- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838731879
感想・レビュー・書評
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言葉の教室
と題しているけれど
テクニックではないと言う
では教室で何を教えるのだろう詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作詞家の考え方が少しだけ分かったような気がする。松本さんは古き良き日本語(死語)を歌詞にして守られている。
日本語のもつ優しさややわらかさは、声に発することでより浮き上がる。日本語のまとまりは3.5.7が1番しっくりくるのだそう。俳句や短歌が根付いているのはこういう理由かもしれない。
目に映った情景を言葉にすることで、案外色んなものを見ていることがわかる。その情景に心打たれるか、無関心か。日常に心動かされる人間でありたい。 -
大好きな曲たちの生まれた背景が洪水みたいに次から次にページから溢れてきて純粋に「うわ〜〜おもしろ〜〜」となりながら読んだ
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作詞家・松本隆の創作の根源から、はっぴいえんどの結成、作詞家への道程をインタビューをもとに構成したもの。多くのエピソードは知っているものばかりだが、現在の松本隆の考えや思いが伝わってくる。
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「木綿のハンカチーフ」「ルビーの指環」「硝子の少年」…。2000曲以上を手掛け、50曲以上がヒットチャート1位になるなど、数多くの記憶に残る曲を生んだ松本隆。稀代の作詞家の、言葉とのつき合い方について解説する。
やさしい言葉で書いてあるので読みやすい本。でも、詞はそんなに簡単に書けないと思う。 -
木綿のハンカチーフ、君は天然色、ルビーの指環、赤いスイートピー、硝子の少年……
作詞家生活50年を迎えた松本隆が作詞の神髄を語り下ろす
〈「雨のウェンズデイ」では菫色がいろんなことを物語っている。菫色は葉山のイメージ。〉
〈「春色の汽車」はオレンジと緑色の湘南電車のイメージです。〉
〈当時コットンという言い方が一般的で、木綿はほとんど死後でした。そこを敢えて「木綿」にした。ここは「木綿」以外になかった。〉
〈Kinki Kids に書いた「硝子の少年」は、ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』がモチーフにあります。〉
など、大ヒット曲の着想を惜しげもなく披露
そして……
〈大瀧詠一さんが唄う「君は天然色」は、ちょうど妹が亡くなった頃つくった詞です。〉
70年代、80年代の楽曲が脳内リフレインすること間違いなし
伝説のロックバンド「はっぴぃえんど」を知らなくても楽しめるエピソードが満載
夕陽を言葉にしてごらん
世界が一変するよ
著者はラジオプロデューサー、作家
著者による「松本隆をめぐるナイン・ストーリーズ」も収録 -
松本隆(1949年~)氏は、言わずと知れた、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、大瀧詠一のアルバム「A LONG VACATION」、寺尾聰「ルビーの指輪」、松田聖子「赤いスイートピー」(ほか、24曲連続オリコン1位のうちの17曲)など、数々のヒット曲を手掛けた作詞家。シングル総売上枚数(2015年時点)は約5,000万枚で秋元康、阿久悠に次いで3位、シングル1位獲得作品数(同)は47曲である。作詞に専念する前は、細野晴臣、大瀧詠一、鈴木茂と組んで「はっぴいえんど」のドラマーとして活動していた。
著者の延江浩(1958年~)氏は、慶大文学部卒のラジオ・プロデューサー、作家。アジア太平洋放送連合(ABU)ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ等を受賞している。
本書は、松本が作詞について語ったことを著者が文章にした、いわゆる聞き書きである。(後半には、著者が松本の音楽・作詞活動について綴った「松本隆をめぐるナイン・ストーリーズ」が加えられている)
前半の章立ては、レッスン1「記憶は宝箱 創作の源」、レッスン2「視点と距離 どこから切り取るか」、レッスン3「光と陰 美しさを際立たせる」、レッスン4「あなたが好きって伝えたい」、レッスン5「リズムとバランスと美意識」、アフターレッスン「松本隆のポリシー」となっている。
いくつか印象に残ったセンテンスを挙げると以下である。
◆「テクニックに頼った瞬間、言葉は浅くなるんです。・・・意識には顕在意識と潜在意識とがありますが、テクニックや定型が向かうのは顕在意識のほうで、ここにいくら訴えても感動は生まれない。言葉は潜在意識に届けないと、人の心は動かないんです。」
◆「夕焼けを美しいと感じるとき、そのまま切り取っても、美しさは十分には伝わらない。・・・いちばん美しく見えるように、光と陰のバランスを調整する。陰を深くしたり、光を強く当てたりするのがデフォルメ(誇張)。針で突っついてやると増幅して波形がおおきくなる。それがアンプリファイ(増幅)。・・・どの角度から、どの部分を、どんな風に切り取るか。・・・コツは説明をしすぎないこと。余白を持たせる。間とか隙間が大事。」
◆「長いものより短いもの、難しいものより簡単なもの、複雑なことより易しいこと。ぼくにとって、世界でいちばん優れていると思う歌詞が、ジョン・レノンの「イマジン」です。難しい言葉がひとつもなくて、シンプルかつ短い言葉で表現が成り立っているでしょう。・・・難しいことを難しく言うのは簡単だけど、難しいことを易しく言うのは本当に難しい。表現を易しくすると、言いたいことが感動に値するか、あらわになる。」
◆「歌の快感は、音にしたとき気持ちいいかどうかで決まります。意味はあとまわしでよくて、大切なのはリズム。気持ちのいい語感かどうか。日本語として気持ちいい語感というのは、リズムやイントネーションによってつくられる。」
私は松本より一回り以上若い世代ながら、今でも、大瀧詠一の「A LONG VACATION」や松田聖子の若い頃のベスト・アルバムをよく聞くし、松本の詩の世界にはとても惹かれるのだが、本書を手に取ったもう一つの理由は、最近短歌を作り始めたことにある。
松本は、はっぴいえんどで「日本語ロック論争」に挑んだ人間だが、その「日本語でロックを作る(歌う)」戦いとは、短歌で言えば「口語で短歌を作る(詠う)」戦いともいえ、俵万智がその戦いで、松本と同じ役割を果たしたのだ(1987年発表の『サラダ記念日』)。その俵万智は松任谷由実に、また、同世代の穂村弘はザ・ブルーハーツに影響を受けたことは有名で、口語短歌は日本語ロックの作詞技術を取り入れて洗練されてきた。よって、松本の作詞の心得が、短歌作りに役に立たないはずはないのだ。
松本の詞のようなかっこいい短歌が詠えるようになりたいものだと思う。
(2021年12月了) -
近くにいて、漏れ伝わる話を聞いてみたい
(でも、急にこの手の本が増えるのには違和感がある) -
めちゃくちゃおもしろいー
立体的な世界!
ディティールをまわりに積み上げていって、肝心なことを書かない、
歌詞ってほんと楽しい〜
最後の方はあんまり興味湧かなくて読まなかったです