侵略日記

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834253757

作品紹介・あらすじ

小説『ペンギンの憂鬱』『灰色のミツバチ("Gray Bees")』の著者で、2014年のマイダン革命を『ウクライナ日記』に書き記したアンドレイ・クルコフが、ロシアとウクライナの戦争について国内避難生活の最中に書いたノンフィクション。21年のクリスマスから翌年2月の開戦を経て戦争の激化していく7月までが綴られる。ロシア文学者・沼野恭子による解説を収録。「2022年2月24日は、ほとんど何も書けなかった。キーウに響き渡ったロシアのミサイルの爆発音で目覚めた私は、自宅アパートメントの窓辺に一時間ほど立ち尽くして人気のない街路を眺めやり、戦争が始まったと気づいたが、この新たな現実をまだ受け止められなかった。続く数日間もやはり何も書けなかった。車でまずはリヴィウに、それからカルパチア山脈をめざした移動は、果てしない渋滞で想像を絶する長旅になった。国内の他のあらゆる地域からの車の波が、西へ続く道という狭い漏斗めがけて押し寄せていた。誰もが戦争の暴力から家族を守るために逃げようとしていた」──まえがきより「本書は、「日記」と言っても、暮らしぶりや作家がみずから経験したことを綴っただけの単なる「身辺雑記」ではなく、戦況の他、ロシアとウクライナの関係、文化人の役割、歴史的背景、言語の現状など多岐にわたる政治・社会・文化の問題について思索をめぐらし、社会情勢の分析を試みて、読者に文明批評的な視座を提供している」──解説 沼野恭子「〈記憶の保管庫〉としての日記」より著者:アンドレイ・クルコフ(Andrey Kurkov)ウクライナはキーウ在住のロシア語作家。1961年ロシアのレニングラード(現サンクトペテルブルグ)に生まれ、3歳のときに家族でキーウに移る。キーウ外国語教育大学卒業。オデーサでの兵役、新聞や出版社の編集者を務めるかたわら小説やシナリオを執筆。96年に発表した『ペンギンの憂鬱』が国際的なベストセラーとなり、その名を一躍有名にした(沼野恭子訳、新潮クレストブックス)。著作は30以上の言語に翻訳されている。日本では『大統領の最後の恋』(前田和泉訳、新潮クレストブックス)『ウクライナ日記』(吉岡ゆき訳、ホーム社)も紹介されている。2014年フランスのレジオンドヌール勲章を受章。18年から22年までウクライナ・ペン会長。訳者:福間恵(ふくま・めぐみ)東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(現代文芸論)単位取得満期退学。記事翻訳・出版翻訳を手がける。訳書に『英文創作教室』(共訳、研究社)、『作家たちの手紙』(共訳、マール社)、『アニマル・スタディーズ』(共訳、平凡社)などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 『ペンギンの憂鬱』の著者が綴った、戦時下ウクライナの記録 | ホーム社(集英社グループ)
    https://www.homesha.co.jp/news/20231026-01/

    Andrey Kurkov | Books | The Guardian
    https://www.theguardian.com/books/andrey-kurkov

    侵略日記/アンドレイ・クルコフ/福間 恵 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-8342-5375-7

    侵略日記 | ホーム社(集英社グループ)
    https://www.homesha.co.jp/products/items/isbn-978-4-8342-5375-7/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ウクライナ戦争 本質に迫る [評]米田綱路(ジャーナリスト)
      <書評>侵略日記:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido...
      ウクライナ戦争 本質に迫る [評]米田綱路(ジャーナリスト)
      <書評>侵略日記:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/951469/
      2023/12/12
  • ウクライナ侵攻について特集した番組の中で本書と著者が紹介されているのを見て手に取り。
    装丁は美しいですが手に取るのに覚悟のいる一冊でした。

    簡単な地図がついてますがロシア・ウクライナの地理も歴史も文化も全く知らないので最初は中々とっつきづらかったのですが読み進むうちにウクライナ人の矜持のようなものをそこここに感じられるようになったと思います。
    侵攻の残虐さや非道さは日本の報道でも(ものすごくきっと限定的でしょうが)見ることがありますが、そこに現実に生きている人の生活の様子(住居や故郷からの退去、食料や日用品の調達、医療に状況など)や思いはそこからはわからないです。そういうものの一部を本書によって知ったと思います。
    戦時中であってもできるだけ日常を過ごそうとすること、少し戦況が落ち着いたと感じられたら住んでいた地域へ戻っていく人の多いこと、避難してきた人たちに無償で住居や安全を提供する人が自国民でも近隣の国の人でも多くいることなど、本書を読まなければ知ることのなかったたくましさというか生きる力のようなものを知りました。

    言葉は文化である、どの言語を使用するかというのがナショナル・アイデンティティに大きく関わる。言われてみればそうでしょう。日本人は多分国内にいれば90%以上の人が日常では日本語しか使わないのではないでしょうか。そういう社会の中ではナショナル・アイデンティティについて考えたり感じたりすることはほぼないように思います。少なくとも私はそういうことについてきちんと考えたことはなかったと思いました。
    ロシアの刑務所にいる親しい人へ言葉を届けるために苦労している場面が本書にありますが、そのもどかしさは想像を超えました。
    空襲を知らせるアプリがある、というのも驚きました。人間は必要なものならどんなものでも作り出すのだなぁとそんなところにも感心してしまいました。

    人は水や空気がなくては生きられないし文化がなくても生きられない、と著者は言う。
    大災害や戦争の時期にはことのほか文化が重要となるという。
    それが生きる支えになるし何よりそれもアイデンティティにとって重要だからだと思う。
    戦時中であっても書くことをやめない、本を作ることを諦めない、むしろ「恐ろしくても何としても私は書く」と作家は言う。戦争と読書は両立しないと言いながらも生きること、伝えること、残すことを諦めない作家の使命感に震える。

  • 権力者は歴史を仕立て上げる。それに対して私的な日記は真実をとどめうる。ウクライナ侵攻の2ヶ月前から、侵攻後5ヶ月の記録。侵攻直後の混乱と緊迫感から、少しずつ緊張が緩んでいって戦争に慣れていき、キーウに戻る人も増えていくウクライナの様子が内側から描かれている。
    ロシア語話者であった著者クルコフは、ロシア語が支配の言葉でないことを示すために小説はロシア語で書くスタンスをとっていたが、侵略以降はウクライナ語をメイン言語にせざるを得なかった。ロシア語話者は普通の4倍の愛国心を見せないとウクライナでは認められない。ロシア文化やロシア語を敵のものとして排斥する動きはウクライナだけでなくて、残念ながら日本にもあると思う。筆者の言うとおり、水とパンと同様に文化も生きるのには必要なのにね。ゼレンスキーはロシア語話者のユダヤ人なのに、ロシアのプロパガンダは「ウクライナのナチスからロシア語話者を救出する」であり、それが信じられているのって恐ろしいなと思う。

  • 東2法経図・6F開架:935A/Ku69s//K

  • 現地の状況を少しでも見えるかなと拝読。あまり読みやすい翻訳には感じなかった。目が滑るような感じ、

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