プロレス社会学のススメ コロナ時代を読み解くヒント

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834253535

作品紹介・あらすじ

プロレスを語ることは今の時代を語ることである―。
ベテランプロレス記者であり社会学講師の顔も併せ持つ斎藤文彦と、世相を独自の視点で斬る「時事芸人」であるプチ鹿島。
COVID19の感染拡大により社会全体が混乱し新しいやり方を模索する中、この二人の最強タッグがプロレスを切り口にコロナ時代を読み解くヒントを語りつくす一冊。
『KAMINOGE』の人気連載対談シリーズがついに待望の初書籍化!

【目次】
第1回 プロレスにおける無観客試合
第2回 WWE史から学ぶ“社会集団"としての組織論
第3回 NWA史から見る“権威"とはいかにして作られるのか?
第4回 “権威"とは、歴史の対立構造や価値基準によって作られる
第5回 情報の確認と検証がされないまま“真実らしきもの"が作られていくネット時代
第6回 女性の地位向上や男女平等が叫ばれている現代社会とプロレスの関係性
第7回 “ウォリアーズ世代"はイチから自己プロデュースができた時代の最後のスーパースターたち
第8回 “ガチ"という言葉の意味
第9回 プロレスから学んだマイノリティの意識
第10回 アンダーテイカー完全引退で考える“怪奇派"のルーツ
第11回 馳浩と山田邦子の和解から振り返る『ギブUPまで待てない!!』
第12回 独自の発展を遂げた日本の活字プロレスメディア
第13回 プロレスから学ぶ「疑わしい情報」の取り扱い方
第14回 “企業プロレス"全盛のいまこそWCWの歴史を紐解く
第15回 ヘイトクライムとプロレス社会
第16回 プロレスラーと引退
第17回 東京五輪とは何だったのか?

【著者プロフィール】
斎藤文彦(さいとう ふみひこ)
1962年東京都杉並区生まれ。プロレスライター、コラムニスト、大学講師。オーガスバーグ大学教養学部卒業、早稲田大学大学院スポーツ科学学術院スポーツ科学研究科修了、筑波大学大学院人間総合科学研究科体育科学専攻博士後期課程満期。在米中の1981年より『プロレス』誌の海外特派員をつとめ、『週刊プロレス』創刊時より同誌記者として活動。海外リポート、インタビュー、巻頭特集などを担当した。著書は『プロレス入門』『昭和プロレス正史 上下巻』『忘れじの外国人レスラー伝』ほか多数。

プチ鹿島(ぷち かしま)
1970年長野県生まれ。大阪芸術大学放送学科卒。「時事芸人」として各メディアで活動中。新聞14紙を購読しての読み比べが趣味。2019年に「ニュース時事能力検定」1級に合格。2021年より「朝日新聞デジタル」コメンテーターを務める。コラム連載は月間17本で「読売中高生新聞」など10代向けも多数。「KAMINOGE」は第2号から連載。著書は『教養としてのプロレス』『プロレスを見れば世の中がわかる』『芸人式新聞の読み方』『芸人「幸福論」格差社会でゴキゲンに生きる!』他。ワタナベエンターテインメント所属。

感想・レビュー・書評

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  • 第94回アカデミー賞での平手打ち事件についての現地アメリカと日本の受け止め方の違いが指摘されていますが、それは社会の判断基準の変化についてのエンターテイメント業界の敏感さの違いとも言われています。本書もプロレスを窓にして、社会の変化を「論評」する本です。非常にタイミングのいい出版。WWEのレッスルマニアではいよいよ女子がメインをとったという出来事からはジェンダーを、元々プロレスのストーリーラインで大きな位置を占めていた人種問題の消滅のスピードからはポリティカルコレクトネスを、はてまたコロナ禍の中での無観客試合からはエンタメの未来を語り合います。そのどれも、実は日本のプロレスの影響が紐付けられて、めちゃくちゃそそる話です。日本のプロレスが進みすぎていたのか、そのあと全然進まなかったのか…論客がアメリカンプロレスのウィキペディア(命名:プチ鹿島)、フミ斎藤と時事芸人、プチ鹿島、そして実は一番効いているような気がするKAMINOGE編集者、堀江ガンツ。スイングしまくります。現代の話題だけではなく、NWAの権威のプロパガンダだったり、ロードウォリアーズというブランドの会社と個人のせめぎ合いだったり、よだれダラダラなテーマの連発です。トランプが大統領になった頃からリアルとファンタジーの逆目の溶解現象が起こっているような気がするのですが、それは現実社会のプロレス化が起こっているのかもしれません。実は直前の読書が北村紗衣「批評の教室」。その影響もあってプロレス入り口で、社会のことをあーでもないこーでもないと批評、論評する豊かさを感じました。最後の最後にプチ鹿島の言う「批評を止めるな!」「論評を止めるな!」賛成です!

  • 社会学をプロレスに置き換えてみようという試み。

    齋藤文彦の主にアメリカプロレス史の話はとても興味深く読めた。
    反面、プチ鹿島の現代社会学への置き換えは面白いと思う反面、難しくも感じた。

  • プチ鹿島さんが好きなので、プロレスについてあまり知らないのに手にとった。この本で話している内容の中には、ラジオなどで鹿島さんがよくお話しされているものもあるので、伏線回収というか、あ、この話知ってる!となる部分も多々あって、それが楽しかった。
    あと、アントニオ猪木がどれだけ傑出したプレイヤーでありプロデューサーでもあるのかってのがよくわかった。引退から始まる大仁田厚物語っていうのもおもしろかった。
    論評が必要のない時代っていうのは確かにそうなのかもしれない。でももっといえば、情報自体に価値を置かれていない時代なのかなとも思ったりした。社会のことを積極的に知ろうと思っている人が少なくなってるのかなと、うっすら思っている。

  • プチ鹿島氏の「プロレスの話をしていたら世の中の動きや時事問題に結びついた」という言葉が全て。

    逆に言うと、プロレスには現代社会の全てが詰まっているわけで、プロレスを客席から俯瞰することで社会生活に活かすことができる。

    それを無意識にやれているからこそ、プロレスファンはずっとプロレスに魅了され続けているのだと改めて気づかされた。

    三人の語り口がとにかく面白いし、またプロレス史について(取り分け力道山以前)詳しいので、勉強にもなる。

  • 共著になっているが、基本的にはフミサイトウのインタビュー。昔から彼の話は面白い。
    とはいえ、プチ鹿島の十分な知識量と「聞き手と解説役になる」という姿勢が本書の魅力になっているのは明白。

    プロレスはリベラルで、とても進んでいたジャンル(斎藤)420

    定説では「力道山は日本領だった朝鮮で日本国籍として産まれ、戦前に長崎県で養子に入って戦後を迎えたので、産まれた時から死ぬまで日本国籍だ」だが実は怪しい。長崎県の戸籍も「謎の戸籍」で、これはアメリカ指導の文化政策で日本政府が力道山に超法規的措置の可能性がある(プロレス文化政策のため)。帰化もしていない416

    「力道山が憎きアメリカ人を空手チョップでなぎ倒し、敗戦国ではる日本人を高揚させた」は1980年代から言われ始めた作り話。実情は「先進国アメリカからやって来た流行の娯楽」の認証で、みんなニコニコ観てた412

    プロレスファンは、様々な偽情報、フェイク、裏切り、半信半疑になれて鍛えられたので、メディアリテラシーがついている(鹿島)307

    「木村政彦はなぜ力道山に殺されずに済んだか」194

    アイアンシークはYouTubeで活躍して再ブレイク。アメリカの長州力177

  • タイトルが全く気にいらないけど。
    でも、単なるプロレス雑談としたは、
    極めて高いレベルの雑談で面白かった。
    難しくする必要は無いと思う。プロレスを。

  • プロレスの奥深さがわかりやすく伝わりとても面白い。
    有田哲平の「おまえ有田だろ」で知ったことをさらに深くしれた。
    使ってはいけない言葉についてもよかった。

  • ふむ

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著者プロフィール

1962年1月1日、東京都杉並区生まれ。オーガスバーグ大学教養学部卒業。スポーツライター。コラムニスト。専修大学、帝塚山学院大学、大正大学で非常勤講師として教壇に立つ。在米中からプロレス記者として活動。プロレスライター歴27年。主な著書は『テイキング・バンプ』『デケード』『シーズンズ・グリーティングス』『レジェンド100』(以上、ベースボール・マガジン社)、『プロレス大事典』(小学館)、『ボーイズはボーイズ』(梅里書房)、『スポーツで楽しむアメリカ英語』(岩波書店)など。

「2008年 『みんなのプロレス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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