後悔がないってどんなかな
    それを大幸福時代と呼ぶ、と言う言葉の使い方に感動。
    さすが詩人
    忘却は悲しみを癒すくすりだというけれど
    文字通りその薬ができてしまうとは。
    悲しみを手放して、幸福に生きる。
    悲しみで体をいっぱいにして、どうしようもない笑みを浮かべつつ生きる。
    どっちを選ぶのか。
    沈んでしまいそうなほどの悲しみってどんなだろう
    できればそんなもの感じずに生きたいようなきもするし、
    それほどの悲しみを生み出すほど誰かを愛したいような気もする

    さいごのゆうれいは
    さいごにはならなかった
    死んでしまったものは誰かが思い出さなければ死んだままだが、思い出す人がいる限り、消えはしないんだよなあ。

    かなしみやこうかいを手放して生きる 幸福な生き方が
    権力にとって操りやすく都合がいい、というのにちょっっとなるほどなーーっと。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00281799

  • 小5のハジメは、科学者のお父さんと二人暮らし。お父さんの仕事が忙しいので、夏休みはおばあちゃんの家に行くことになる。田舎の町には最近飛行場ができた。飛行機好きなハジメは毎日飛行機を見に出かけた。そしてお盆航空に乗ってやってきた女の子ネムとであった。ネムは、最後のゆうれいなのだという。トラのようなミャオ・ターと虚無僧のゲンゾウの4人で、消えて無くなりそうなゆうれいの国を救いに行くのだが…?

    児童書らしい空想物語などと思ったら大間違い。悲しみとは何か、人を思う気持ちとは…奥が深い話だった!

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著者プロフィール

斉藤倫 詩人。『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『せなか町から、ずっと』『クリスマスがちかづくと』『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『さいごのゆうれい』(以上福音館書店)、『レディオワン』(光村図書)、『あしたもオカピ』(偕成社)、『新月の子どもたち』(ブロンズ新社)』絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)、うきまるとの共作で『はるとあき』(絵 吉田尚令/小学館)、『のせのせ せーの!』(絵 くのまり/ブロンズ新社)などがある。

「2022年 『私立探検家学園2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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