秘文字

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835457444

作品紹介・あらすじ

世界初、書き下ろし暗号小説を暗号化した幻の奇書!
激レアな「解答編」小冊子付きで復刻!!

泡坂妻夫、中井英夫、日影丈吉という異色ミステリー作家3人による共著として1979年に刊行された『秘文字』。それぞれが「暗号を題材とした短編推理小説」を1本ずつ持ち寄り、さらにその本文全体を丸ごと暗号化してしまったという前代未聞の内容で、読者に二重の謎解きを挑んだ、知的遊戯の極致とも言える奇書中の奇書です。
帯に推薦文を寄せた寺山修司が「耽美的な陰翳をもつ『月蝕文学』の揃いぶみ」と評した著者3人の愛読者のみならず、ミステリーファンならば誰しも心惹かれずにはいられないことでしょう。

一見しただけではまるで不可解な文字や記号が果てしなく続く本文には、本書の装丁家でもある画家・建石修志による幻想的な挿画が2色刷りであしらわれており、「暗号」という仕掛けそのものが薫らす妖しげな香りをいっそう引き立てています。

巻末には『暗号大全』などの著書でも知られる暗号研究の第一人者・長田順行による「暗号法とその解き方」を収録。さまざまな暗号の種類とその解読法を、豊富な例図とともに紹介した論考で、それ自体が独立した1編の読み物として興味深い内容ですが、まずは本文の小説3作がそれぞれどの方式によって暗号化されたものなのかを、この論考を参照しながら見当をつけるところから『秘文字』への挑戦は始まります。

また、原本には読者ハガキが付属しており、これを出版社へ送ると、暗号を解読することで現れる短編小説の原文を収めた「解答編」小冊子が郵送で折り返しプレゼントされることになっていました。現在では『秘文字』の本体そのものが稀覯書となっていますが、とりわけこの小冊子も完備したものは、古書店やオークションなどでも入手困難になっています。

こうした事情もあって『秘文字』は、各著者の熱心なファンの間でも「噂には聞いたことがあるが実物は見たことがない」「見たことはあるが買えなかった」「そのような本の存在自体を知らなかった」といった声の高い“幻の本”となっています。今回、この珍無類の書物を、原本の2色刷り再現+「解答編」小冊子付きの仕様で復刻版として刊行いたします。

※1979年刊行の初版(B5判/函入り/ハードカバー)の復刻であり、1983年刊行の普及版(A5判/ソフトカバー)とは仕様が異なります。

感想・レビュー・書評

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  • まず、読了で登録させていただきましたが、日本語で使われている文字の部分に関しては、読ませていただきました。それでも、自分では暗号を解く事はできず、眺めて終わったというところです。ということを申告しておきます。
    中井英夫さんの作品を何を読もうかと探しているうちに、本書を奇書中の奇書と称賛されている方を見つけました。深く考えずに、図書館予約。私は「秘文字」という小説を読めると思っていました。
    手元に来たのは、未だISBNのバーコードがない1983年発行のもの。登録は、再販の普及版と言われているものらしいです。図書館中央調査という申し訳ないようなところからの配本でした。図書館司書の皆様におかれましては、御足労おかけしました。「読めるわけないじゃん。」などとランチの話題提供ぐらいにはなりましたでしょうか。

    三人のミステリー作家
    泡坂妻夫「かげろう飛車」
    中井英夫「薔薇への遺言」
    日影丈吉「こわいはずだよ狐が通る」
    この三遍の暗号小説を 本文全て暗号化しています。それを読み解いた先に再び暗号が待つという、暗号フェチにはご馳走本なのであります。
    もちろん、本書には解読方法と解答編としての日本語の解答も準備されています。高校の超難問数IIBとかの参考書のように解答の方法に多くのページが割かれているあの参考書のような構成です。

    中井英夫の「暗号と暗合」というエッセイ的な文章もあります。戦時中、市ヶ谷参謀本部に在籍して、航空通信部で日夜暗号電報の作製と解読、乱数表の管理などという仕事をされていたそうです。しかも、それらを単純作業で楽しくなかったとおっしゃる。難しすぎてノイローゼ患者が続出した敵側の暗号解読をやりたかったと残念がっていました。うん。プロの方ですね。

    暗号に美意識さえ持っていらして、二重底暗号とか色や音にも意味を持たせるとかが好みらしい。
    全く暗号を読む事ができないか?といえば、当初から一般書籍として発売されているわけで。時間と労力を傾ければ、決して解けないものではないと思いますが返却期限もございますのでの。

    このような奇書があることを知り、実際手に取ることができ、図書館ありがとうって思います。
    ミステリ強者の皆様にお勧め致したく。
    私は、スパイ小説が読みたい、読みたーいと言っていたのは本心ですが、スパイ的活動をしたいのでは、なかったようです。

    泡坂妻夫さんの短編は、私でも理解できて、徳川時代の将棋の表記法に基づいた暗号から浮かんできた文字に感動しました。

    登録者はいても誰もレビューしていない中、無謀にもレビューしておきました。

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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