- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838728138
作品紹介・あらすじ
時は2019年。
45歳、結婚経験なし、子どもなしのフリーター・トリコが、
人生に絶望して、睡眠薬をまるごとひと瓶飲んで自殺をはかる……。
意識を取り戻した先は、昭和の終わり、バブル期まっただ中の1989年の渋谷。
30年前にタイムスリップしたトリコは、
青春時代に好きだったバンド「ドルフィン・ソング」の解散を阻止すべく、奔走する!
トリコはドルフィン・ソング、島本田恋と三沢夢二のふたりを救えるのか?!
時代は彼女に、何をさせようとしているのか?
そして、最終的にトリコが行き着く先はいったい、どこなのだろうか?
BRUTUSで話題沸騰。
樋口毅宏の連載小説、待望の書籍化!
カバーイラストは岡崎京子。
<本書の推薦コメント>
林真理子さん(作家)
「めちゃくちゃの面白さ。私たちの80年代をこんなにもてあそんでいいのか! この天才野郎!」
感想・レビュー・書評
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フリッパーズファンによる
オリーブ世代の物語。
同世代のわたしには
ニヤリな固有名詞が散りばめられた本作は
それゆえに
同族嫌悪的な苦々しい気持ちももたらす。
そこそこ面白く読んだけど
最後のエッチのシーン以降が
当時風の言い回しで言えば
ゲロゲロだった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
201512.08読了
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面白かった!
樋口毅宏先生らしい読みやすい文体でバブル前後の時代を生きた人達には懐かしさやクスッと笑える面白さに溢れている。もちろんフリッパーズギターの二人を当て書きしているんですけどタイムスリップしてからの主人公の動きが最初、予想をうまく外しててとても良い、過去を知る身の主人公が愛しい二人に近づいていくまでの流れが面白いですし、お近付きになってからの関係性も面白かった。ラストでまた上手く捻ってくれてるのが嬉しかったです。「さらば雑司が谷」「民宿雪国」「日本のセックス」と非常に面白かったですから、すっかりファンになってたんですけど 「25の瞳」でちょっとコケて…でもこれはよかったなぁ〜面白かった!次はどの作品にしようかな〜 -
20190211
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おすすめ新刊の文庫リストにはいっていたのが目について、その直後、図書館で目についたので即読。2019年に40代半ばの女性が自殺したら、1989年にタイムスリップしてしまうという、スーパードリーミーで超ルーザーの女性がタイムスリップで大成功するという、アンダードッグ系。文体は結構読みやすく、さっくりいけたが、いやもう、マーベルスーパーヒーローも魂消る無理矢理さに、逆に潔さを感じた。最初から最後まで細かいところに突っ込む気力も出ないぐらいなところが楽しみポイントとも言える。物語設定は漫画『タイムスリップオタガール』の雰囲気に似ているが、オタガールのほうが無理がない。強いて言うと、40代の女性ばっかりの宴会でベロンベロンになって、タイムスリップしたらどうする?という話をした時の内容、と言う感じの辻褄の合わなささというか、あかん感というか、ヲタ感というか。大変短いので、ちょっと息抜きにラノベ読まない40代女性用のラノベ的な感じでいいのではないかとは思う。
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「“いつか僕らは目隠しするだろう”」(恋)
タイムリープしてこんなにめちゃくちゃにして良いのかと心配になるくらいぶっ飛んでた。洋画のコメディっぽい雰囲気。 -
文学
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フリッパーズ・ギターファンのガチの妄想っぽい
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少し昔の時代が、生き生きと描かれていて、
タイムスリップしている感覚でした。
面白いので一気読みしました。 -
『考えてみる。私が人生でいちばん幸せだったのはいつだろう? 自分がこの世界の主役と疑わなかった頃は。』
『人は国とか社会正義とか、大義のために生きてはいけない。自分のために生きることがいちばんだ。
それにあれだよ、「人の為」って書いて「偽善」の「偽」だよ。みつをも言ってた。』
「僕たちは偉大なる先人をリスペクトしているからね。右から左に移すのは盗作。愛があればオマージュ。なければただのパクリ」
「おまえは自分では心の優しい女だと思っているがそれは大きな間違いだ。嫌になるほどおまえのことを知っている俺は断言できる。おまえは拭くのが面倒臭いという理由でネコを電子レンジに入れて死なせておきながら、その後はネコの墓に手を合わせてそっと涙を流すような、そういう女だ」
『罪の意識などなかった。時は来た。ただそれだけだった。』
「女はね、憎い男を殺すためなら、好きでもない男と寝るなんて容易い。でもね、本当に好きな男がいたら、もうできないんだよ」
『二分とかからなかったと思う。俊太郎は目を見開いたまま、床に倒れて、それきり動かなくなった。床にどす黒い湖面が広がっていく。
それでも私には残念なことがあった。この男を、一度しか殺せなかったことだった。』
『女はみんな、男には秘密にしているが、セックスのとき目を瞑っているのは、他の男のことを思い浮かべているためだ。でも私がこのとき瞼を伏せていたのは、世界をひとりびめにしたかったからだ。』
『「こんなの初めて」
女は男の自尊心を立てようと、常にリップサービスを忘れない。たとえその戯れ言が手垢に塗れたものだとしても、男たちは素直に受け止めてほしい。そうすれば私たちもまた「男って本当にバカだな」と思えるから。』